不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由

広告・宣伝の手法のひとつに、煽り(あおり)があります。不安や挑発的に、相手の感情に訴えかけ、購買心や興味を出させる行為や言葉のことですね。

ハマると、卑怯と思えるくらい、効果的だったります。でも、不安煽る場合、ターゲットを間違えると、「別に・・・」「そう・・・」と無反応に終わってしまうことがあります。

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不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由

2020年、最も伸びたと言われているのが、動画での配信です。コロナ禍以降、工務店経営者もこぞって、配信し始めました。建築に関する知識は、専門家でなければ理解しにくいものです。しかも、動画形式での情報は、文章から意味を把握できない情報弱者が好みやすいため、不安を煽る内容が好まれます。

この知識の不均衡を利用して、一部の工務店や設計事務所の建築系(住宅系)YouTuberは視聴者の不安をあおる内容を発信しています。また、コロナ禍という状況下の中、常に不安にかられている人達も増えましたからね。結果、より人々の注意を惹く状況が作り出され、以下のような不安を煽る動画が好まれ、たくさん溢れるようになったのです。

不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由
不安を煽る内容が多い・・・また、(本人の無知による嘘と思っていない)嘘も多い

煽る不安は、当人よりもその人が大切な人の不安が効果的

不安の煽りは効果的ですが、実は、不安を煽る場合、当人よりも、その人が大切にしている人の不安を示すほうが、その当人には痛感します。(よほどの自己中な方でなければ)

  • もし、欠陥住宅を建ててしまったら、奥さんや子供はどうなる?
  • もし、無理な住宅ローンを組んで家計が苦しくなったら、奥さんや子供はどうなる?
  • もし、あなたが家族に相談もせず勝手に家を作ってしまったら、あなたより家にいる時間が長い奥さんや子供はどう思う?

これ、卑怯ですが、効果的です。

その辺り、住宅系ではないのですが、以下の広告が、不安の煽りをさりげなく表現しています。

健康の重要性を訴えるカナダの公共広告が、人生の最後10年の日常を、同じ人物・同じ時間・同じ場所を通して、異なる2つの人生を描いて、残酷さを上手く表現しているので紹介します。

あなたの人生最後の10年間はどんな風になるでしょうか?

不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由

心ゆくまで趣味を楽しめるだけの、ゆっくりとした時間。

不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由
不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由

孫と過ごす愛おしい時間。最愛の妻と充実した時間。家族と食卓を囲む温かい時間。

不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由
不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由
不安を煽る建築系(住宅系)Youtuberが流行った理由

『しかし、「今」を過ごすあなたの選択次第で、そこに待っている10年間は、全く違うものかもしれません。』という、不安を煽る映像です。

Make Health Last. What will your last 10 years look like?

直接的なメッセージは、「健康的に生き続けてください。あなたの人生最後の10年間はどんな風になるでしょうか?」と訴えています。

ですが、この広告が上手いなぁと感じたのは、「あなたの健康次第で、家族のライフスタイルがこうも違う」ってことを示しています。

メインは男性の時間に当てられ、比較されていますが、最後に、笑顔でキスをする妻、悲しみながらキスする妻、その裏に隠されたライフスタイルには、大きな違いがありますよね。詳しくは描かれていませんが、他の家族もそうでしょう。

家族のライフスタイルの違いを訴求するバージョンもほしいところでした。

普通は「あなたがどうなる?」で当人の不安を伝えがちなのですが、そこから、「こうなってしまうと、奥さんがどうなる?」「こうなってしまうと、子供がどうなる?」といった、自分がどうなる?という不安より、周りの家族への不安を煽るメッセージの使い方をすると、より効果的になりやすいです。

不安を煽るのは効果的だが、デメリットも大きいのでほどほどに

上記のように、不安を煽るマーケティング戦略は、時に効果的であることがあります。特に、お客様の心配事や恐れを強調することで、製品やサービスへの関心を引き出すことができる場合があります。しかし、リスクもあります。

誤った情報が広がるリスク

不安を煽ることで注目を集める手法は、視聴者に誤った情報を伝えるリスクを伴います。工務店としては、YouTubeに限らず、情報を発信する際には、その情報が正確であること、信頼できることを最優先に考えるべきです。誤情報は、あなたの信頼を損ない、視聴者を誤った方向に導くだけでなく、業界全体の信頼を損ねる結果を招く可能性があります。

  • 信頼の損失
    不安を煽ることは、お客様との信頼関係を損なう可能性があります。人々は自分たちの恐れを操られると感じることがあり、それが信頼の損失につながることがあります。
  • ブランドイメージの損傷
    お客様の不安を利用することは、企業のイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。人々は、恐れや不安を利用する企業を不誠実または操縦的と見なすことがあります。
  • 長期的な関係の構築の障害
    不安を煽る戦略は、短期的な販売を促進するかもしれませんが、長期的なお客様との関係を築くのを困難にすることがあります。人々は、自分たちの感情を操られたと感じると、その企業との長期的な関係を築くことに消極的になることがあります。
  • 法的なリスク
    一部の場合、不安を煽る広告は誤解を招く可能性があり、法的な問題につながることがあります。明確で真実に基づいた情報を提供しない場合、消費者保護法に違反する可能性があります。
  • 競合他社との差別化の困難
    不安を煽る戦略を多用すると、競合他社との差別化が困難になることがあります。市場で同様の戦略を使用する企業が増えると、お客様はそのようなメッセージに対して鈍感になり、効果が減少する可能性があります。

なので、不安を煽る戦略は、一見効果的に見えるかもしれませんが、長期的な視点から見ると、信頼の損失、ブランドイメージの損傷、法的なリスクなど、多くのデメリットもあります。工務店としては、お客様との信頼関係を築き、誠実なコミュニケーションを重視する戦略を検討することが、より持続可能で効果的な方法ではあるので、不安の煽りはほどほどに。

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