価値観の多様化がもたらす注文住宅の集客とは?

家づくりにおいて、価値観の多様化絡みのことを、ここ数年説き続けています。

価値観が多様化するということは、当然、ひとつの価値に対してのパイは少なくなります。そして、その多様化への傾向は、「数はチカラなり」という概念も崩れてきます。

つまり、「力だけの時代」ではなくなるということです。これは、小さい会社や組織には有利だと思っています。ひと昔前までは、プライスや、実績、権威性などのパワープレイで、モノが売れる時代がありました。ですが、今は違いますよね?

実績や権威だけで、お客さんの信頼を得られることが微妙になってきています。なぜなら、ウソや誤魔化しが存在するため、実績や権威でのアピールに対して、疑いの目など自然と壁ができていたりします。

さらには、ひと昔前までは、性能や機能などの”特徴”で選ばれていました。そして、ここ10年位は、マーケティングを学んだ人たちの影響から、ベネフィットで訴求することも増え、選択の基準にもなってきていました。

ベネフィットとは、製品やサービスを利用することで消費者が得られる有形、無形の価値のこと。

しかし、家が余り溢れている時代では、特徴やベネフィットだけではない部分で選択をしていると思うのです。建材は類似品がありますし、デザインも均一化されてるわけですから、モノで差別化しようと思うと、よほど突き抜けてないと難しいです。

モノの実用的な価値だけではない選択

では、何で選んでるかというと、、、

「モノの実用的な価値だけではなく、感情的な価値でも選択をしている。」ということだと思います。

例えば、アップル社の製品とか、車のMINIなんてそうですね。実用さだけを求めたら、スマホは8万円もするiPhoneでなくても、格安スマホでもいいわけですし、パソコンも10万円以上するMacBookでなくても、数万円の格安パソコンでも十分だと思います。車もMINIでなくても、軽自動車で十分でしょう。

この手の話を書くと、よく年配の方から「耐震性や断熱性はいらないのか?」みたいな質問を受けるのですが、それは大きな誤解です。繰り返し書くと、「モノの実用的な価値だけではなく、感情的な価値でも選択をしている。」ということ。つまり、実用的な価値もあった上で、感情的な価値も必要だということです。しっかりとした技術に支えられている実用的な価値に、感情的な価値を付け加えることで、価格以上の価値をより感じてくれるわけです。

「家そのものが、自分を定義付ける一部となれるものかどうか?」

価値観が多様化してくると、少数派が増えてきます。よほど偏屈や天邪鬼でないかぎり、少数派でも自身が選んだ価値を共有したいものです。だからこそ、人はモノを選ぶことにも、そのモノによって「自分とは何なのか?」を定義付けようとしているんだと思われます。だからといって、全てを意識して決めているわけでもなく、なんとなく心が動いたからという感情的な成り行きで決めてるも、人のいい加減なところです(笑)

大事なことなので何度も書きますが、モノやサービスの質が良いのは当たり前での話です。その上で、さらに高い価値を感じてもらうために、感情的な価値を付け加え、「自分を定義付ける一部となれるか」を感じてもらうことです。

世界観のない家は、価格勝負をせざるを得ない

「自分を定義付ける一部となる」と言うと、一見難しそうに感じますが、簡単に表すなら「世界観を共有できる」かどうかです。意匠デザインや、素材、インテリアなども含まれますが、これらはあくまでも、世界観のつくる要素の一部にしかすぎません。

世界観とは、全体として意味づける見方・考え方のこと。人生観より広い範囲を包含する。単なる知的な理解にとどまらず、より情意的な評価を含むものである。情意的な面、主体的な契機が重要視される。

その世界観をつくり、そこから生まれるニーズがわからないと、プライスで惹かれる客層を狙うしかなくなり、価格勝負に陥るんですよね・・・世界観のない家って、似たり寄ったりになりやすいですからね。そして、見込み客との信頼関係をつくるとは、世界観を共有できる時間を増やすってことでもあります。

自分の気持ちを大切にできない、自己重要感が満たされてない人が多い

世界観をつくることは、価値観の多様化による少数派への共有だけでなく、自分の気持ちを大切にできていない人や、自己重要感が満たされてない人を巻き込むことにも影響があります。

自己重要感とは、「自分が自分にとって特別な人間である」「人間として大切にされている」ということを実感し、「私という存在は、私にとって一番重要なものなのだ」と思うなどの働きです。

自分の気持ちを大切にできない人

環境が進化して、やりたい人はどんどんやりたいことを叶えられる状況になってきています。ですが逆に、会社員でやりたくない人の「できない」がなくなり、選ぶか選ばないかになっています。「やりたい・やりたくない」と言える人にとっては良いけど、言えない人はどんどん追い詰められていきます。

そんな方にとって、素直に自分の価値観や本音が言え、家そのものが、自分を定義付ける一部となってくれるなら、巻き込みやすいですよね。

自己重要感が満たされてない人

特に東京は、ドラマのロケ地もありますから、昔から自分がドラマの主人公だと勘違いする人って多いんですよ(笑)そんな方は、自分が何かの主人公みたいにモテはやされることを望んでいますから、世界観を担う役割を与えたりすると、巻き込みやすいですね。

CD販売やドラマにも使われている”世界観”

AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」とか良い例です。昨年、社会的な現象にもなり話題だったTBS系のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(逃げ恥)の「恋ダンス」とかも。関連した素人のダンス映像がYoutubeにアップされましたよね。だからといって、「世界観をつくる=踊る」ってことではないですよ。個人的には、「恋ダンス」にしろ「恋するフォーチュンクッキー」にしろ、素人映像は「私を見て!」という自己重要感が満たされてない素人が集まっているだけなので、レベルは低いですし(笑)こういうのは、仕掛けたもん勝ちなところがあって、レベルの低い真似は、仕掛けた側の糧になっているだけだったりします。

逃げ恥のドラマのプロデューサーに、ドラマのコンテンツ制作とプロモーションのポイント、そしてテレビドラマというエンターテインメントに対する想いを聞いた記事があるのですが、そこで語られてたのは、「ドラマの世界観を共有できる時間を増やす」ということでした。

 

 

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追伸:工務店経営者の方にお知らせです。
参加した工務店経営者の声
今ではたくさんのコンサル会社がいろいろなセミナーをやっている時代、どれを聞いても同じようなセミナーで、言っていることはだいたい同じ、特に共感できるところもなく金儲けでセミナーをやっているとしか思えないようなセミナーばかりでした。そしてある程度規模の大きい工務店、地場ビルダーを対象にしたセミナーが多いことでした。でも以前より何回か井内さん、出口さんのセミナーを受けていますが、とても分かりやすく中小工務店(年間棟数20棟程度まで)を対象にした問題点を取り上げてくれています。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。