工務店は人件費をいくらまで出せるのだろうか?

人件費は固定費の中でも最も大きな費用です。だからこそ、適切にコントロールしていくことが必要です。

「人件費をいくらまで出せるのだろうか?」を知る上で大事な指標が、労働分配率です。

労働分配率とは、粗利益に占める人件費の割合のことです。

  • 労働分配率=人件費/粗利益

つまり、会社が生み出した粗利益の内、どれだけ人件費ととして分配できているかということなので、「事業経営の効率」を表す指標でもあります。

労働分配率の適正値は?

労働分配率の適正値は、業種や会社の規模によって異なるため、絶対的な正解はありません。

なので、「自分の会社では、必要な利益を確保するには、労働分配率は何%が適切なのかを知る」ことが重要ということです。

一応、必要な利益が出ていて、経営がうまくいっているのであれば、その時の労働分配率が適正値のようですが、およその目安としては、

  • 40%台・・・優良。生み出している粗利益に対して、人件費の負担が低く収まっている。生産性が高い。
  • 50~60%・・・妥当な水準。
  • 60%以上・・・利益が出にくい収支構造。生み出している粗利益に対して、人件費の負担が高い。生産性が低い。

目指すは、業界の平均の48.6%

TKC経営指標を見ると、木造建築工事業の黒字企業の、労働分配率の平均は48.6%のようです。

労働分配率は低ければ低いほど良いってものでもない。

労働分配率が極端に低すぎる場合は、生み出している粗利益が高いにもかかわらず、従業員を安い給料で酷使している可能性が高いです。

労働分配率が極端に低すぎる例には、ブラック企業などが該当しますが、似たようなケースで、

  • 売上が少ない
  • 従業員あたりの粗利益が少ない
  • そのため、従業員の給料を低くせざるをえない
  • 労働時間が長い、休みが少ない

みたいな会社がありますが、そもそも会社自体が儲けてないので、給料を出しようがないわけですが、世間ではこういった会社も「ブラック企業」と呼んでいたりします。

労働分配率を改善するには

理想を言ってしまえば、人件費は上げ、労働分配率は下がるように、粗利益はもっと上げることでしょう。

労働分配率を下げる方法

労働分配率が業界平均に比べて高すぎる場合は、経営改善を行う必要があるでしょう。高いままだと、会社の収益を人件費が圧迫し、その結果、利益の確保も困難になります。

労働分配率を引き下げるには、

  • 粗利益を高める
  • 人件費を抑える

といういずれかの方法を考えることができます。

人件費を抑えたら・・・

給与の引き下げ、福利厚生費の引き下げなど、無駄な人件費を抑えることで、労働分配率を引き下がります。

ただ、人件費を抑える方法は、よほど高給取りでないかぎりは、止めておいたほうがいいでしょう。モチベーションは下がりますし、退職する可能性も出てきます。逆に、退職させる気なら使える手ですが・・・どうしても下げるなら、まずは福利厚生費からでしょうね。

まずは、経営効率に努め、粗利益を高めよう

粗利益を大きくすれば、労働分配率は下がります。つまり、従業員1人当たりの売上を引き上げれば、労働分配率は下がるのです。

行いやすいのは、これまで外注に出していた業務を、会社内部で担う方法でしょう。言葉は悪いですが、同じ給料内で、効率よく仕事をさせるということです。

営業職に対しては、売上ノルマや歩合などの方法もありますが、業界の歴史を振り返ると、たとえ売上が上がったとしても、お客さんの信用を失いやすい方法だったりするので、個人的にはすすめません。

労働分配率を上げる方法

労働分配率が低すぎる場合は、従業員のモチベーションが低下します。仕事に対する意欲も失い、会社の収益はさらに下がってしまうリスクがあります。退職者が出る可能性も高く、採用するとなると、さらに支出が増えてしまうことでしょう。

業界平均よりも労働分配率が低い場合は、従業員の満足度や人材育成のためにも、労働分配率の引き上げが必要です。

労働分配率を引き上げるには、

  • 従業員の給料を上げる
  • 新たに従業員を採用する
  • 外注に出す
  • 福利厚生を充実させる

といういずれかの方法を考えることができます。

従業員の給料を上げる

従業員の給料を引き上げれば、人件費が多くなるため、労働分配率は上がります。モチベーションや満足度も高くなるため、仕事に対する意欲も高くなりやすいです。

ただし、満足度を満たし、ハングリー精神がなくなり、さらなる上を目指さなくなる可能性もあります。また、一度上げた給料を下げることは、モチベーション低下や退職にも繋がりやすいので、給料の変化はコントロールが難しいです。

新たに従業員を採用する

労働分配率が低い場合、1人当たりの仕事の量が多すぎる可能性もあります。その場合は、人員を雇うことで、労働分配率は上がります。

ただし、雇用すると、安易には辞めさせられないことも、念頭においておく必要があります。

外注に出す

上記の理由と同じで、1人当たりの仕事の量が多すぎるなら、外注に出せる部分は外注に出すということでも、労働分配率は上がります。外注だけでなく、アルバイトも同じです。

雇用すると、安易には辞めさせられないリスクもあるので、外部への業務委託の方が、コントロールしやすいです。一番、取り掛かりやすい方法ではないでしょうか。

福利厚生を充実させる

退職金、社内福祉や社内旅行などを充実させ、福利厚生費を大きくすることでも、労働分配率は高くなります。

福利厚生の充実も、給与の引き上げと同じ様に、従業員のモチベーション向上に繋がります。また、下げざるをえなくなっても、人件費よりは手を付けやすいことでしょう。

労働分配率を視覚化しておく

例えば、年間10棟の工務店の場合、人件費は大きく変動がなくとも、粗利益は毎月一定ではありません。

なので、労働分配率は月により大きく変動します。毎月の労働分配率の推移を把握しつつも、年間平均で捉えていくようになるでしょう。

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