工務店経営者の好きな住宅・建てたい住宅が、売れるとは限らない。小さな工務店ほど、本質的な原理・原則に沿うことが必要

先日、少し昔の漫画、「まじかる☆タルるートくん」を読み漁ってました。私が小学生の頃、少年ジャンプで連載していた漫画です。その単行本の話の合間合間に、作者である、江川達也氏による、漫画家デビュー話が書かれているのですが、話の中で、

技術を身に付ける以上に、「売れる」ことを意識しなければいけない!

と気付くんですよね。また、自分の好きな漫画を書くためにも、まずは売れよう!とも意識するわけです。

そんな意識の中から生まれた「まじかる☆タルるートくん」って、今読んでも、少年心をくすぐる内容なんですよ。ジャンプのコンセプト「友情・努力・勝利」に加え、売れる漫画の要素も盛り込んだ内容になっているわけです。かわいいキャラとか、ファンタジーとか、弱い主人公が段々強くなっていくとか、ちょいエロとか・・・

目次

好きな住宅・建てたい住宅が、売れるとは限らない。

上記のように、「技術を身に付ける以上に、「売れる」ことを意識しなければいけない!」わけですから、好きな住宅・建てたい住宅が、売れるとは限りません。

つまり、「いい住宅をつくれば、いいサービスをすれば、家が売れる。」が成り立つ現代ではなくなってきています。

なぜなら、いい住宅をつくろうとするところは沢山いますし、いいサービスをしようとするところも沢山います。なので、いいものというのは、最低限必要になっているということなのです。

「いいモノを作れば、売れる」という、ものづくりが得意な職人的発想だと、

  • いいCMを作れば、見てもらえる。
  • いい学校に入れば、出世する。
  • イイ男になれば、女性が振り向いてくれる。 etc…

と考えているのと似ていますね(笑)でも結果は…決してそうではないですよね。

マーケティングにおいても同じで、本質的な原理・原則があります。例えば、中小零細企業が実戦においては、抽象的で学術的なマーケティング論を学ぶ必要はないです。本質的な原理原則を、押さえておくだけで充分なのです。大手がやるような、テレビCMなどはイメージ戦略なので、中小零細企業が行うマーケティングとはかけ離れています。

その幾つかの本質的な原理・原則を、「22の法則」としてまとめられたものが本があります。実戦で有効性が証明されてきた「22の法則」とのこと。下記紹介します。

1994年に発売された本なので、もう20年経っているのですが、書かれている「22の法則」は、今でも通用する内容です。時代が変わっても、市場やターゲット、商品などビジネスの内容が変わっても、「不変」かつ「普遍」な部分が、マーケティングだと思います。

もちろん、この本の通りにやったからといって、必ず成功するとは言い切れません。でも、その逆のことをやっていたら、間違いなく失敗するのではないでしょうか。

以下、その22の法則を挙げています。補足説明も付け加えています。

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

1.一番手の法則

一番手になることは、ベターであることに優る。

工務店経営者へのヒント: 地域で最初に環境に優しい家を建てるなど、何かで一番手になることで、お客様の心に強く印象づけられます。

2.カテゴリーの法則

あるカテゴリーで一番手になれない場合は、一番手になれるあたらしいカテゴリーを作れ。

工務店経営者へのヒント: 既存の市場で競争が厳しい場合、例えば「ペットと一緒に住む家」など、新しいニッチなカテゴリーを作ってみましょう。

3.心の法則

市場に最初に参入するより、顧客の心に最初に入るほうがベターである。

工務店経営者へのヒント: 顧客との良好な関係を築くことで、心に残るサービスを提供しましょう。

4.知覚の法則

マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである。

工務店経営者へのヒント: 高品質な建築物を提供するだけでなく、その価値をしっかりとお客様に伝える必要があります。

5.集中の法則

マーケティングにおける最も強力なコンセプトは見込客の心の中にただ一つの言葉を植えつけることである。

工務店経営者へのヒント: 「信頼性」や「品質」など、一つの強力なキーワードでブランドを築きましょう。

6.独占の法則

二つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植えつけることはできない

工務店経営者へのヒント: 独自の価値提案をしっかりと打ち出し、他社とは違う印象を顧客に与えましょう。

7.梯子の法則

採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの段にいるかによって決まる。

工務店経営者へのヒント: 自社の市場での位置を正確に把握し、それに応じた戦略を練りましょう。

8.二極分化の法則

長期的に見れば、あらゆる市場は二頭の馬の競走になる。

工務店経営者へのヒント: 主要な競合とどう差別化するかを考え、長期的な戦略を練る必要があります。

9.対立の法則

ナンバーツーの座を狙っている時の戦略はナンバーワンの在り方によってきまる。

工務店経営者へのヒント: 市場でトップの企業とは何が違うのかを明確にし、その差を活かす戦略を考えましょう。

10.分割の法則

時の経過とともに、一つのカテゴリーは分割し、二つ以上のカテゴリーに分かれていく。

工務店経営者へのヒント: 市場が変化する中で、新しいサブカテゴリーに早めに対応することが重要です。

11.遠近関係の法則

マーケティングの効果は、長い時間を得てから現われる。

工務店経営者へのヒント: 短期的な利益よりも、長期的な顧客関係を重視しましょう。

12.製品ライン拡張の法則

ブランドの権威を広げたいという抗しがたい圧力が存在する。

工務店経営者へのヒント: 新しいサービスや製品を追加する前に、既存の品質を維持することが重要です。

13.犠牲の法則

何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない。

工務店経営者へのヒント: 特定の市場に焦点を当てることで、その市場で成功する可能性が高まります。

14.属性の法則

あらゆる属性には、それとは正反対の、優れた属性があるものだ。

工務店経営者へのヒント: 競合他社が強調していない点を見つけ、それを自社の強みとしてアピールしましょう。

15.正直の法則

あなたが自分のネガティブな面を認めたら、顧客はあなたにポジティブな評価を与えてくれるだろう。

工務店経営者へのヒント: 透明性と誠実性を持って顧客とコミュニケーションを取ることが信頼を築く鍵です。

16.一撃の法則

各々の状況においては、ただ一つの動きが重大な結果を生むのである。

工務店経営者へのヒント: 一つの大きなプロジェクトや提案が成功すると、それが会社全体を大きく前進させる可能性があります。

17.予測不能の法則

自分で競合相手のプランを作成したのでない限り、あなたが将来を予測することはできない。

工務店経営者へのヒント: 常に市場を監視し、柔軟に戦略を調整する能力が必要です。

18.成功の法則

成功はしばしば傲慢につながり、傲慢は失敗につながる。

工務店経営者へのヒント: 成功しても謙虚な姿勢を忘れず、常に改善と成長を目指しましょう。

19.失敗の法則

失敗は予期することもできるし、また受け入れることもできる。

工務店経営者へのヒント: 失敗は避けられない場合もありますが、その失敗から学び、次に生かすことが重要です。

20.パブリシティの法則

実態は、マスコミに現れる姿とは逆である場合が多い。

工務店経営者へのヒント: メディアの評価だけに依存せず、実際の顧客満足度を高める努力が必要です。

21.成長促進の法則

成功するマーケティング計画は、一時的流行現象(ファッド)の上にきずかれるのではない。トレンドの上に築かれるのだ。

工務店経営者へのヒント: 長期的なトレンドに注目し、その上でビジネスモデルを構築することが成功の鍵です。

22.財源の法則

しかるべき資金がなければ、せっかくのアイデアも宝の持ち腐れとなる。

工務店経営者へのヒント: 良いアイデアがあっても、それを実現するための資金計画が必要です。


以上の22点です。詳細は割愛しますが、「4.知覚の法則・商品の戦いではなく、知覚の戦いである。」というのは、簡単にいうと「〇〇と言えば■■である。」ということですね。

小さな工務店ほど、本質的な原理・原則に沿うことが必要な理由

資源が限られているからこそ、効果的な戦略が必要

大手企業と違い、小さな工務店には資源が限られています。広告予算、人手、時間――これらはすべて貴重な資源です。そのため、効果的なマーケティング戦略が必要です。本質的な原理・原則に沿った戦略を採用することで、限られた資源でも最大限の効果を上げることができます。資源が少ないからこそ、その使い方一つで大きな差が生まれるのです。無駄な投資を避け、効率的に顧客にアプローチする方法を見つけ出すことが、小さな工務店にとっては非常に重要です。

地域社会との密接な関係

小さな工務店は、地域社会と密接な関係を持っている場合が多いです。そのため、「心の法則」や「信頼性」など、顧客との深い関係性を築くことが特に重要です。地域での評判は口コミで広がり、新しいビジネスチャンスにつながる可能性が高いです。地域社会との関係性は、長期的なビジネスの成長にも寄与します。地域の人々との信頼関係を築くことで、安定した顧客基盤を形成し、持続的な成功が可能になります。

ニッチな市場での競争力

大手企業が手を出しにくい、特定のニッチな市場で成功するチャンスがあります。例えば、「ペットと一緒に住む家」など、特定の需要に特化したサービスを提供することで、その市場で一番手になる可能性があります。ニッチな市場をターゲットにすることで、大手企業とは違った角度から市場にアプローチでき、独自の価値を提供することが可能です。これは、小さな工務店が大手企業に勝る点であり、その強みを最大限に活かすべきです。

柔軟性とスピード

小規模ながらも、その柔軟性とスピードは大手企業にはない利点です。市場のニーズに応じて素早く戦略を変えることができるため、本質的な原理・原則に沿った効果的な戦略を速やかに実行することができます。この柔軟性は、市場環境や顧客のニーズが急速に変わる現代において、非常に価値のある特性です。変化に素早く対応できることで、競合他社よりも一歩先を行くことが可能になります。

顧客との一体感

小さな工務店では、顧客との距離が近いため、顧客のニーズや要望に直接耳を傾けることができます。これは、「顧客の心に最初に入る」ことを可能にし、長期的な顧客関係を築く上で非常に有利です。顧客と密接な関係を築くことで、そのニーズに応じたサービスや商品を提供することができ、顧客の満足度を高めることができます。これは、長期的なビジネスの成功に直結します。


以上のように、小さな工務店が本質的なマーケティングの原理・原則に沿うことは、限られた資源を最大限に活用し、持続可能なビジネスを築くために不可欠です。大手企業が行うような派手な広告やプロモーションに振り回されることなく、確固たる戦略で市場に立ち向かうことが求められます。これによって、小さな工務店でも大きな成功を収めることが可能です。本質的な原理・原則を理解し、それに基づいて戦略を練ることで、持続的な成長と成功が手に入るでしょう。

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