家も街も当事者意識を持って住み続けた先に、答えが見えてくる!

2017年1月16日に放送された、プロフェッショナルの流儀で、リノベーションの先駆者で有名な建築家・大島芳彦さんが特集されていました。

うろ覚えですが、大島さんを知ったのは10年ほど前?に、飛行機の中で観た番組で、「家賃が上がる設計」みたいなキャッチコピーで紹介されていたのがキッカケで初めて知ったと思います。当時の自分は、住宅業界(注文住宅)に関わりはじめた駆け出しの頃でしたから、こういう人もいるんだぐらいの認識でした。

番組の中盤で、大島さんの仕事に対する”気付き”が取り上げられています。この意識は、リノベーションに限らず、注文住宅にも通ずる意識だと思ったので、取り上げますね。

お金の関係から意識の関係へ

大島さんは、元々、街の不動産屋の息子でしたが、仕事を継ぎたくなく、美術大学の建築学科に進学。バブル時代で周りは派手な生活でしたが、染まるのが嫌で、古い旧米軍住宅を同級生と一緒に借り、手を入れながら住んでいたようです。

大島さんには学生時代から、「建築をつくる」というよりは、「どう楽しむか」という意識があるようです。その影響から、住んでた古い旧米軍住宅には、自然と近所の子供達が集まってきたとのこと。ただし、その時のご自分を「周りから見たら、ヒッピーの生活」と話されています(笑)

大学卒業後、大手建築事務所に就職します。そして2年が過ぎた頃、不動産を営む父親から、「古くなった手持ちの物件に借り手が付かず、空き室が急激に増えてしまっている」と相談を持ちかけられます。

大島さんは、「建物はこれほど簡単に価値を失ってしまうのか」というショックを受けます。自分の家業を通じて、建築や建物に対する意識が変わっていくのです。その時、大学時代に住んだ旧米軍住宅を思い出します。建物自体は古くても、工夫して住みこなす楽しさがあったことを。

そんなキッカケから、父親の古物件をご自身で改修していきます。そして・・・家賃8万9000円でも借り手がつかなかった部屋が、12万円で借り手がつきます。

そこで、「これからは古い建物を活かす時代だ」と直感します。自分の家業と学生の頃楽しいと思っていた生活が、この出来事を機に一緒になるのです。”自分がやりたいこと”と”ニーズ”がマッチする瞬間ですね。

これを機に建築事務所を辞め、独立します。そして、先述の実績やデザイン力の高さから、注目され、依頼が殺到します。中には、間取りも用途も好きなようにしてくれとも頼まれます。

しかし、落とし穴が待ち受けていました。

リノベーションしたはずが、手荒く扱われ、わずか数年で再び借り手がつかない状態に戻るということが相次ぎます。

「いったい何が欠けていたのか?」そこで浮かんできたのは一つの思いでした。

持ち主の思いを変えられていたか?

大家さんからの「任せたぞ」という言葉は、当事者意識の放棄や人任せという見方をすると、決していいことではないと捉えます。そして、最初は建物(ハコ)を気にしていたけど、建物よりも大家さんのマインド(意識)の方が大事だと気付きます。

そのマインドとは、当事者意識です。

家も街も当事者意識を持って住み続けた先に、答えが見えてくる!

このマインド(意識)の重要さって、リノベーションに限らず、注文住宅にも通ずる部分だと思っていますよ。

”頼む人”と”つくる人”という立場だけでは、お金だけの関係になりやすいです。「あとは任せた」的な、当事者意識の放棄ってことですね。この関係性では、モノしか生まれませんし、クチコミやコミュニティすら生まれません。そして、それではすぐ朽ちることは、大島さんの経験からもそうですが、いろんなところで証明済みなんですよね。

賃貸の場合は、借り手がつかなくなって空き家になるという現象として、ズレ(朽ち加減)がわかりやすく現れてきます。ですが、注文住宅の場合は、住み続けるからこそ、ズレ(朽ち加減)が表に出てこず、マインド(意識)の重要さが、浮き彫りにならないんですよ。住んでいるからと言って、豊かに暮らしているとは限らないですからね。

今ではリノベーションはブームになり、「新築=悪」みたいな位置付けになりつつありますが、大事なのはその場所の最大価値を引き出すことだと思っています。リノベーションもスクラップ・アンド・ビルドも、選択肢の一つにしかすぎないので、現にハコモノだけのリノベーションでは、たいして上手くいっていないのでは?

家にしても街にしても、当事者意識を持って、住み続けた先に、答えが見えてくるようなものです。だからこそ、知識を付けさせるよりも意識を変えさせることが求められてきますよ。世の中、住に対する意識ってめちゃくちゃ低いですから(笑)

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