工務店の一方的な「お客様のために」が危険な理由。お客「様」などの偽りの「ために」は止めた方が良い。

「お客様のために」には2通りあります。

ひとつは、上辺だけの言葉の場合です。「お客様のために」と謳いながら、実態は低品質で自社利益だけを見ているケース。

もう一つは、自己満足的な「お客様のために」です。今回取り上げるのは、こちらの方です。過去、この「お客様のために」という考え方で、落とし穴にハマっている工務店経営者を何人も見てきています。

目次

「ために」と「立場に立つ」とでは大きく違う

私は「お客様」という言葉は使いませんし、「施主」という言葉を使い、「施主目線」という表現もしたりします。立場に立つという意味ですね。

実は、「ために」と「立場に立つ」。これらの言葉は、一見似ているようで、その背後にある意味や行動は大きく異なります。

「ために」の落とし穴

「ために」という言葉は、表面的には施主の利益を追求するように聞こえます。しかし、この考え方の中には、自分たちが施主のために何をすべきかを決めつける危険性が潜んでいます。

例えば、「私たちが考える最高の家を提供するために」というスタンスは、施主の本当のニーズや要望を見逃してしまう可能性があります。さらに、このようなアプローチは、施主との間に距離を生むことがある。施主が感じる不安や疑問を無視することで、信頼関係の損失を招くリスクが高まります。

施主の「立場に立つ」真の意味

一方、「立場に立つ」とは、施主の気持ちや考えを深く理解し、その視点で物事を考えることを意味します。これは、単に施主の要望を受け入れるだけでなく、その背後にある理由や価値観を共有し、真のパートナーシップを築くことを目指す姿勢です。この考え方を持つことで、施主の深層のニーズや感情に寄り添い、より適切な提案やアドバイスが可能となります。

例えば、施主が「広いリビングが欲しい」と言った場合、「ために」の考え方では「広いリビングを提供する」という結果だけを追求するかもしれません。しかし、「立場に立つ」考え方では、「なぜ広いリビングが欲しいのか?」という背後にある理由を探ることで、より深い満足感を施主に提供することができます。このようなアプローチは、施主との関係をより深く、長持ちさせる要因となります。

工務店はお客「様」などの偽りの「ために」を止めた方が良い

「お客様のために」というフレーズは、工務店に限らず、様々なビジネスで使われている一般的な言葉です。しかし、この言葉の背後には、実際の施主のニーズや要望を見逃すリスクが潜んでいます。工務店経営者として、施主との信頼関係を築くためには、「施主目線」を取り入れることの方が大事です。

「施主目線」とは何か?

「施主目線」とは、単に施主の要望を受け入れるだけでなく、その背後にある理由や価値観を深く理解し、それに基づいて行動することを意味します。これは、施主の立場や視点を真に理解し、それを基盤にサービスを提供する姿勢を示すものです。この姿勢は、単なるサービス提供以上のものであり、施主との関係性を深化させるための鍵となります。

「施主目線」の取り入れ方

  1. 深いコミュニケーション
    施主とのコミュニケーションを深めることは、そのニーズや要望、背後にある理由をしっかりと掴むための第一歩です。定期的なミーティングやフィードバックセッションを設けることで、施主の声を直接聞くことができます。
  2. フィードバックの収集
    施主からのフィードバックを積極的に収集し、それをもとにサービスの改善や提案を行うことで、施主目線を具体的に形にすることができます。アンケートやインタビューを活用して、施主の本音を引き出す努力が必要です。
  3. 施主の立場でのシミュレーション
    施主がどのような経験を求めているのか、その経験を自分たちのサービスでどのように提供できるのかを常に考えることが求められます。これには、現場での実際のシミュレーションやワークショップを行うことも効果的です。

「施主目線」のメリット

「施主目線」を取り入れることで、施主との信頼関係が深まり、長期的な関係を築くことができます。また、施主の真のニーズや要望を捉えることができるため、より適切なサービスや提案を行うことができます。これは、リピートビジネスや口コミによる新規顧客の獲得にも繋がります。

「お客様のために」という言葉の背後に隠れたウソを乗り越え、真の「施主目線」を取り入れることが、工務店経営としての成功の鍵となります。施主との信頼関係を築くためには、その立場や視点を真に理解し、それを基盤にサービスを提供する姿勢が求められます。この姿勢を持つことで、施主との長期的な関係を築き、ビジネスの成長を実現することができます。

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