先日、とある建材系の会社にて、セミナー講師をさせていただきました。完全に写真を撮るのを忘れてます(笑)
話した内容は、一言でまとめると「価値をつくり(高め)、利益を増やす」という内容です。
なぜ、このようなテーマなのかというと、僕の前に話しをされた販売店の方が、工務店の社長に質問を受けていたのが、まさに核心をついた内容でした。
「利益率◯◯%を確保したいんだが、どうやっても原価は下がらない」
「昔、原価公開の手法を取り入れてみたが、上手く行かなかった」
「どうやって利益率◯◯%を保てばいいんだ?」
みたいなことでした。
「原価を下げる」ことは、企業努力として大事なことではありますが、限界があります。効率化するにしても、人が多く関わりすぎててなかなか進まないし、ITリテラシーの低さも影響してきます。モノの原価や人の原価を下げれば、比例して質は下がります。建材にも製造コストや関わる人のコストがありますからね。また、下手に広告宣伝費を削れば、認知される機会が損失します。
建材に関しては、機能や性能の向上が求められまし、メーカー側も新商品を開発してきますから、どんどん原価は上がりますよ。
原価が上がると文句を言う人達が一定層いますが、大体、自社(自分)で価値をつくれてない(高められていない)人たちだったりします。これからは、独自性のある価値をつくったり、高めたりしていかないと、どんどん厳しくなりますよ。
原価が上がる以上、これからも値上がる方向だと思っています。だからこそ、自社独自の価値を持たないと苦しくなります。https://t.co/Yi9rBgnblP
— イエコトバ (@designattract) December 14, 2017
どうやって利益を増やす?
注文住宅において、利益を増やすための、ざっくりとした方法を挙げると、
- 原価を下げる
- 粗利を上げる
しかありませんよね。
ただ、冒頭でも取り上げたように、原価を下げるには限界がありますし、時間も掛かります。なので、個人的には、粗利を上げることにチカラを入れていってほしいと考えています。一言で言えば、「値上げ」です。でも、そのためには、価格相応の「価値をつくる(高める)」ことが必要です。
「価値」の方向性をざっくり分けると、
- 価格
- 機能&性能&意匠
- ライフスタイル
という感じに分けられます。安ければいいという人や、見た目や数値にこだわる人や、精神的な豊かさを求める人など、完全に偏るわけではないですが、それぞれ方向性があります。
下記はセミナーでも使用した表です。
客数・ライバル | 原価 | 利益率 | 難易度 | |
価格 | 多 | 中 | 低 | 低 |
機能・性能・意匠 | 中 | 高 | 中 | 中 |
ライフスタイル | 少 | 低 | 高 | 高 |
価格競争になりたくないという方は増えてきましたが、住宅業界は、建材なしでは成り立たないためか、「機能&性能&意匠」で、差別化を図ろうする方が非常に多いです。
ですが、その切り口では、良い物・良い意匠はやはり原価が高いです。また、類似品や同等品など、仕入れれば誰でも実現できたり、意匠にしても上手くパクるので、似たり寄ったりになることで、また新たな差別化をしていかなかればなりません。だから、トータル的に原価コストが掛かってしまうんですよね。
なので、提案しているのが「ライフスタイル」です。これが一番、利益・利幅を生みやすいです。
ライフスタイルと言っても、モダンとかナチュラルとか和など、そんなことではありません。一言で言えば、このブログでも過去取り上げてます「世界観」です。具体的に示すなら、「◯◯の家をどう使いこなすか?」という部分を表現していくということです。モノを販売するわけではないので、原価は低いですし、価値を感じる方には、価格は高値でも通じます。
この部分が固まってくると、どんな意匠にしたらいいのか、どんな建材を使うべきかの方向性も固まってきます。「なぜこのデザインなのか?」「なぜこの仕様なのか?」といった、家づくりの哲学(自信)となる部分が構築されていきます。
商圏としているその地域に「この家でなければいけない!」という自負があり、そんなに良いモノをつくっているなら、「価値を伝えて、高値で売ればいい」のです。「安い=善、高い=悪」という先入観をぶち壊しましょう。