小さな工務店ほど注文住宅に「引き算の美学」を取り入れた方が良い理由

スティーブ・ジョブズが作らせたAppleの社内研修プログラムでは、「引き算の美学」という不必要な部分を徹底的にそぎ落とすことの大切さを教えているようです。

目次

引き算の美学

「Appleでのコミュニケーション」という講義のなかで、ピカソの抽象画「雄牛」を教材に、不必要な部分をそぎ落としていくことの重要性を教えている

アップル大学の内幕

引き算の美学って難しいですよね。算数の引き算ではなく、削ぎ落とすという意味ですからね。ですが、余計な部分が削ぎ落とされたシンプルさは魅力的です。

これだけ良い素材があふれているため、こういった「引き算の美学」は、プロダクトだけではなく、様々なところで取り入れられています。

日本料理もどちらかというと素材の余計な部分を取り除いて、素材本来の旨さを際立たせる引き算の料理法ですよね。海外の料理は、素材に色々と味付けを加えていく、足し算の料理法な気がします。

小さな工務店ほど注文住宅に「引き算の美学」を取り入れた方が良い理由
鍋も引き算料理のひとつ!?

良い物があふれている時代に、さらにあれこれ足して勝負する戦いは不毛!?

これだけ良い物があふれている時代に、さらにあれこれ足して勝負する戦いは不毛な結果をもたらしそうです。

「Surface Pro 3 vs. MacBook Air」の不毛な戦い

道具の使い方など人によってさまざまだから、一概にどちらが優れているかを議論してもあまり意味がない。そういう前提で、「削ること」を意識的に強いるという「引き算のアプローチ」をやってこそ、やっと得られる大きな無形の価値がある──そんなことが、このビデオからはっきり読み取れる。

モノのデザインに限らず、たとえば暮らし方などにも役立ちそうな、「覚えておいて損のない」ことだろう。

「Mac vs. PC」から見えてくること

Surface ProもMacBook Airもどちらもいいものだし、使う人によって、選ぶ商品も変わってきますよね。だから、シェア100%なんてないってことです。

どちらの機能がすごい、性能が高い、デザインがいいなど、性能、素材、価格だけで勝負しようとする現代住宅の不毛な戦いに似ていますね。どの業界にも共通したあるあるなんですが、センスがない人ほど、あれこれ付け足したがる傾向があるように思えます。

住宅において余計な部分とは何でしょうか?シンプルに削ぎとれる部分はどこでしょうか?ここにこれからの家づくりの魅力が眠ってそうです。

小さな工務店ほど注文住宅に引き算の美学を取り入れた方が良い理由

1. 競争力の向上

小さな工務店が大手企業と競り合う場合、資源やスケールで勝負するのは非常に厳しいです。しかし、「引き算の美学」を採用することで、シンプルながらも高品質な住宅を提供する道が開かれます。これは消費者が求める「本質的な価値」をしっかりと提供する形になり、その結果として競争力が高まるのです。大手企業が多機能や豪華な装飾で勝負する中、小さな工務店が提供するシンプルで質の高い住宅は、消費者にとって新しい選択肢となり得ます。

2. コスト効率の向上

不必要な装飾や機能を省くことで、建築コストを削減できます。これは特に資源が限られている小さな工務店にとって非常に有用です。コストを抑えつつ、高品質な住宅を提供できると、顧客からの評価も高まります。さらに、コスト削減は長期的な運営にも寄与し、安定した経営を可能にします。

3. センスの発揮

「引き算の美学」は、センスが問われるアプローチです。不必要なものを削ぎ落とし、本質を見極める力は、工務店経営者自身のセンスと直結します。このセンスが高評価を受ければ、口コミや評判につながります。それが新たなビジネスチャンスに繋がる可能性もあり、経営者自身のブランド価値を高めるチャンスとなります。

4. カスタマイズの容易性

シンプルな基本設計があれば、それをベースに顧客の要望に応じたカスタマイズが容易になります。これは小さな工務店が柔軟に対応できる大きなメリットです。顧客が求める独自性や特別感を、効率よく提供することができます。これにより、顧客満足度が高まり、リピートや紹介につながる可能性が高くなります。

5. 持続可能な経営

「引き算の美学」を採用することで、無駄を省き効率的な運営が可能になります。これは長期的に見て、持続可能な経営に貢献します。特に小規模な工務店では、資源が限られているため、効率的な運営は生き残りに直結します。無駄なコストを削減し、本質的な部分に集中することで、持続的な成長が期待できます。

6. ブランドイメージの向上

Appleや日本料理のように、シンプルでありながら高品質なものは高く評価されます。同様に、工務店も「引き算の美学」を取り入れることで、ブランドイメージが向上します。これは、顧客が質の高いサービスや製品を求める現代において、非常に重要な要素です。高いブランドイメージは、新規顧客の獲得や既存顧客のリテンションにも寄与します。


総じて、小さな工務店が「引き算の美学」を採用することで、資源が限られている状況下でも高品質なサービスを提供でき、競争力を高めることが可能です。それは単に「引き算」をすること以上の、深い価値と独自性を生むのです。

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