小規模の工務店が、赤字経営からの脱出や、黒字化の安定を図ろうとする時、一番大きい影響力があるのが「品質」です。
「品質」は、提供する商品やサービスの価値を計る上で重要な基準になるため、商品価格にも影響してきます。例えば、高品質だと価値があり高値を付けやすくなりますし、その逆に、低品質だと価値がなく安値にせざるをえなくなってしまいます。
そして、商品価格の高低は、収益力にも比例します。「赤字経営からの脱出や、黒字化の安定=収益力を上げる」ということを考えると、品質重視に舵を切ることは、鉄板の戦略ともいえます。
収益力を上げるなら品質重視
品質重視に舵を切ることは、付加価値となる会社の強みが向上する傾向にあります。つまり、会社の競争力も高まるということです。そして、付加価値が向上すれば、高収益の価格設定にもしやすくなるので、収益力も高まります。また商品だけでなく、サービスの面でも品質を重視していけば、接客や清掃など組織力にも影響してきます。
一度、自社の付加価値を書き出してみてはいかがでしょうか?そして、競合他社との付加価値を比較すると、品質レベルをチェックをしやすくなります。競合他社よりも付加価値が高ければ、「値上げ」を選択することだってできるのです。
品質を重視した経営戦略は、小規模の工務店にとっては、最も適した経営戦略なのです。
- 高品質重視→創意工夫→品質向上→付加価値向上→需要増加→利益増加
最初の壁になるのは、「創意工夫」でしょう。付加価値を作り出したり、向上させる上で欠かせません。高品質の建材や設備、デザインレベル、体験、アフターサービスなど、品質重視の工夫は沢山あります。
高品質を求める顧客層は必ずいますので、付加価値が向上すれば、集客面でも効果があります。また、値上げも可能なため、適正な値上げを実行することができれば、会社の収益は拡大していきます。
低品質を求めていなくても、低品質扱いになることもある。
小規模の工務店の場合、真面目に「良い家をつくろう」と思っているなら、高品質の真逆である低品質を戦略にするところはいないと思います。
ですが、
- より安くと低価格路線を進む。
- 自分では品質が良いと思っているが、実際は競合と比べて劣っている。
などは、結構当てはまったりします。
まず、より安くと低価格路線を進んでしまうと、
- 低価格重視→より安く→品質低下→付加価値低下→需要減少→利益減少
というように、業績悪化のリスクが高まります。
小さな会社では、品質を落とさず原価を大きく下げることは、限界がありますし、現実的に難しいでしょう。なので、小さな会社が、より安い方向に価格を追求していく場合、品質の低いもの(原価の低いもの)を使ったり、利益率を下げた売値がほとんどです。
そんなことをすれば、付加価値も低下し、収益も減少していきます。大手の様に薄利多売なら、安かろう悪かろうでもなんとかなるかもしれませんが、そんなパワープレーができない小さな会社では薄利少売になり、会社は衰退していきます。
そして、「自分では品質が良いと思っているが、実際は競合と比べて劣っている。」ということは、低品質を求めていなくても、比較により低品質扱いになっているということです。競合他社皆がやっていることは、「強み」ではなく「当たり前(常識)」になってしまいますからね。
さらに、一度、品質軽視に染まってしまうと、品質を重視することが困難になります。変化を求めたくない人達は一定層いますので、社長の頭は切り替えられても、従業員が大人数いるとなかなか切り替わりません。
小規模の工務店の場合、「少しでも安く」という考えではなく、「高くても割安と感じてくれるぐらい価値をつくる」厚利少売という考えを持っておいた方がいいですよ。