工務店が「お金で買えない価値」を提供した方が良い理由

「モノからコトへ」「モノ消費」「コト消費」という言葉、ここ数年ずっと言われ続けています。つまり、機能的な価値を提供するだけでは選ばれにくくなってきているということなのですが、「モノ消費」「コト消費」を自分なりに解釈すると・・・

目次

モノ消費とは

商品の所有や、商品・サービスの機能や性能に価値を感じた消費。誰にでも共通する客観的な価値になりやすいが、当たり前すぎて価値と感じてもらえない。モノ消費で得られる満足感は、慣れやすく、比較が起きやすいため、満足感が下がりやすい。また、コミュニケーションが希薄で、関係性が築きにくい。

「三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ)」や「3C(カラーテレビ ・クーラー・自動車)のような商品が家庭に足りてなかった時代に勢いがあった消費ですね。

コト消費とは

商品やサービスにより、得られる体験や時間に価値を感じた消費。自分の中で、品質やパフォーマンスの最低基準を設定するため、その基準を満たしていれば、十分に満足感を得られる。また、状況や出来事などのエピソードにより他にはない記憶が残り、得られる満足感に比較が起きにくく、満足感が持続されやすい。また、同じ体験をすることで、関係性が築きやすい。

集客においても、価値提供においても、「コト消費」が鍵を握っていることには間違いないのです。とはいえ、ものづくりの業界の方にはイマイチ理解しがたい内容かもしれませんが、

”コト”の部分を簡単に考えるなら、「お金で買えない価値は何なのか?」ということです。

工務店が「お金で買えない価値」を提供した方が良い理由

消費者の心をつかむために

昨今の消費者は、ただの商品を買うだけでは満足しません。彼らはその商品が生活にどんなプラスをもたらすか、どんな特別な体験ができるかを重視しています。特に家というのは、ただの住まい以上のものです。家族が集まり、成長し、多くの時間を過ごす場所。なので、工務店が提供する家は、安全で快適な住空間を提供するだけでなく、家族の絆を深める場、思い出を共有する場としての価値を持たせることが求められています。これは、家を建てるという行為に、家族の未来の幸せを形作るという「コト」の価値を加えることで、消費者の心に深く響くのです。

市場での独自の立ち位置を確立するために

工務店の市場は競争が激しく、類似した注文住宅が溢れています。ここで大切なのは、他社とは違う独自の家づくりを提供すること。お金で買えない価値を提供することは、他の工務店との差別化に直結します。例えば、家づくりの過程で顧客が参加できるワークショップを開催したり、完成後には地域コミュニティとの交流をサポートするなど、単に家を建てる以上の経験を提供することで、顧客にとって忘れられない工務店となるのです。

長期的な信頼関係を築くために

「お金で買えない価値」を提供することは、顧客との長期的な信頼関係を築く上で非常に重要です。顧客が家づくりのプロセスにおいて特別な体験をすることで、その工務店に対する愛着が生まれます。この愛着は、後のリフォームや新規顧客への紹介という形で、工務店にとっての利益に変わります。顧客が感じる満足感や幸福感は、その人の社会的ネットワークを通じて広がり、工務店の評判を高めることにつながるのです。

社会的責任を果たし、ブランドの価値を高めるために

企業が社会に対して責任を持つことは、今や消費者にとって非常に重要な要素です。工務店が地域社会に貢献する活動を行ったり、環境に配慮した持続可能な家づくりを推進したりすることは、社会からの評価を高め、ブランドの信頼性を向上させます。これは、単に良いイメージを持たれるだけでなく、企業の社会的な存在価値を高めることにもつながります。

経済的な利益を超えた社会的な価値を追求するために

お金で買えない価値を提供することは、経済的な利益を超えた、より大きな社会的な価値を追求することに他なりません。顧客の生活に深く根ざした価値を提供することで、工務店は単なるビジネスの枠を超え、社会に対してより大きな貢献をすることができます。これは、企業の長期的な成功に不可欠であり、社会全体の幸福にも寄与するものです。


工務店が「お金で買えない価値」を提供することは、単にビジネスとして成功するためだけではなく、顧客の心に残る特別な存在になるため、そして社会全体に良い影響を与えるために必要な戦略です。時代の変化に適応し、消費者の進化したニーズに応えることで、工務店は持続可能な成長を遂げることができるのです。

では、あなたの工務店が提供できるお金で買えない価値とは一体何なのでしょうか?

お金で買えない価値がある、買える物は・・・

「お金で買えない価値がある、買える物はマスターカードで」というフレーズは、クレジットカードのマスターカードがキャンペーンとして1999年からCMで使用していた言葉です。マスターカードのCMは、今から20年近くも前に「モノ消費」と「コト消費」の訴求をうまく使い分けていました。

うろ覚えですが、当時はクレジットカードと言えば、日本ではVISAかJCBのイメージが強かったのですが、このフレーズで一気に知名度が上がった気がします。

では、お金で買えない価値とは一体何なのか?マスターカードのCMを集めてみました。

マスターカードCM集

ゲーム編

  • 勇者のノートパソコン:¥170,000
  • ドラゴンのスーツ、まほうのカバン:¥95,000
  • 夢と冒険のはじまり:priceless

キャンプ編

  • マスターカードで買ったガスランタン:27,000円
  • 探検用のペンライト:6,000円
  • ちょっと広めのテント:45,000円
  • テレビもケータイもいらない夜:priceless

  • 父に気に入りの地酒:7,000円
  • 母にカシミヤのショール:20,000円
  • いちばんのみやげ:priceless

  • モロッコで買った何か:200ディルハム
  • チュニジアで食べた何か:15ディナール
  • ポルトガルで飲んだ何か:3ユーロ
  • 言葉の通じない国で出会った何か:priceless

  • 虫歯治療:2,500円
  • 精密検査:9,000円
  • 骨折治療:3,000円
  • 元気に働けること:priceless

  • 新聞代:3,930円
  • 電気代:3,800円
  • ガス代:2,770円
  • ちょっと進んだ生活:priceless

  • 初めてのブルーのユニフォーム:¥5,300
  • 初めてのフェイスペインティング:¥1,800
  • 初めてのサポーターフラッグ:¥2,800
  • その熱い想い:priceless

  • はじめての釣竿:¥9,500
  • ちょっと大きめの長靴:¥8,200
  • おそろいのベスト:¥17,000
  • 釣り仲間ができた日:priceless

  • 現地でアップグレードしたコテージ:360ドル
  • ついつい買ってしまったペアルック:130ドル
  • 突然二人で乗りたくなったレンタルバイク:15ドル
  • いっしょに走ってきた25年間:priceless

  • にんじん・じゃがいも:218円
  • たまねぎ・豚肉:538円
  • ドッグフード:570円
  • 今日のお買物:1,326円
  • ゆっくり散歩ができること:priceless

  • 娘が選んでくれたドレス:820ドル
  • お父さんへのおみやげの万年筆:320ドル
  • 初めてのジャズクラブ:200ドル
  • 大人同士の夜:priceless

工務店が「お金で買えない価値」を提供するためにできることとは?

現代の消費者は、ただの商品やサービスを超えた何かを求めています。特に家づくりにおいては、単なる建物を超えた、心に残る体験や感動を提供することが求められています。

なので、工務店が「お金では買えない価値」を提供することは、顧客が自宅に感じる愛着や、そこで過ごす時間の質を向上させ、満足度を高めるだけでなく、工務店自身のブランド価値を高め、市場での独自の立ち位置を確立するためにも重要です。

では、工務店はどのようにして「お金では買えない価値」を提供できるのでしょうか。

顧客が主役の家づくり体験を創出する

家づくりは、顧客にとって一生に一度の大きなイベントです。工務店が顧客を設計のプロセスに参加させることで、顧客は自分だけの特別な家を作り上げる喜びを感じることができます。たとえば、設計段階でのワークショップを開催し、顧客が自分の家の間取りやデザインの一部を決めることができれば、その家に対する愛着と所有感が格段に増します。このような参加型のプロセスは、顧客にとって忘れられない経験となり、家への愛着を深めることにつながります。

地域社会との結びつきを強化する

家を建てることは、その家族が新しいコミュニティの一員となることを意味します。工務店が地域のイベントや活動に参加し、新居の顧客をそれに巻き込むことで、地域社会へのスムーズな溶け込みを助けることができます。例えば、地域の祭りに顧客を招待したり、地域の子どもたちのためのプレイグラウンドを建設するなどの活動は、顧客にとっての新しい家の価値を高めるだけでなく、地域社会との強い結びつきを築くきっかけとなります。

アフターサービスで長期的な関係を築く

家が完成した後も、顧客との関係を大切にすることが重要です。例えば、定期的なメンテナンスサービスを提供したり、住宅に関するアドバイスを無料で行ったりすることで、顧客に安心感を与え、信頼関係を築くことができます。これは、顧客が将来的にリフォームや新しい家の建設を考えたとき、再びその工務店を選ぶ可能性を高めます。

個々のニーズに合わせたカスタマイズを提供する

顧客一人ひとりのニーズに合わせたカスタマイズオプションを提供することで、顧客は「自分だけの家」を手に入れるという特別な体験を得ることができます。たとえば、内装の素材や色を選べるようにする、照明や家具の配置を顧客の好みに合わせて調整するなど、細部にわたるカスタマイズは顧客にとって大きな喜びとなります。

環境と調和する持続可能な家づくり

環境に配慮した家づくりは、顧客にとっても社会にとっても大きな価値を持ちます。エコフレンドリーな材料の使用や、エネルギー効率の高い設計を取り入れることで、顧客は環境に優しい生活を送る喜びを感じることができます。これは、顧客のエコ意識を満たすだけでなく、社会全体の持続可能性に貢献することにもつながります。

家づくりの物語を紡ぐ

家づくりに物語を加えることで、顧客はただの住宅購入ではなく、一生の思い出を購入するという感覚を得ることができます。工務店が家の建築過程を写真やビデオで記録し、それを顧客に提供することで、家が建つ過程を一つの物語として残すことができます。これは、家族の歴史の一部として、後世に語り継がれる価値ある記憶となります。

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