経営指標を定めるにしても、業界の参考値がわかると、目安を立てやすいものです。
TKC経営指標を見ると、木造建築工事業の黒字企業の平均値が載っていますので、こちらを参考にすると良さそうです。
掲載データは、黒字企業の平均データなので、目安にするにはいいですね。
木造建築工事業の黒字企業の平均値
●黒字企業の定義…… 1.期末純資産がプラス、かつ、2.当期損益がプラスの企業を指す。
●収録対象企業……… 直近3ヵ月間に決算を終了した企業。平成30年10月号掲載分は平成30年4月1日~平成30年6月30日までに決算が終了した企業のうち黒字企業を収録。
平成30年4月決算~平成30年6月決算
業種名 | 木造建築工事業 | ||
黒字企業件数 | 396 | (件) | |
黒字企業割合 | 41.4 | (%) | |
平均売上高 | 300,043 | (千円) | |
対前年売上高比率 | 106.0 | (%) | |
限界利益率 | 28.6 | (%) | |
固定費 | 人件費 | 41,665 | (千円) |
労働分配率(%) | 48.6 | (%) | |
その他の固定費(千円) | 30,935 | (千円) | |
経常利益(千円) | 13,092 | (千円) | |
売上高経常利益率(%) | 4.4 | (%) | |
損益分岐点比率(%) | 84.7 | (%) | |
生産性(年/人) | 1人当り売上高(千円) | 37,677 | (千円) |
1人当り限界利益(千円) | 10,781 | (千円) | |
1人当り人件費(千円) | 5,232 | (千円) | |
平均従事員数 | 8.0 | (人) |
売上高などは企業規模によって異なるので、あまり参考にはなりませんが、比率や一人当たりの数値は参考になります。黒字企業の平均データなので、目安にしましょう。
黒字企業割合は41.4%ということは、6割近くは赤字。
半分以上が赤字なのは、残念ですね。もちろん、永く継続して地元に根ざした経営をしていくなら、継続した黒字化は必須でしょう。
限界利益率(粗利益率)の平均は、28.6%。
昔から「粗利30%取れれば優秀」と聞いていましたが、黒字企業の平均が28.6%でした。
工務店によっては、25%以下の数字に耳にすることがありますが、安定した黒字化を目指すなら、安易な値引きなどをして、28.6%を割らないようにしないといけませんね。
売上高経常利益率の平均は、4.4%
木造建築工事業の場合、1棟当たりの金額が大きいため、売上高が大きくなります。
そのため、経常利益が出て黒字だと思っていても、売上高経常利益率を算出してみると、1%台や1%を下回ってるケースもあります。見落とさないようにしましょう。
損益分岐点比率の平均は、84.7%
80~90%が日本企業の平均的な数値と言われていますので、平均値内ということです。
労働分配率の平均は、48.6%
ほぼ50%に近い数字です。無理して40%前半台まで低くする必要もないということですね。
生産性の平均は?
従業員一人あたりの平均データ(年間)は、
- 1人当り売上高:約3800万円
- 1人当り粗利益:約1080万円
- 1人当り人件費:約530万円
となっています。
経営安全率の平均は、15.3%
上記の表の平均内容から経営安全率を算出すると、
(13,092:経常利益)/(300,043✕28.6%:粗利益)×100=15.25655・・・
一般的な参考値の中では「最低限のレベル~標準」の間です。
従業員一人当たりの売上高が3200万円以下だと赤字企業の可能性が高い!?
売上高を従業員数で割った値の平均が、約3800万円です。そして、損益分岐点比率が84.7%なので、掛け算すると、
3800万円 ✕ 84.7% = 約3200万円
従業員一人当たりの売上高が、3200万円を切っているようだと、赤字企業の可能性が高いという判断ができます。