工務店は家づくりの禁煙化で売上げは伸びるのか?

以前、工務店の新築戸建て住宅工事現場での喫煙問題について、禁煙工務店の記事を書きましたが、禁煙は単なるルールではなく、工務店の価値観や品質への取り組みとして、組織全体で推進することが求められると思っています。

工務店は家づくりの禁煙化で売上げは伸びるのか?
目次

飲食店では完全禁煙にすることで売上げが上がっている

飲食店では、分煙ではなく、完全禁煙にすることで売上げが上がる結果が出ているようです。

全国に展開するチェーンレストランにおいて、老朽化による改装を行う際に、全席禁煙化した52店舗と、喫煙席を壁と自動ドアで隔離する分煙化を行った17店舗の、改装前後の営業収入を比較しました。疫学で言えば観察研究に相当する研究です。結果は、禁煙化した店舗では営業収入は統計学的に有意に増加したのに対し、分煙化した店舗では有意な変化は認めませんでした。

《142》 研究:禁煙にすると飲食店の収入は減るか?

こちらの記事にも詳しく書いています。

実際、所得の低い人ほど喫煙率が高くなる傾向があります。

世帯年収が200万円未満の男性のうち、習慣的にたばこを吸っている人の割合が3人に1人以上いることが分かりました。

 厚生労働省が習慣的に喫煙している人の割合を調べたところ、昨年度は17.8%となり、10年間で4%減少しました。世帯年収別に喫煙している男性の割合を見てみると、年収600万円以上が27.3%、年収400万円以上600万円未満で29.4%、年収200万円未満では34.3%となり、年収が低くなるにつれて喫煙率が高くなっていることが分かりました。

低所得の男性3人に1人が喫煙者 厚労省調査

つまり、ローコストではない、ある一定以上の価格帯の家を建てるような所得層をターゲットとしているなら、「喫煙」であることは不利益になりやすいことが考えられます。

喫煙者を採用しない会社もある

仕事においての禁煙の動きは、他の業界にも浸透してきていて、 旅館やリゾートを運営する“リゾート運営会社”星野リゾートでは、喫煙者を採用しないという取組みを行っています。

工務店は家づくりの禁煙化で売上げは伸びるのか?
あなたはたばこを吸いますか?

星野リゾートが、喫煙者を採用しない理由は、大きく分けて、以下の3つのようです。

作業効率

喫煙者は血液中のニコチン含有量の減少により集中力を維持することができなくなります。 私のホテル業界での経験の中で、スタッフの集中力を維持させるため、勤務時間中に喫煙をさせる対応を行っているケースを何度も見てきました。これはスタッフ本人の能力の問題ではなく、中毒症状という病理的な原因によるものであり、結果的に社員の潜在能力を低下させています。

喫煙は社員の能力低下させる。

施設効率

健康増進法の施行により、企業内の職場では分煙環境が必要になってきております。しかし、リゾート事業においては、少しでもスペースがあるなら顧客へのサービスに当てるべきです。 採算性の理由から厨房や作業用のバックスペースも節約している時に、社員の喫煙場所に投資するのは利益を圧迫することになります。

喫煙場所に投資することは利益を圧迫する

職場環境

喫煙習慣のある社員には喫煙のための場所が設置され、より頻繁に休憩が認められるということは、喫煙習慣のない社員から見ると不公平に感じる問題です。 「なぜニコチン中毒の社員だけを企業は優遇するのか」とアルコール中毒の社員が主張したら、従業員食堂の横に社員用のバーを設置するのでしょうか。ニコチンが切れて集中できないという状況は、アルコールが切れて手が震えるという状況と差はありません。 全員が喫煙習慣のない社員で構成するA社と、全員が喫煙習慣のある社員で構成するB社が競争すると、B社は最初から不利な環境に置かれます。人口が減少に転じ、本格的な淘汰の時代に突入し、企業が厳しい競争環境にさらされている時に、わざわざ最初から不利な環境を受け入れるべきではなく、星野リゾートグループはA社を目指すことで自らを防衛する必要があります。星野リゾートグループは、顧客にご満足いただき、効率的な運営をすることで競争力を身につけようとしている発展途中の組織です。その構成員である社員の皆さんには、私たちの組織がより有利に戦えるようご協力いただきたいと思っております。

職場環境に不公平が生じ、競合との競争において不利になる。

工務店は家づくりの禁煙化で売上げは伸びるのか?

星野リゾートの教科書

  • 作者:中沢 康彦
  • 出版社:日経BP社
  • 発売日: 2010-04-15

喫煙者の多い家づくりが心地いいわけがない

2004年の建築業界では喫煙者の多さについて、こんな書き込みもあったようです。

建築業界の喫煙者の多さについて

どうでも良さそうな話題ではあるのですが。ここ10年位、日本あちこちの現場で建築業に携わって来ましたが、現場の大工さんも職員さんもほぼ9割以上が喫煙者なのですが一体何故こういう仕事に喫煙者が多いのか何か理由でもあるのでしょうか?ちなみに自分は煙草は吸えません…ヽ(;´д`)ノ

可能性1:先輩がみんな吸いながらダベってるから自分も溶け込むために吸い出す。
可能性2:現場で働き出す兄ちゃんはDQN系が多いからもともと吸ってる割合が高い。

肉体労働するとタバコが吸いたくなる、、、なんて事もないですね。普通の内勤だと、事務所が全部禁煙だったりして片身の狭い思いをしたり、喫煙室も狭くて汚かったりで、吸ってる人が徐々に減ったりしますが。外の仕事が多いから、そういう事にもならないってのもあるかなぁ。

>一体何故こういう仕事に喫煙者が多いのか何か理由でもあるのでしょうか?

喫煙者は喫煙所に集まるため(当然)、多いように見える可能性もありますね。ぷりん氏の経験とは違い、私の場合は吸わない方々ともそこそこ出会っております。なお、偶然ながら私も煙草は吸えません…ヽ(;´д`)ノ

考えますと、やはり労働はストレスが大きく溜まりますので、酒や煙草などスッとする物で発散しているのかもしれませんね。私はもっぱら炭酸飲料を愛飲しております。(笑)

後は年配の方から聞く話として、「若い頃、半人前に見られると施主さんから金をケチられた。仕事の内容とか関係なく見た目で判断されるなら、やはり大人っぽい箔、一人前の箔をつけないといけない。だから煙草や酒を飲めるようになって、後は中毒と同じだね」という談話などを聞いたことがあります。

建設業の設計部門ですが喫煙率が高いです。社内は全面禁煙ですがwis氏のいうように喫煙部屋で物事が決まったりして非常に不愉快だったりします。(喫煙部屋に内線電話を置くなよ!)喫煙者=DQNとは言わないけど,ニコチン・アルコールが手放せない業界というのは否定できませんね。

建築業界の喫煙者の多さについて

正直、住宅業界では、まだまだ喫煙率が比較的高いです。

現場の大工・職人を筆頭に、営業マンにも多いですね。胸ポケットにタバコを入れたまま、仕事をしている人もいたり・・・そういう人は、失礼だけど、やはりレベルが低いですよ。

  • タバコを吸わない人しか採用しない。
  • タバコを吸わない大工・職人にしか発注しない。

こういった取り組みで心地いい現場や家づくりを実現したいですね。

工務店は集客のためにも、もっと禁煙をアピールした方がいい理由

1. 品質とプロフェッショナリズムの象徴

禁煙は単なる「ルール」以上のものとして考えるべきです。それは工務店が提供するサービスや製品の品質、さらには企業文化そのものを反映しています。禁煙を徹底することで、お客様に対して「私たちは健康と安全を最優先に考えています」という強力なメッセージを送ることができます。このメッセージは、お客様が安心してサービスを利用できるように、また、高品質な製品を提供する企業であるという印象を強くします。

2. 健康志向の顧客層を引きつける

健康と環境に配慮した生活を求める人々は増えています。特に家を建てる際には、そのような価値観が重要視されます。禁煙をアピールすることで、このような顧客層を引きつける可能性が高まります。健康志向の高い顧客は、その価値観が合致する企業を選びやすく、長期的な関係を築く可能性も高いです。

3. 競争優位を築く

多くの工務店がまだ禁煙に対して消極的な場合、積極的に禁煙を推進することで一歩リードすることができます。これは、特に地域社会で評価され、口コミで広がる可能性があります。禁煙を前面に押し出すことで、他の工務店と差別化を図り、新たな顧客を獲得するチャンスを広げることができます。

4. 労働環境の向上

禁煙は作業効率や職場環境にも良い影響を与えます。これが結果として生産性の向上につながり、さらには従業員の満足度や顧客サービスの質も高まるでしょう。従業員が健康であれば、そのモチベーションも高く、顧客に対するサービスも向上します。これは、結果として顧客満足度の向上にも寄与します。

5. 社会的責任と企業イメージ

禁煙を推進することは、企業が社会的責任を果たしているという点でも評価されます。これが良い企業イメージを形成し、結果として集客につながるでしょう。社会的責任を果たす企業は、顧客からの信頼も高く、その結果、リピートや紹介、口コミによる新規顧客獲得につながります。


以上のように、禁煙をアピールすることは多くの面で工務店にとってプラスとなります。これからの時代、より多くの人々が健康と品質を重視する中で、禁煙は選ばれる工務店であるための重要なステップと言えるでしょう。

  • URLをコピーしました!
目次