小規模工務店の経営者も必要最低限の経営指標でヒト・モノ・カネの動きを把握しよう!

ほとんどの工務店は、税理士や会計士を入れて税務上のチェックや、月次試算表もつくってもらっていると思います。その時に、税理士・会計士から「先月は売り上げが多いとか少ない」とか、「今月は広告費が少し多い」など、基本的な助言をもらうと思います。

ただ、小規模企業の経営者は、会計学の専門家でもありませんし、工務店という業種柄、財務や会計に関しては苦手としている人も多いでしょう。

なので、年間10棟ぐらいだと、必ず毎月売り上げがあるとも限らないので、毎月の数字よりも、 決算時にどのくらいの利益があったかをチェックするくらいになっていませんか?

経営指標=経営の羅針盤

決算書から読み取れる経営指標は「経営の羅針盤」と言っても過言ありません。この羅針盤に基づいて、正しい方向に走っているのかどうかを、判断するのが社長の役目です。

もちろん、ある程度の読み取る力も必要ですし、判断するには知識も必要となります。

会計士や税理士などの専門家は、企業の経営力を把握するため、高度で難解な数多くの経営指標を読み込んでいます。だからといって、財務や会計の専門家になる必要はありません。

ですが、それは会計士や税理士に必要なことであって、必ずしも経営者に必要なことだとは思っていません。小規模企業ならなおさら。最低限必要な経営指標から、判断し、決断していくことの方が大事です。

必要最低限の経営指標で、ヒト・モノ・カネの動きを把握する

会社はヒト、モノ、カネの経営資源によって、構成されているのですから、会社経営にとっての必要最低限の経営指標は、ヒト、モノ、カネの動きを把握する指標といってもよいでしょう。

ヒト

  • 人件費の適正を把握する「労働分配率」

モノ

  • 会社の儲けを把握する「売上高利益率」
  • 商品の採算を把握する「損益分岐点売上」

カネ

  • 会社の資金力を把握する「自己資本比率」
  • お金の支払い能力を把握する「流動比率」

 

1.人件費の適正を把握する「労働分配率」

  • 労働分配率=人件費/粗利益

会社の儲けに対して掛かっている人件費の割合を把握し、適正かどうかを判断します。つまり、労働分配率(会社の売上総利益に対する人件費の割合)を見ていく必要があります。

人件費は給料だけではなく、従業員が働く上で欠かせない費用の総額となります。なので、社会保険料、雇用保険料、労災保険料などの法定福利費や、通勤費や健康診断、歓送迎会などの社内のイベント事の費用などの福利厚生費も含まれます。

工務店は人件費をいくらまで出せるのだろうか?

2018.10.24

2.会社の儲けを把握する「売上高利益率」

売上高利益率は、「会社の儲けはどれくらいなのか」を知るための指標です。

売上高利益率といっても、

  • 売上高総利益率(粗利益率)=粗利益/売上高
  • 売上高営業利益率=営業利益/売上高
  • 売上高経常利益率=経常利益/売上高

があります。

営業利益は、売上総利益(粗利益)から販売費及び一般管理費を差し引いて計算した利益で、企業本来の営業活動の成果を意味し、企業の本来の実力、儲ける力、や企業の管理効率を示す指標です。

小規模な工務店ですと、売上高総利益率(粗利益率)と売上高経常利益率をチェックしておけばいいと思っています。

小規模な工務店に大事なのは、売上よりも利益の増加です。

経営者は、売上を増やせば利益も増えると思い、売上を増やすことに力を入れてしまいがちです。ですが、利益率が低いまま売上を伸ばしたところで、小規模な工務店だとパワープレイができないため、薄利多売ならぬ薄利少売になるだけです。

売上高利益率を把握し、利益が売上の増加に伴って増えるよう、コントロールしていきましょう。

3.商品の採算を把握する「損益分岐点売上」

商品の売上がいくら以上になれば、利益が出るかという損益分岐点を知ることは重要です。赤字会社の場合、まずはこの損益分岐点売上が目標になるでしょう。

商品を売るにも費用が掛かります。掛かる費用には、人件費や販売管理費など、売上に関係なく常に一定の経費がかかる固定費もありますし、材料費や仕入れなど売上に伴って増える変動費もあります。

これらの費用が掛かりすぎていたり、粗利益率が低いと、損益分岐点売上を達成するのも大変になっていきます。

損益分岐点売上を求める方法には、

  • 損益分岐点比率から計算する方法
  • 粗利益率から計算する方法

があります。

工務店の損益分岐点売上を知るには?

2018.10.25

4.会社の資金力を把握する「自己資本比率」

  • 自己資本比率(%)=自己資本/総資本×100

自己資本比率は、会社の総資本に対する純資産の割合であり、会社の資金力のバロメーターとなります。

純資産は、資本金や利益剰余金などの返さなくても良いお金なので、自己資本とも呼ばれます。他人資本は、銀行からの借り入れなど負債の合計を表し、総資本は、他人資本と自己資本の合計を表します。

自己資本比率が高い=純資産の多い会社ほど、経営が安定していると判断され、その評価は多少差がありますが、おおよそ

  • 70%以上 超優良
  • 40~69% 優良
  • 20~39% 平均
  • 10~19% 乏しい
  • 0~10% 危険
  • -4~0% 経営危機
  • -4%以下 赤字経営

と言われています。ただ、パーセンテージだけで見るのもズレています。

「自己資本比率が高い会社=良い会社。だから、借金をしてはいけない。」という、無借金経営を良いとされていることが多いですが、無借金にこだわってしまうと、経営者の意思で自由に動かせるキャッシュが増えません。

自由に動かせるキャッシュが増えないということは、事業への投資もしにくくなります。つまり、自己資本比率が高いがために、成長する力を抑えてしまっているのです。

また、経営が傾き、お金が必要な状況になった時に、銀行に融資を頼めばいいと思いがちですが、そんな簡単に思うようにはいきません。

そして、いくら自己資本比率が高くとも手元にキャッシュがなければ倒産してしまいます。

本質的なことを捉えるなら、「借入金を減らしながら、手元に残るお金を増やしていく」ということでしょう。

5.お金の支払い能力を把握する「流動比率」

  • 流動比率(%)=流動資産/流動負債×100

流動比率は、1年以内に現金化できる資産が、1年以内に返済すべき負債をどれだけ上回っているかを表す指標です。簡単に言えば、会社の短期的な支払い能力を判断する指標であり、短期安全性が分かります。

流動資産とは、現金や受取手形など、すぐに現金化できる資産を表します。流動負債とは、従業員への給料の支払い、原材料の仕入れ代など、すぐに支払わなければならない費用を表します。

資金繰りが逼迫すると流動資産が減少し、流動負債が増加する傾向にあります。したがって、流動比率が低い企業は、短期的な支払能力が乏しいと判断されます。逆に、流動比率が高い会社ほど、資金に余裕のある会社といえます。

中小企業の場合、流動比率は150%以上あるのが望ましいと言われていますが、建設業は売上の入金に時間が掛かるため、150~200%ぐらいを目安にしておいた方が良さそうです。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

あなたにしかできない世界観のある家づくりを始めよう!そして、家を楽しむことを提案しよう!建材メーカー主導のモノの価値を訴求する家づくりではなく、「暮らしをモノで豊かにしようするのではなく、暮らしを精神的に豊かにする。」そんな考え方です。