施主を価値ある存在へ導く『顧客価値』の考え方

リピートがないに等しい注文住宅の場合、既存顧客という概念がありません。だから、何も施策をしないと、引き渡した後の顧客は「釣った魚」状態になってしまいます。そんな状態にしてしまうと、もちろん紹介やクチコミも生まれませんので、価値がない存在として位置付けてしまうようになる、悪循環に入ってしまうんです・・・何もしないと自然とそうなってしまうんですよね。

だからこそ、「顧客を、価値ある存在へ、どう導いていくか?」この辺りの意識や取り組みが求められてきますよ。

下記で紹介しています記事が、マーケティング全体的な話として、既存顧客とどう接するか?という内容で、参考になります。記事の中で取り上げられている、顧客価値が非常に興味深いです。

ジョージア州立大学のビジネススクール教授が、顧客の価値を4つの要素として紹介います。

  1. CLV:カスタマーライフタイムバリュー(顧客生涯価値)
  2. CRV:カスタマーリファラルバリュー(顧客紹介価値)
  3. CIV:カスタマーインフルエンスバリュー(顧客影響価値)
  4. CKV:カスタマーナレッジバリュー(顧客知識価値)

 

CLV:カスタマーライフタイムバリュー(顧客生涯価値)

CLV、つまり顧客生涯価値はマーケティング業界において最も一般的な言葉でしょう。顧客が企業にもたらす価値のことです。CLVではなく、ライフタイムバリューの頭文字をとってLTVと呼ばれることの方が多いかもしれません。この指標のポイントは、企業と顧客の関係を一回だけの商取引とみなすのではなく生涯的にもたらす価値をみるところ。

ここで表す価値は、お金や回数での計算なので、注文住宅の場合、生涯価値は何千万円ですが、一回だけの取引関係になってしまいます。

この何千万円が、何十回の取引で得られるのであれば、施主に対しての接し方も「釣った魚」状態にはならないでしょう。ですが、短期間の一回で得られてしまうため、「釣った魚」状態になりやすいんですよね・・・

回数は、今の家のつくり方では変わることはないでしょう(笑)住宅ローンの仕組みから変えられると、回数を増やすこともできるので、つくり手側の施主への接し方も変わってくるでしょうね。

また、顧客生涯価値を上げるためには、一回限りの商品(家)だけというビジネスモデルから、脱する必要があります。インテリア、外構、リフォームといった関連事業もあるでしょうし、ビジネスセンスがあるなら、同じ顧客をターゲットにしたまったくの別事業もアリですよね。

 

CRV:カスタマーリファラルバリュー(顧客紹介価値)

CRV、顧客紹介価値は、文字通り顧客が顧客を紹介してくれたことによる価値を測定するものです。アンバサダープログラムの目的として当然期待されやすいのが、アンバサダーが他の新規顧客を連れてきてくれるという口コミ効果です。

注文住宅の様に圧倒的な高額商品だと、紹介はかなり厳しくなっていますよね。価値観も多様化していて、合う合わないという判断基準もある中で、誰だって自分がすすめることの責任は負いたくないものです。

注文住宅の場合、「紹介してください」という言葉は、紹介する気持ちを損なう言葉にもなるんですよね(笑)ビジネスとして割り切ってくれる施主がいればいいですけど、なかなか難しいところです。

 

CIV:顧客影響価値(カスタマーインフルエンスバリュー)

顧客影響価値は顧客紹介価値に似ていますが、紹介による購入や加入という行為自体を測定するのではなく、いわゆる顧客の口コミが回りに与える影響を測定するものです。

施主の影響力ですね。影響力を、ブログやSNSのフォロワー数という捉え方もありますが、タレントのような影響力を持ってる方が珍しいので、注文住宅の場合、コンテンツの質だと捉えています。

「お客様の声」や「事例」もコンテンツのひとつですが、ここで言うコンテンツとは、「施主の暮らし方」を指します。施主の暮らし方に、新規客が憧れたり、興味を持ったりすることだってありますから、施主が自身の魅力的な暮らしを、どう発信させるかが鍵を握ります。

だからこそ、顧客影響価値を高めるには、魅力的な暮らすことができる提案が求められます。家というハコだけ与えてもダメってことですね。

 

CKV:顧客知識価値(カスタマーナレッジバリュー)

顧客知識価値は、顧客から得られたフィードバックの価値を測定するものです。単純に「傾聴」から得られた顧客のデータの件数を、リサーチ費用と比較するという方法もありますが、顧客のフィードバックやアイデアから生まれたビジネス上の貢献度を金銭的に計上することができれば理想です。

「お客様の声」も、顧客知識価値に該当しますよ。その他にも、施主との何気ない会話の中から聞き出せることもあると思います。つまり、施主とのコミュニケーションによって、成り立っている部分でもあるので、ここが0ということは、非常にマズイ状態ですね。

 

以上の4つの価値を、住宅業界目線で切り取ってみましたが、特に下2つの

  • CIV:カスタマーインフルエンスバリュー(顧客影響価値)
  • CKV:カスタマーナレッジバリュー(顧客知識価値)

は大事ですよ。お金で表せない価値ですしね。

価値の定義を明確にしていくと、施主が集客にとって、価値がない存在ではないことがわかりますよ。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。