自治体の人口も工務店の集客もパイの奪い合いである

出生率で「奇跡の村」と呼ばれた長野県下條村のその後を調べてたら、興味深かったので、改めて取り上げています。

でも、まずはその前に、当時の話から・・・

目次

「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に向けた緊急対応で、住宅関連に350億円計上されても・・・

平成27年度の国土交通省補正予算案のうち、住宅関連については、消費税増税による影響を軽減する「すまい給付金」の200億円。また、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」として、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に向けた緊急対応で、住宅関連に350億円計上されている。とのこと。

その内訳は、以下の通り。

●「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に向けた緊急対応

(1)三世代同居・近居がしやすい環境づくり 63億100万円
(2)サービス付き高齢者向け住宅の整備の加速 189億円
(3)既存住宅団地における子育て世帯等が暮らしやすいまちづくり 97億9900万円

多分ですが、こんなことやっても大して変わらない気がしますね(笑)特に出生率の上昇って、工務店や設計事務所も建主側も自分事に感じないので、どうでもいいことですから。

結果、2022年は1.26で05年に並んで過去最低

実際、2022年の合計特殊出生率は過去最低だったようです。

厚生労働省は2日、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が2022年は1.26だったと発表した。05年に並んで過去最低となった。低下は7年連続で、新型コロナウイルス禍での婚姻数の低迷などが影響した。社会や経済の活力を維持できるかの瀬戸際にあり、出産や子育てなどへの若年層の経済不安を取り除くための対策が急務となる。

22年の出生率1.26で過去最低 出生数7年で2割減

補助金使わずに、出生率を2人以上にした長野県の下條村の取組み

補助金使わずに、出生率を2人以上にしている長野県の下條村の取組みをみていると、地方が独自で子育てしやすい環境をつくることが、近道なような気がします。平成26年時点で、全国の出生率は1.4人ぐらいなのに比べて、2人以上ですから、かなりすごいですよ。

出生率は2.03人! 長野県下條村の子育て世代に嬉しい支援事業とは?

日本アルプスに囲まれ、過疎に悩まされていた長野県の人口4000人の小さな村で、全国平均を大きく上回る出生率! その背景には、子育て世帯のかゆいところに手が届く数々の支援事業があった。田舎暮らしの本2015年9月号にて、詳しく紹介しています。(文・写真/吉田智彦)

自治体の人口も工務店の集客もパイの奪い合いである
出生率は2.03人! 長野県下條村の子育て世代に嬉しい支援事業とは?

下條村が行ってきた取り組みとは・・・

下條村が行ってきたのが、村営の若者定住促進住宅の建設です。広さ約65平方メートルの2LDKに車2台分の駐車場が付いて、家賃は月3万4000円。

・・・安いです!

これには、

  1. 年齢は問わず子育て中であること。
  2. 運動会や消防団活動など、村の行事に参加すること。

という、入居条件を付けていて、子どもが増えるように仕掛けているわけです。国の補助金を使わないのも、こういった独自のルールを設けたいからのようですね。

また、住居だけでなく、出産や入学の都度、祝金が出て、保育所に同時期に2人以上入所した場合、保育料が第2子で半額、3歳以上の3子以降で無料。さらに、医療費も高校生まで無料化されているとのこと。

聞いているだけで、子育て世帯は住みたくなる優しい環境ですよね。

地域によって独自性が出てくると日本ももっと面白くなりますよ。働き手が優遇される地域があったていいわけです。

毎月掛かる生活の固定費で一番の負担は、家賃(住宅ローン)

何だかんだで毎月掛かる生活の固定費で一番の負担は、家賃とか住宅ローンなわけです。もしここの負担が軽減されれば、どれだけ楽か。

今後は、長が一回り若い世代に変わったりとかで、子どもが増えるような条件付きの低価格の若者定住促進住宅は、増えていくと思っています。さらには、空き家もあるわけですから、それらも活用されながら・・・規格して合理化できたら0円だって夢じゃないはず!?

注文住宅の立場としては、その先ですね。規格や合理化を超えた、わざわざ建てる価値を見いだして感情を動かす訴求をしないと難しいでしょうね。先が不透明な時代に、給料の何倍もの額を借りてることは、論理的に考えたら異常なんですから。

「奇跡の村」のその後――人口増から人口減へ 再起に挑む下條村

2000年代半ば、山間地の小さな村が、「奇跡の村」として注目された。長野県南部の下條村だ。きっかけは、わずか10年で総人口の1割近い人口増を達成したことだった。しかし、それから10年以上がたった今、村の状況は大きく変化していた。人口が減少に転じていたのだ。下條村に何が起こったのか。奇跡の村のその後を追った。(ライター・庄司里紗/Yahoo! ニュース特集編集部)

「奇跡の村」のその後――人口増から人口減へ 再起に挑む下條村

下條村が昨今、移住定住政策に力を入れているらしく、その理由としては、人口は2008年以降、減少に転じていて、ピーク時には4227人を記録した人口は、2020年1月現在、3729人になっており、この10年余りで約500人、じつに1割以上も人が減ったとのこと。

住宅施策が注目を集めてた頃は、もう人口は下り坂で減ってたんですね。

自治体の人口も工務店の集客もパイの奪い合いである

2006年を最後に、下條村はファミリー向けの新たなメゾンの建設をやめた。すると、2008年の4224人をピークとして、人口は減少していった。

人口減はメゾンの新規着工見送りから始まった

なぜファミリー向けのメゾンは建てられなくなったのか。その背景には「ライバルの出現」があった。前出の吉村さんが明かす。

「当初は村にメゾンを建てればすぐ満室になる状況でした。しかし2000年以降、周辺の自治体でも若者向け住宅がつくられ、下條村以外の選択肢が増えた。すると、メゾンへの入居希望者も減っていった。格安の賃貸住宅を用意するだけでは、移住先候補としての優位性を保てなくなったのです」

第一メゾンが完成してから10年が経ち、築年数の古い物件には空室も目立つようになっていた。税金を投じて新たなメゾンを建設するのは難しくなっていった。

「奇跡の村」のその後――人口増から人口減へ 再起に挑む下條村

まぁ、兵庫県の明石市が神戸市から子育て世帯を奪ったみたいに、結局はパイの奪い合いですからね。周りの自治体も同じ事すれば、集客効果は落ちますよ。誰でもできることは先にやったもん勝ちで、周りが始めたら勝ち逃げするのが鉄板です。

ただ、記事を読むと、悲観した感じではなく、今の現状を受け止め、次に進んでいるようです。

工務店の集客はパイの奪い合いである

上記は自治体の話ですが、工務店の集客も似たようなものです。「パイの奪い合い」となっている現状を理解し、その中で差別化を図ることが、今後の成功の鍵となるでしょう。

現状の工務店業界の競争状況

工務店業界は、他の多くの業界と同様に、限られた市場での熾烈な競争が続いています。新築住宅の需要は一定であり、その中で多くの工務店がシェアを争っているのです。特に、同じ地域に位置する工務店同士の競争は、顧客の取り合いとなり、その結果、価格競争やサービス競争が激化しています。このような状況下では、単なる価格競争だけでは生き残るのは難しく、独自の価値提供が必要となってきます。

集客の難しさとその背景

近年の消費者行動の変化は、工務店の集客戦略に大きな影響を与えています。インターネットの普及により、顧客は手軽に多くの情報を得ることができるようになりました。その結果、工務店を選ぶ際の基準も多様化しています。価格だけでなく、性能、デザイン、施工品質、アフターサービスなど、多くの要素を比較・検討する消費者が増えています。このような状況下で、一昔前のような伝統的な広告や口コミだけに頼った集客方法では、十分な効果を期待するのは難しいのが現状です。

他社との差別化が難しい現実

多くの工務店が似たような住宅を提供しているため、消費者にとって選びにくい状況が生まれています。そのため、工務店自体が独自の価値を持ち、それをしっかりとアピールすることが求められています。しかし、実際には多くの工務店が他社との差別化を図るのが難しく、結果として似たような住宅を提供することになり、消費者の目から見れば「どの工務店も同じ」という印象を持たれてしまうことが多いのです。この問題を解決するためには、自社の強みや特色を明確にし、それを顧客に伝える努力が必要です。

今後の方向性と対策

厳しい競争状況の中で、工務店経営者としては、自社の強みや特色をしっかりと見極め、それを最大限に活かす戦略を立てることが求められます。例えば、地域に密着したサービス、独自のデザインや技術、顧客との強い絆を築くためのアフターサービスなど、他社とは異なる独自の価値を提供することで、消費者の心をつかむことができるでしょう。さらに、デジタルマーケティングの活用や、顧客とのコミュニケーションを強化する取り組みも重要です。

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