小さな工務店自体はスペシャリストを目指し、中の人はゼネラリストである方が良い理由

昔から、ある程度のことはそつ無くこなす方だったんですが、よく言われたのが、「・・・で、何が得意なの?」です。社会人になりたての頃も、ご年配の一級建築士から、同じようなことを言われてました。

日本にはいつからか、スペシャリスト神話が、はびこっているので、「何でもできる」はダメ扱いされやすいです。

でも、実際のところ、少人数で一から事業を立ち上げる時とか、小さな会社の場合、何でもできる人が一人いると、すごく重宝します。

集客も同じです。ひとつの集客方法しかできないというのは、かなり厳しいです。なぜなら、異業種で上手くいったどんな集客方法も、衝動買いできない一生に一度という、住宅の前では、効果が半減します。

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Webもチラシもぱぱっとお願い! 経営者の無知と本音とリスク|Web担

「ホームページやチラシを作れる人がほしい」という建築関連会社の社長から求人リクエストを例に、中小企業の経営者が、採用条件を欲張る理由が取り上げられています。

ある建築関連会社の社長から相談を受けます。中小企業では珍しくないリクエスト。どちらもパソコンで作るイメージから、同じようなものだと考える非IT系の経営者は少数派ではありません。

Webもチラシもぱぱっとお願い! 経営者の無知と本音とリスク

中小企業の経営者が、採用条件を欲張る理由は慢性的な人材不足です。「人手」はあっても、技能を持った「人材」が不足しているのです。だから「新人」に複数の職能を期待し、募集要項に「希望」が並びます。それは絶対条件ではなく、少しでも多く該当すれば「ラッキー」というのが本音です。中小企業では、オールラウンダーが求められる傾向が強いのです。

Webもチラシもぱぱっとお願い! 経営者の無知と本音とリスク

建築系は、特に専門性が強いので、「これしかできない」という方は多いですね。でも、これからの時代はそれではマズいですよ。特に、集客関係は学校で学んでこないですから、どこかで身に付けなければなりません。

だから、これなんですよ。住宅業界に増やしたいのは・・・

工務店に必要とされるのは、集客ゼネラリストなのでは?

大手だと集客のことは、外注先の広告代理店が代わりにあれこれしてくれるでしょうが、中小企業では、そこまでの費用を掛けられる会社は、少ないですよね。

だからこそ、社内でできる人=オールラウンダー=ゼネラリストが、求められる傾向が強いのです。ゼネラリストが一人いるだけで、かなり状況が変わります。

※ゼネラリスト=いろいろな分野の知識や能力をもっている人。

簡単なことは自社でやって、複雑でどうしても必要なことは外注するというパターンですね。外注するにも、基本的なスキルや知識があるとないとでは、出来上がりが全然変わってきますよ。

小さな工務店自体はスペシャリストを目指し、中の人はゼネラリストである方が良い理由

設計や施工など技術職の場合、専門的にスペシャリストを目指してもいいですし、セールス力やプレゼン力など、複数のスキルを身に付けても良いと思います。

ですが、中小工務店の集客に関わっていくなら、間違いなくゼネラリストがいいです。集客方法の一分野しかできないスペシャリストはいらないですよ。

なぜなら、異業種で上手くいったどんな集客方法も、衝動買いできない一生に一度という住宅の前では、効果が半減します。だから、ひとつだけでなく複数のアプローチが求められるのです。(天才的に群を抜いているスペシャリストなら別ですが…)

集客ゼネラリストに必要なスキルとは?

集客ゼネラリストに、最低限持っててほしいスキルを挙げると・・・

例えば、ネットに関するスキルや知識なら、

  • WordPress
  • HTMLタグ
  • サーバーやドメイン管理
  • アクセス解析(Google Analytics)

など、この辺りのスキルがあれば、

  • WEBサイトの制作
  • メールアドレスの取得

などができますね。

文章を書くスキルがあれば、

  • ブログ
  • メルマガ

などができます。

その他には、

  • イラストレーター(もしくは同等の代替ツール)
  • フォトショップ(もしくは同等の代替ツール)
  • 写真撮影

など、この辺りのスキルがあれば、

  • チラシ制作
  • ニュースレター制作
  • カタログや名刺などの販促物の制作

などができますね。

その他、細かいことを挙げれば、動画のスキルや、ネット広告、さらには、住宅の知識や、施主を取材できるスキルなどもあるといいですね。

「これ全部できる人、いないだろ?」と思われがちですが、実際に出来る人いますから、できないなんてことはありません。

スキルを身に付けて、それからマーケティングを学ぶ

ある一定のスキルが身についたら、次はマーケティングを学ぶべきですね。スキルだけでは、ただ作るだけになるので、集客に結びつくものができあがりません。

WEBサイトも、チラシもただつくるだけでは効果がでない時代です。ブログやメルマガもただ書くだけでは・・・写真や動画もただ撮るだけでは、効果がでません。

スキルがあって、そこにマーケティング力が加わるから、効果的なことができるのです。スキルなしでマーケティングを身に付けても、ただの頭でかっちになるだけですよ。

小さな工務店自体はスペシャリストを目指し、中の人はゼネラリストである方が良い理由

前述したように、集客ゼネラリストがどれだけ重要か、という話をしました。でも、それだけじゃないんですよ。工務店としてのアイデンティティ、つまり「何を得意とするか」というのも、やはり重要です。この点で、工務店自体はスペシャリスト(専門店)を目指すべきです。

なぜスペシャリストな工務店が必要なのか?

スペシャリストとしての工務店が持つ最大の利点は、その専門性です。例えば、環境に優しい家づくりに特化した工務店があるとしましょう。このような工務店は、環境に対する深い知識、持続可能な素材の選定、エネルギー効率の高い設計など、その分野での専門性が高いです。この専門性は、お客様にとって非常に魅力的であり、特にニッチな需要に対しては、他の一般的な工務店とは一線を画します。さらに、このような専門性は口コミで広がり、特定のニーズを持つ顧客から高い評価を受けやすいです。

競争優位性を確立する

スペシャリストな工務店は、その専門性を活かして競合と差別化を図ることができます。例えば、古民家のリノベーションに特化した工務店は、その分野での豊富な経験とノウハウを持っています。これにより、同じようなサービスを提供する他の企業と比較して、明確な競争優位性を確立できます。

中の人はゼネラリスト?

一方で、工務店の「中の人」、つまり社員や経営者はゼネラリストであるべきです。なぜなら、小規模な会社では、一人一人が多くの役割を担わなければならないからです。集客から施工管理、アフターフォローまで、全部一人でやることも珍しくありません。さらに、緊急のトラブル対応や、顧客からの多様な要望にも柔軟に対応できるスキルが求められます。

マルチタスクが求められる現場

特に、小さな工務店では、一つのプロジェクトに複数のスキルや知識が求められることが多いです。例えば、新築の家を建てるプロジェクトでは、設計、施工、予算管理、顧客対応、そして最終的な品質チェックと、多岐にわたる業務が発生します。これらを一人または少数のスタッフでこなすためには、ゼネラリストとして多様な業務に対応できる能力が不可欠です。

両方を兼ね備えることのメリット

工務店がスペシャリストで、中の人がゼネラリストであれば、非常にバランスが取れます。専門性を高めつつ、多様な業務に対応できる。これが、小さな工務店が生き残るための、一つの鍵となるでしょう。具体的には、工務店としてのブランドや信頼性を確立しつつ、日々の運営やトラブル対応にも柔軟に対応できるわけです。


日本のようにスペシャリストが重視されがちな文化の中で、ゼネラリストの価値は見逃されがちです。しかし、小さな工務店にとっては、その両方が必要なのです。スペシャリストとしての強みを持ちつつ、ゼネラリストとして多様な業務に対応できる人材を育てる。これが、今後の成功のための方程式と言えるでしょう。そして、このバランスが取れた組織作りが、持続可能なビジネスモデルを築く基盤となるのです。

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