以前「こだわりの家」が当たり前という標準になっていると書きましたが、
「子育て」絡みの家も同じように、設計事務所、工務店にとどまらず、パワービルダーやハウスメーカーも使っている時代です。「子育てのために」「子育てできる家」「子育てしやすい住まい」「子育て住宅」など、検索すれば選びきれないほど出てきます。
子育て世代をターゲットにする以上、子育てを意識した家にすることは、当たり前であり、もはや何の差別化にもなりません。
子育てはルーズ!?
それに、何百人と子育てしてきてるわけでもなく、してきたとしても平均1~2人ほどでしょう。なのに、あたかも「子育てはこうあるべきだ」と、他人に押し付ける感覚はどうも腑に落ちません。
また、自分が受けた子育てを重んじるのはかまいませんが、そもそも、子どもたちからすれば、20年以上も前の価値観を押し付けてほしくないとも感じます。
以前、教育評論家の尾木ママが、「教育評論家なのに娘が問題行動起こしちゃった」として、「しくじり先生」で、自身の子育てのしくじりをぶっちゃけてました。尾木ママの教育論が良い悪いということではなく、大人が子どもに対する教育なんて、それぐらいルーズなものなんでしょう。
さらに、将棋の藤井聡太四段が、幼少期にキュボロという木のおもちゃで遊んでいたと報じられれば、たちまち売り切れになり、入荷待ちの状態になるくらいです。それぐらい感情に左右されるものなんです。
つまり、絶対的な子育て論なんてないってことでしょう(笑)
そんなルーズな感覚を鵜呑みにしたらダメ!
どこかのサイトで、大勢の子育てママに聞いたアンケート結果が、「子ども部屋は小学校入学時に与えたい」という答えだったことから、その内容を活かした間取りを考えていたプランが公開されていました。
いやいや、そんなルーズな感覚を鵜呑みにしたらダメでしょ(笑)
そもそも、子ども部屋なんて、子どもが自発的にほしいと思ったときにつくれた方がいいわけですし、家のつくり手側はその部分を建築物としてサポートすべきだと思いますよ。それは、以前書いた「つくりこまない」家にも関連しています。
実際、壁自体は簡単につくれるわけですし、視界だけ遮れればいいのか?音まで遮りたいのか?それによっても、つくり方は変わってきます。その辺りも大人が決めるんじゃなくて、子どもが自発的に決めていけばいいんですよ。多分、本気でほしいと思う大半は、思春期頃だと思います。
本格的につくるとなると、ちょっとしたリフォームになりますので、子どもは自分が決めたことで、周りやお金がどんな風に動くのかが体験できて、いい経験になると思いますよ。ただ、そこまで大掛かりになると、大半はためらい止めると思います。例えば、費用が20万円掛かるとした時、親が全額払うとしても、子どもからすると大金の20万円を、自分の部屋のために使うのかどうか?
そういうのって、下手な教育論より、子どもの成長に大きく影響すると思います。
家という視点みたら、家は引き渡し時が完成ではないってことです。完成された家で子どもを育てるよりも、未完成で子どもの成長とともに出来上がっていく家の方が、よっぽど子育て住宅だと思いますよ。