工務店は注文住宅における正解のない「子供部屋」に対してどのように向き合うべきか?

トヨタが父の日向けに公開したこの動画、高評価ですごく話題になっていますね。衝突回避システムのCMになりますが、父親・娘のストーリーでそれぞれの視点から描き出された感動を誘う上手い演出です。

目次

トヨタCM「父と娘」篇

父の日に、世界中の親子へ贈る物語。父の目と、娘の目。クルマを舞台に繰り広げられる­­人生の軌跡を、2つの視点から描き出した新感覚ダブルサイド・ストーリー。その眼差­し­に映し出される、本当の想いとは・・・

衝突回避システムの話はまったくないですが、ストーリーを通じて、その重要さを最後にさり気なく伝えています。

親の心子知らず、子の心親知らず。やはり、世代や立場が変われば、同じ時間・同じ状況でも見ている視点は違うんですよね。

家づくりでも、親と子でも違いは出てくるわけです。

子供が家を考えたら、建てなくていいという答えも出てくる

以前、こんなケースがありました。

夫婦が間取りのことで軽くもめ、悶々とした日々が続いてると、その様子を4歳のお子さんが感じ取り、こんなことを言ったそうです。「家建てるのにケンカするんだったら、建てなきゃいいでしょ!狭くてもみんなが一緒にいれるなら、今のままでいいよ!」と・・・

子どもは、家の本質を、本能的に感じ取っているのかもしれませんね。

親は「子供のため」と言って、家を建てることが多いですが、子どもがガンガン自己主張するわけではないので、親の自己満足になりやすいのは否めませんね。子供部屋なんてまさにそう、「子供部屋は◯帖なきゃダメ」なんて誰が決めたんでしょう。

子供部屋は居心地を悪くした方がいい?

昔、尾木ママこと尾木直樹さんが「子供部屋は居心地を悪くした方がいい」ということを言ってた気がしますが、居心地の悪い空間をつくるぐらいなら、初めからない方がいいですね。

その他、居心地ではなく、「狭くする方がよい」という意見もあります。

https://twitter.com/girlmeetsNG/status/1400941799049338881
https://twitter.com/chocoholic___93/status/1401121945735868420

個人的には、子どもが住みながら成長する中、自分自身で自分の空間を作っていく・決めていける状況にしてあげることの方が大事な気がします。

個室が欲しいのか欲しくないのか、壁がいるのかいらないのか、仕切るのは壁なのか何なのか、そういったことを自分で考えられるよう、自分で人(家族)との距離や物との距離を決めていけるチカラを付けさせる。暮らし方の可変性と、間取りの可変性ですね。そんな可変性のある家を、子育てと設計とで作っていく必要があると思っています。

「部屋は最初に作らないと、後からでは作れない」なんて、作り手側の都合の良い先入観ですから。

・・・と、まぁ、子供部屋はこれ!という正解なんてないんですよ。不正解はたくさんありそうですが。

工務店は注文住宅における正解のない「子供部屋」に対してどのように向き合うべきか?

子供部屋に関する「正解」は存在しない。この前提があるからこそ、工務店としては、この「正解のない問題」にどう対応するかが重要です。

1. 家族全員でのコミュニケーションを強化する

まず第一に、お客様としっかりとコミュニケーションを取ることが大前提です。親が「子供のために」と考えていることが、実は子供にとって最良ではない場合もあるわけですから、そのギャップを埋める役割が工務店にはあります。具体的には、家族全員でのミーティングを設け、子供自身も参加することで、その意見や希望を直接聞くことができます。子供が小さすぎて意見が言えない場合もありますが、その場合でも親が子供の代わりになって考えるよりも、多角的な視点からアプローチすることが大切です。

2. 設計の柔軟性を考慮する

次に、設計の柔軟性を考慮することが重要です。子供が成長するにつれて、そのニーズは変わっていくものです。だからこそ、後からでも変更がきくような設計を心がけましょう。例えば、間仕切りを後から取り外せるようにする、または、壁を動かせるようにするなどです。これにより、家族のライフステージが変わったときにも柔軟に対応できます。

3. 家族のライフスタイルや価値観に合わせた提案をする

最後に、家族のライフスタイルや価値観に合った提案をすることが非常に重要です。一般的な「子供部屋のあり方」に囚われず、その家族が何を大切にしているのかを理解し、それに基づいた提案をすることが求められます。例えば、家族が多くの時間を共有することを重視するなら、オープンな空間の提案もありです。逆に、プライバシーを大切にしたい場合は、個々の空間をしっかりと確保する提案が必要です。

4. 長期的な視点でのプランニング

さらに、子供が大きくなった後のことも考慮することが重要です。例えば、子供が大学に進学して家を離れる可能性も考慮に入れ、その後の部屋の使い道(例:ゲストルーム、趣味の部屋など)も一緒にプランニングすると良いでしょう。

5. 教育との連携

最後に、子供部屋はただの「空間」ではありません。それは子供の成長、教育にも密接に関わっています。だからこそ、教育的な観点からもその空間をどう活用するかを考えることが重要です。例えば、学習スペースを設ける、または、創造性を育むためのスペースを作るなど、子供の成長に合わせて部屋をアレンジすることも考慮に入れましょう。


子供部屋に関する「正解」はないからこそ、その多様性と柔軟性を最大限に活かす設計とコミュニケーションが求められるわけです。それが、工務店が注文住宅において、この難題にどう向き合うべきか、という答えではないでしょうか。

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