工務店は顧客の子供を巻き込む家づくりを提案した方がいい理由

建築家の伊東豊雄さんと言えば、「子ども建築塾」という、小学校高学年の児童を対象に、一年を通して建築やまち、環境について考えるカリキュラムを提供しています。

目次

子どもは全身で考える『伊東豊雄 子ども建築塾』

塾に通う子供たちは1年の内、前半は家の図面の描き方や、模型作り、設計を学び、後半は「まちの建築」までしてしまうとのこと。・・・結構、本格的ですね。

工務店は顧客の子供を巻き込む家づくりを提案した方がいい理由
子ども建築塾

小学校高学年の児童を対象に、一年を通して建築やまち、環境について考えます。 前期は「いえ」をテーマに、図面の描き方、模型のつくり方、発表の仕方などを学びながら、一軒の「自然の ようないえ」を設計します。建築のかたち、空間、機能、スケールを学びながら、想像力あふれるいえの設計 を学びます。 後期は「まち」をテーマに、都内のまちを皆で歩きながら、まちの成り立ちや公共空間について考えます。実 際のまちなかに設定した敷地に「まちの建築」を設計し、最終的にはみんなでひとつのまちを完成させま す。まちの歴史や文化、地形や環境をふまえた上で、人が集まることによって生まれるにぎわいなど、都市全 体を広い視野から考えます。

子ども建築塾 「 いえとまちって何 だろう?」

建築って、主観と客観の両方を鍛えることができるので、その後どんな仕事に就こうが活かせると思っています。

その子ども建築塾で行われている講座を、写真やイラストで分かりやすくまとめた本がこちら。

工務店は顧客の子供を巻き込む家づくりを提案した方がいい理由
『伊東豊雄 子ども建築塾』伊東豊雄・松村伸ほか著(LIXIL出版・2300円+税)

子供のためになぜ「塾」を開いたのか?という以下の記事も読んでみてください。

伊東豊雄といえば、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー建築賞も受賞した建築界では知らぬ者はいない巨匠建築家である。そんな彼が2011年、NPO「これからの建築を考える」を立ち上げ、建築を通じた子供向けの私塾「子ども建築塾」の活動を始めた。そこに一体、どのような狙いや考えがあるのか?また、建築を通じどのようにして課題解決をしてきたのか?東京・代官山にある伊東豊雄の事務所を訪ねた。

【伊東建築塾】 なぜ世界的な建築家が、子供のために「塾」を開いたのか?

「伊東さんだから、こういったことができる」というわけではないですよね。

子ども建築塾で教えている内容は、

  • いえって何だろう?
  • 自然のようないえはどんな感じ?
  • 模型って何だろう?
  • いえの模型づくりに挑戦しよう
  • いえのアイデアをまとめよう
  • まちって何だろう?
  • 敷地を探しに行こう
  • どんなまちの建築をつくる?
  • まちの建築の模型をつくろう

などの、すごくシンプルなテーマです。

子どもたちにわかりやすくしていて、実践するよう行動させてますね。

工務店は顧客の子供を巻き込む家づくりを提案した方がいい理由
年間カリキュラム(予定)

工務店は顧客の子供を巻き込む家づくりを提案した方がいい理由

地域密着型を目指すなら、上記のような大掛かりなことも良いのですが、小さな工務店にはちょっと難しい話です。

ただ、本質的なこと汲み取って工務店経営に取り入れるとするなら、「顧客の子供を巻き込む家づくり」になるのではないでしょうか?

新鮮でユニークな視点に気付かされる

子供たちは大人とは異なる視点で物事を捉えます。彼らの純粋な感性や直感は、家づくりに新しい風を吹き込むことができるのです。大人が見過ごしてしまうようなディテールや、子供たちだけが感じ取ることができる空間の魅力を取り入れることで、家族全員が心地よく暮らせる家のヒントになるかもしれません。

家族全員の参加で満足度がアップする

家づくりは家族全員のプロジェクトと言えます。子供たちも参加することで、家族全員が納得のいく家を作ることができます。子供たちの意見や希望を取り入れることで、家族の絆も深まり、共同でのプロジェクト遂行の喜びを共有することができるでしょう。

教育的な側面もある

「子ども建築塾」ほどでないにしても、子供が家づくりに参加することで、建築や設計の一部をかじることができ、子供たちの教育にも役立ちます。突き詰めていけば、空間認識能力や計画性、コミュニケーション能力など、多くのスキルを育むチャンスになるでしょう。また、実際の家づくりのプロセスを通して、社会の仕組みや職業についての理解も深まるでしょう。

地域とのつながりを強化できる

子供たちが地域の建築や環境に興味を持つことで、地域社会とのつながりも深まるでしょう。地域の歴史や文化を学びながら、新しい家を建てることで、地域との一体感を感じることができます。これは、地域のコミュニティとの関係を強化し、長期的な信頼関係を築く上で非常に有効です。

長期的な視点での家づくりになる

子供たちが大人になったとき、彼らが自分たちの家をどのように使いたいのか、そのビジョンを共有することで、将来的なリフォームや変更の際の参考にもなります。これにより、家が長く愛されるものとなり、持続可能な住まいの実現につながるでしょう。

工務店の独自性をアピールできる

多くの工務店が大人だけを相手にした似たような提案をしている中、子供たちを巻き込むことで、工務店の独自性や魅力をアピールすることができます。これは、顧客からの信頼を得る大きなポイントとなるでしょう。独自のサービスや提案を行うことで、他の工務店との差別化を図ることができます。

次世代への投資になる

子供たちに建築や設計の楽しさを伝えることで、将来的に彼らが家を建てる際のパートナーとして、工務店を選んでくれる可能性も。これは、長期的なビジネスの展望としても有益です。次世代の顧客との関係を早い段階から築くことで、持続的なビジネスの成長を期待することができるでしょう。


子供たちを家づくりのプロセスに巻き込むことは、ただの一時的な楽しみではなく、家族全員が納得のいく家を作るための大切なステップです。工務店としても、この新しいアプローチを取り入れることで、顧客との信頼関係を深め、ビジネスの新しい可能性を広げることができるでしょう。

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