工務店のホームページ(Webサイト)で信頼性を高める10のガイドライン

ホームページの役割が、集めるためのものから「信頼を築くためのもの」に変化してきているということは、以前、このサイトでも取り上げました。集まる&集める流れは、他の部分にあるということです。なので、ページそのものは、しっかりとした信頼を築くために活用していく必要があるのです。

つまり、偽りの内容にいつまでも頼っていると、一向に集客できない方向へと進んでいくわけです。「Webサイトの信頼性を高めるにはどうしたほうがいいか?」「信頼に足りるメディアとするために大切なことは何か?」そんな考えが、住宅系のWEBサイトにも求められてきています。

目次

Webの信頼性に関するスタンフォード・ガイドライン

スタンフォード大学が、「Webの信頼性に関するスタンフォード・ガイドライン」という、10項目からなるガイドラインを公開しており、どうすればサイトの信頼性を高められるかを紹介しています。

内容は英語ですが、Web担では訳され、日本語でまとめられていますよ。

  1. サイトにある情報の正確性を検証しやすいようにする
  2. サイト運営しているのが実際の組織であることを示す
  3. 組織・コンテンツ・サービスにおける専門性を強調する
  4. サイトを運営しているのが誠実で信用に足りる人間であることを示す
  5. 連絡を容易にとれるようにする
  6. サイトのデザインを、プロフェッショナルに見えるもの(または目的に合ったもの)にする
  7. サイトを使いやすく、有益にする
  8. サイトのコンテンツをよく更新する(または見直したことを示す)
  9. 広告や値引きなどのプロモーションコンテンツは抑制する
  10. エラーはどんなものでも避ける。どれだけ小さなものでも
信頼性の高いオウンドメディアを作る10のガイドライン by スタンフォード大学

10のガイドラインを工務店のホームページに落とし込んでみると・・・

1.サイトにある情報の正確性を検証しやすいようにする

自分たちだけの情報に頼るのではなく、第三者の情報や研究を引用・参照することで、サイトの内容に深みと信頼性を持たせることができます。このような外部の情報を取り入れることで、読者に対して情報の正確性や公平性を示すことができるのです。

しかし、時折、自分のオリジナルの内容であるかのように見せかけて、実際の引用・参照元を明示しない記事を目にすることがあります。このような行為は、意図的であるか偶然であるかに関わらず、読者から見れば情報の盗用、すなわち「パクリ」と見なされるリスクが高まります。そして、そのような事実が明らかになった場合、サイトの信頼性は大きく損なわれるでしょう。

情報の信頼性や透明性を保つためにも、元となる情報や記事を正確に引用・参照し、その出典を明示することは非常に重要です。それにより、読者は情報の背景や根拠を理解し、より深く内容を信じることができるのです。

2.サイト運営しているのが実際の組織であることを示す

簡単に言うと、会社情報ですね。具体的には、会社の所在地や住所、アクセスを示す地図、連絡を取るための電話番号などの基本情報を明示的に公開することが求められます。これにより、訪問者は会社が実際に存在する確かな組織であると感じることができます。

さらに、特定の業界や職種においては、特別な許可や登録が必要となる場合があります。例えば、工務店の場合、建設業の適正な運営を示すための建設業許可番号の公開は欠かせません。また、設計事務所においても、その専門性や資質を証明するための事務所登録番号を公表することが必要です。

これらの情報は、業界の信頼性や透明性を高めるための重要な要素となり、訪問者の信頼を勝ち取るための鍵となるのです。

3.組織・コンテンツ・サービスにおける専門性を強調する

「何でも出来る」という幅広い家づくりのアプローチも魅力的ですが、特定の分野や技術に焦点を当て、その専門性を深めていく方が、訪問者にとっては印象が強く残ります。例えば、地震に強い構造の家や、冷暖房の効率を極めた高気密高断熱の家など、特定のテーマや技術に特化した内容は、その分野に興味を持つ人々の心を掴むことができます。さらに、その専門分野での権威者や専門家からの推薦やコメント、または同じ考え方や価値観を共有する仲間との連携や共同プロジェクトなどの情報を公開することで、サイトの信頼性や専門性を一層高めることができます。

一方で、ブログランキングや他の業界とは関係のない外部サイトへのリンクなど、訪問者にとっては余計な情報や不要なコンテンツは、サイトの整合性や一貫性を乱す可能性があります。これらの情報やリンクは、サイトの信頼性や品質を損なう要因となり得るため、適切に取り扱うか、あるいは削除することを検討することが推奨されます。

4.サイトを運営しているのが誠実で信用に足りる人間であることを示す

やはり人ですね。訪問者がサイトを運営する人物や組織を信頼するための大きな要素となります。プロフィールページは、その人物の専門性や経験、人としての魅力を伝える場所です。そのため、顔写真や活動の様子を示す画像、そして具体的な経歴や実績をテキストで詳しく紹介することで、訪問者との信頼関係を築く土台を作ることができます。

もちろん、プライバシーやセキュリティの観点から、自身の詳しい経歴を公開することが難しい場合もあると思います。ただ、そのような状況であっても、公開できる範囲で「どのような経験を持っているのか」「どのような価値観やビジョンを持って活動しているのか」を明確に伝えることは可能です。例えば、具体的な年数や在籍した会社名を出さずとも、業界での経験年数や取得している資格、過去のプロジェクトの概要などを紹介することで、その人物の専門性や信頼性をアピールすることができます。

5.連絡を容易にとれるようにする

現代の社会では、スマートフォンの利用が一般的となっており、多くの人々が手軽に情報を取得したり、サービスを利用したりしています。特に、注文住宅やリフォームを検討しているお客様は、サイトを訪れて興味を持った際に、すぐに質問や相談をしたいと感じることが多いでしょう。そのため、サイト上で電話番号を明示し、その番号をタップするだけで直接電話がかけられるように設定することは、非常にユーザーフレンドリーな対応と言えます。

しかし、電話だけではなく、現代のコミュニケーション手段は多岐にわたります。特に若い世代や、電話を避ける傾向のあるユーザーにとって、チャット機能やLINE、メールフォームなどのオンラインでの問い合わせ手段は非常に重要です。これらのツールをサイトに組み込むことで、より多くのお客様からのアクセスや問い合わせを受け付けることができ、チャンスを増やすことができます。また、これらのツールを導入する際には、返信のスピードや対応の質も重要となるため、適切な体制を整えることも忘れずに行いたいところです。

6.サイトのデザインを、プロフェッショナルに見えるもの(または目的に合ったもの)にする

ぱっと見のデザインは、訪問者がサイトに対して最初に持つ印象を大きく左右します。特に、工務店のホームページの場合、訪問者は家づくりのイメージや信頼性をデザインから感じ取ります。この点で、単にサイトのレイアウトや配置だけでなく、使用される写真や文章、色合いなどのビジュアル要素が非常に重要な役割を果たします。高品質な写真や、工務店の特色を伝える文章は、訪問者の興味を引きつけ、サイトの信頼性を高める要因となります。

しかしながら、他の成功している工務店のホームページのデザインをそのまま模倣するのは適切ではありません。なぜなら、各工務店には独自のコンセプトや特色があり、それを反映したオリジナルのデザインが求められるからです。他社のデザインを参考にすることは良いですが、それをそのままコピーするのではなく、自社のアイデンティティやブランドイメージをしっかりと表現したデザインを心がけることが、サイトの信頼性や魅力を高める上で不可欠です。

7.サイトを使いやすく、有益にする

ホームページの使いやすさは、訪問者がサイト内での行動を決定する大きな要因となります。特に、工務店のホームページでは、お客さんが家づくりに関する情報を求めて訪れることが多いため、その情報が簡単にアクセスでき、かつ分かりやすく提示されていることが重要です。例えば、家の設計例や施工事例、使用材料の詳細など、具体的で有益な情報を整理して掲載することで、訪問者の関心を引きつけることができます。

さらに、サイトの操作性やデザインの見やすさも、訪問者の滞在時間や行動に影響を与えます。メニューの配置やボタンの大きさ、文字の読みやすさなど、細部にわたるデザインの工夫が求められます。特に、資料請求のフォームは、お客さんとの最初のコンタクトポイントとなる場合が多いため、入力しやすく、エラーが出にくい設計にすることが必要です。

そして、現代ではスマホの利用が増えているため、ホームページはパソコンだけでなく、スマホやタブレットにも対応したレスポンシブデザインが不可欠です。スマホでの閲覧時にも、情報が正確に伝わり、操作がしやすいサイト設計を心がけることで、より多くのお客さんからの信頼を獲得することができるでしょう。

8.サイトのコンテンツをよく更新する(または見直したことを示す)

ホームページのコンテンツの更新頻度は、そのサイトが活発に運営されているかどうかの指標となります。特に、工務店のホームページでは、新しい施工事例や最新の建築トレンド、新しい材料や技術に関する情報など、訪問者が求める情報が日々変わる可能性があるため、コンテンツの更新は非常に重要です。ブログはその最たるもので、定期的な投稿を通じて、工務店の最新の動向や考え方を共有することができます。

しかし、ただ更新するだけでなく、その更新を訪問者に伝えることも大切です。例えば、新しい記事や情報が追加された際には、トップページや目立つ位置に「新着情報」として掲載する、または更新日を明示することで、訪問者に新鮮な情報を提供していることをアピールできます。さらに、長期間更新がないページでも、内容を見直し、その情報が最新であることを確認した上で、「最終更新日」を表示するなどして、訪問者にそのページの情報が正確であることを保証することも考えられます。

このように、サイトのコンテンツを定期的に更新し、その更新を訪問者に効果的に伝えることで、ホームページの信頼性を一層高めることができるでしょう。

9.広告や値引きなどのプロモーションコンテンツは抑制する

ホームページの主要な目的は、工務店のサービスや価値を伝えることです。そのため、広告や過度なプロモーションコンテンツが多いと、訪問者はそのサイトの真の目的や価値を見失ってしまう可能性があります。特に、工務店のホームページでは、信頼性や専門性を伝えることが重要ですので、広告の掲載は最小限に抑えることが望ましいです。

実際、多くの専門的なホームページやビジネスサイトでは、広告を掲載することは少ないです。しかし、初期のコストを抑えるために無料のブログサービスやホームページ作成サービスを利用する場合、自動的に広告が表示されることがあります。これらの広告は、サイトのプロフェッショナルさを損なう可能性があり、訪問者の信頼を失うリスクがあります。

そのため、もし無料のサービスを利用している場合でも、広告を非表示にするための有料オプションを検討する価値があります。少しの投資で、サイトの信頼性や専門性を高めることができるのです。広告の掲載を避けることで、訪問者にとってのサイトの価値を最大化し、真のメッセージや情報を効果的に伝えることができるでしょう。

10.エラーはどんなものでも避ける。どれだけ小さなものでも

ウェブサイトにおけるエラーは、訪問者のユーザー体験を大きく損ないます。工務店に限らずビジネスサイトでは、エラーの存在はプロフェッショナルさや信頼性の欠如と見なされる可能性が高いです。最も一般的に遭遇するエラーは、リンク切れで、これは訪問者が求めている情報へのアクセスを遮断することになります。また、問い合わせフォームのエラーやメール送信の障害は、顧客とのコミュニケーションの障壁となり、受注の機会を逃す原因ともなります。

さらに、細かいエラー、例えばタイポや画像の表示不具合なども、サイトの品質や信頼性に疑問を持たせる要因となります。これらの小さなエラーは、運営者にとっては見落としやすいものですが、訪問者はそれを見逃すことはありません。そのため、定期的なサイトのチェックやテストを行い、エラーを未然に防ぐことが重要です。


「Webの信頼性に関するスタンフォード・ガイドライン」は2002年の発表ということで、一見時代遅れに思えるかもしれませんが、ウェブサイトの基本的な信頼性の要点に関しては、時代を超えてその価値を保っています。技術やデザインのトレンドは変わるかもしれませんが、信頼性や信用性を築くための基本的な原則は変わらないのです。工務店のホームページ運営に関わる方々にとって、このガイドラインは今でも非常に参考になる資料と言えるでしょう。

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