工務店は施主に決算書を見せることができるのか?

家づくりを検討している人から「決算書を見せてくれませんか?」と言われたら、見せることはできますでしょうか?

といっても、工務店側としては、そんなことを言われることはほとんどありませんので、考えたこともありませんよね。

家づくりを検討する多くの人は会社員です。財務関係の仕事や経理でもない限り、会社の財務状況なんて知る由もありません。何の根拠もなく「自分の会社はつぶれることはない」と思っているのと同じで、「依頼する工務店もつぶれることはない」と思っていたりします。どこの工務店の経営状態が良いか悪いかなんて、ぱっと見て判断つきやしないのに・・・

借金して何千万というお金を払うにも関わらず、依頼する工務店の信用状況を知らないのは、無知にもほどがあるわけです。

工務店の倒産は、企業規模の大小に関わらず、起こっています。沢山建てているけど、低利益で資金が回らなくなり倒産ということもあれば、急成長の裏で社長の犯罪行為しており逮捕。それで一気に信用を失い倒産というケースもあります。沢山建てているから、宣伝でよく見かけるからといって、安心できるものでもありません。

リスクをゼロにすることは難しいですが、潰れない会社を判断する一つの指標が、「決算書」でしょう。

決算書は、会社の健康診断の結果みたいなものです。人体の健康診断と同じ様に異変があれば、通常よりも異常な数字が現れてきます。

「決算書を見せてもらえますか?」と言われた時の姿勢

決算書は、会社の重要な書類になので、安易にコピーを渡すということはないでしょうが、「決算書を見せてもらえますか?」と言われた時の姿勢は、

  • 決算書をすぐに見せられるよう用意している。
  • すぐに見せられなくても、後日用意してくる。
  • わかりやすく説明してくれる。
  • 具体的な数字に触れず、ごまかす。
  • 断る。

など、信用・信頼を築く上でも大事なターニングポイントになるでしょう。

決算書の説明は、経営者自身が決算書の中身を理解していることが前提ですが、たとえ赤字だったとしても「慢性的な赤字なのか、一時的な赤字なのか」、借り入れがあったとしても「きちんと計画的に返済しているのか」など、経営の中身や姿勢についてきちんと説明してもらえると、健全な経営をしていれば、信用度は一気に増しますよね。

決算書の盲点

決算書は「過去の情報」

健康診断も年1回なので、その後病気が見つかるのと同じ様に、中小企業においては、決算書も決算期は年1回です。

タイミングによっては、その決算書は半年~1年近く前の情報の可能性もあるわけです。決算時は良くても、今期から急に下降・・・なんてこともありますからね。

当事者が作成しているので誤魔化せる

健康診断書と違って、決算書は当事者がつくるため、ごまかせます。いわゆる「粉飾決算」です。

こんなことをする経営者はごく一部ですが、工務店の場合、銀行から融資を受けるためや、仕入先からの取引条件を良くするために、実態よりも良く見せ、改ざんします。これは、簡単には見破ることはできません。とある銀行では融資する時、決算書がうかがわしいと判断したときは、口座残高まで確認して、整合性が取れているか確認するようです。

こうやって、決算書を改ざんして偽ってしまうと、「集客だ」「契約だ」の安直な戦略になり、適切な一手が打てなくなるんですよね。病気なのに健康と偽って、運動しているのと同じです。適切な処置が施せなくなるんです。で、どんどんひどくなり、負のスパイラルに陥ります。

公表する義務はない

決算の内容が赤字の場合、「会社の数字を公表したがらない」という傾向があります。

ただ、決算の開示義務は株主のみでいいわけですから、上場企業でなければ、公に発表する必要もないわけです。

直接見せる義務はないですが、株式会社は「決算公告の開示」を義務付けられています。

また、帝国データバンクなどの信用調査会社が調査依頼を受け、会社に訪問調査し、決算書の提出を求めたりすることがあります。あくまでも任意なので、断ることも可能です。ただ、依頼者からすると「断った」ということで疑義的になるでしょうし、調査会社の査定評価にも影響するでしょう。

今はネガティブ情報がネットに出る

最近ではネットのおかげもあり、倒産の兆候がある工務店は、リアルタイムにネガティブな情報が発生します。

わかりやすい例だと、口コミサイトなどで悪評が広がるようになります。

最初は、同業者の妬みにも思える信ぴょう性の低い情報だったのが、アフターサービスの悪さや、社長や従業員の対応など、明確な悪評が段々と増えてきます。しかも複数。

そういった明確な悪評でさえも、書かれた側は削除に掛かります。ですが、それは火に油を注ぐことにもなりますし、悪評を削除することに目が行き、悪評の根源を正そうとしなくなり、負のスパイラルへ陥っていきます。

末期は、職人への不払いから、施工中に工事が止まります。だいたいその前後に、給与の未払いなどで退職者や内部告発もチラつきます。

そして、この頃には「◯◯工務店 倒産」などの検索で、他の情報も出始めます。工事を止めまいと、新規の職人を探し始めますが、もう触らぬ神に祟りなし状態なんですよね・・・

「決算書」と「ネガティブ情報」と向き合うということとは?

「決算書」と「ネガティブ情報」この2つと向き合うということとは、

  • 過去の情報である決算書の分析から、次なる一手を判断していく
  • 今を映し出すオンライン上でのネガティブな情報を早期発見し改善していく

ということです。

つまり、健康診断の数値が悪いので生活習慣を正したり、病気の早期発見で早めの対応することと同じ様なことです。

健全な経営に欠かせない視点ではないでしょうか。

 

 

追伸:工務店経営者の方にお知らせです。

【12月11日開催】経営のシンプルな法則を知るだけで業績が良くなる!

参加した工務店経営者の声
今ではたくさんのコンサル会社がいろいろなセミナーをやっている時代、どれを聞いても同じようなセミナーで、言っていることはだいたい同じ、特に共感できるところもなく金儲けでセミナーをやっているとしか思えないようなセミナーばかりでした。そしてある程度規模の大きい工務店、地場ビルダーを対象にしたセミナーが多いことでした。でも以前より何回か井内さん、出口さんのセミナーを受けていますが、とても分かりやすく中小工務店(年間棟数20棟程度まで)を対象にした問題点を取り上げてくれています。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。