経費と人件費は削減ではなくコントロールする

経費と人件費はできるだけ削減すればいいと思われがちですが、安易な削減は、逆に利益に繋がりません。これらは削減ではなく、コントロールしていくことが重要です。

なので、経費と人件費について、掘り下げて取り上げます。

経費削減は正しいのか?

赤字経営を黒字化するための最初の一歩は、「無駄やロスをなくし、収支をマイナスからゼロに持っていくこと」です。

例えば、

  • 50万円の売上アップ
  • 50万円の経費削減

を比べたら、利益への貢献度が高いのは後者です。

売上アップの場合は、原価もありますから、利益への貢献度は、売上の金額そのままではありません。ですが、経費削減の場合、利益への貢献度は100%ですからね。利益への貢献度を考えると、経費削減は効率が良いと言えるでしょう。

だからといって、「経費削減を徹底しよう!」という考えは、必ずしも正しいとは言えません。

固定費の中には、人件費や金利、未来への投資など、ゆくゆくはお金を生み出す部分もあります。なので、それら以外の経費については、無駄をなくすということが、基本となる考え方になります。

ただ、その部分は、「コピー用紙の裏紙を使う」「電気をこまめに消す」などで、全体のお金から見ると、しれている程度なので、利益を出すための方法としては、正直影響は低いです。なので、徹底的に削減するというよりは、無駄遣いしないという意識改革に重点を置いた方がいいでしょう。

もちろん、塵と積もれば山となるですし、お金も生み出さないような明らかに無駄遣いになっている部分は削減した方がいいです。

ですが、あまり徹底しすぎて、すごくケチ臭い感じがにじみ出てしまうと、デメリットの方が大きくなってしまいます。ケチ路線を歩んでしまうと、貧乏気質にもなり、人間性にも大きく影響してきます。つまり、付き合いたくない人になっていきます。

昔、社員の無駄遣いを防ぐために、会社に監視カメラを設置してる工務店に出くわしたことがあります。社内の影響からかそこで働く社員の性格も悪かったし、真っ当な人はそんなところで働きたくないだろうとも思ってしまいました。

経費削減するなら、社長の行動を見直す

小さな会社の場合、社長の一声で始まって終わることは多々あります。だからこそ、社長自身の行動を見直すことが、経費削減の大きな効果を得られることもあります。

行動の中で、明確な理由もなく行っていて、お金と時間を消費してしまうものを止めていくということです。行動に、明確な理由と目的の必要性を設けることで、要不要の判断もしやすくなります。

人件費はデリケートな経費

人件費は、相手が人間だからこそ、非常にデリケートな経費です。利益を出したいからといって、減給や解雇というわけにもいきません。下手をすると、不当扱いされることもあります。

私も不当解雇だったので従業員側の心情はわかります。ただ私の場合は、揉めても時間がもったいないと思い、「コイツらとは二度と関わらない」と心に決め、さっさと立ち去りました。ですが、普通の従業員なら、労働基準監督署や労働組合や弁護士に相談するでしょう。このネチネチさは、経営者側からすると面倒ですよ。

また減給は、よほどその会社に愛着がない限りは、ほぼ間違いなく辞めていきます。私自身は減給の経験はありませんが、会社員時代に、減給後まもなく退社という営業マンを何人も目にしてきました。

人件費の部分は本当にデリケートなので、最もコントロールがしにくい経費と言ってもいいでしょう。だからこそ、最初に決める時にしっかりしておかないといけません。

経営者として理想的な人件費のコントロール

経営者として理想的な人件費のコントロールは、人件費の金額は上げ、労働分配率は下げることです。

労働分配率とは、粗利益に占める人件費の割合のことです。

  • 労働分配率=人件費/粗利益

工務店は人件費をいくらまで出せるのだろうか?

2018.10.24

一般的な適正値としては、

  • 40%台・・・優良。生み出している粗利益に対して、人件費の負担が低く収まっている。生産性が高い。
  • 50~60%・・・妥当な水準。
  • 60%以上・・・利益が出にくい収支構造。生み出している粗利益に対して、人件費の負担が高い。生産性が低い。

とされていますが、TKC経営指標を見ると、木造建築工事業の黒字企業の、労働分配率の平均は48.6%のようです。

人件費は、労働分配率との関係で考えていくと、適正なところに落ち着きやすいので、まず参考値を目標にしていくことでしょう。

社員とアルバイト(パート)が同じことをしてはいけない!?

まれに、アルバイトやパートで十分できることを、社員でやってしまうというケースがあります。

例えば、社会保険料等含めて、年間で500万円支給してる社員がいたとしましょう。これを月額に戻すと、500/12=約42万円です。週休2日で21日出勤したとすると、日額2万円。1日8時間の就業時間なら、時給2500円となります。

ということは、時給1000円のアルバイトやパートができることを、社員がやってしまうのは効率的ではないということです。仮に社員がするなら、2.5~3倍のスピードでできればいいのですが、まず無理でしょう。

外部に依頼できるほどの予算がないなら、社内で賄うしかないですが、ただ下手に残業させると、残業代で割増が掛かりますからね。

ちなみに割増の料率は

  • 【時間外】125%(日の8時間超)
  • 【深夜】150%(22時~5時)
  • 【休日】135%

ですから、残業させるくらいなら、アルバイトやパートを雇った方が安くすみます。

まぁ、管理監督者にすれば、労働基準法上、残業代(割増賃金)を払わなくていいとされているので、そういったグレーな手法を使う手もありますが・・・(ただし、深夜勤務手当は支払う必要がある。)

社長の給料はナンバー2の3倍!?

従業員のグチの一つに、「社長は給料貰いすぎ」があります。では、実際どのくらいが適正な給料なのでしょうか?

まず社長は、一人で3人分の役割を担っています。

  1. 経営者として会社経営の舵取り
  2. 会社の利益を稼ぎ出す土台を築く
  3. 会社に出資したり、お金を貸す投資家

売上の低迷や資金繰りが厳しい時に一番苦しむのは社長ですし、会社の利益を稼ぎ出す土台を作ってきたのも社長でしょう。(2世3世は別ですが・・・)また、会社の倒産は個人の自己破産にも連動していますし、会社にお金が足りない場合、社長個人のお金から会社に貸し付けることもあります。その実態は、公私混同で24時間働いているようなものです。

そういった状況を踏まえ、色々な人の意見を調べると、社長の給料である役員報酬の適正額は、ナンバー2の3倍と言われているようです。

もちろん、人件費を削らなければならないくらい切羽詰った時は、人件費の中でも最もコントロールしやすい社長の給料である役員報酬からでしょう。上手くいった時も上手くいかなかった時も背負うのは社長ですから。

前項でも挙げたように、従業員の給料に手を出し始めると、辞めていきます。またその人数が複数になっていくと、「会社が倒産する」など余計な噂も立ち、一気に負のスパイラルに巻き込まれていきますよ。

この記事が気に入ったらシェアいただけると嬉しいです。


工務店経営者に役立つ
  • ・お金のブロックパズル
  • ・利益を出すためのフローチャート
メルマガご登録者に、木造建築工事業(工務店)の黒字企業の経営指標(参考値)を当てはめた、ブロックパズルとフローチャートを差し上げています。


ご入力いただいたメールアドレスに、不定期メールマガジン『イエコトバ』をお届けいたします。不要な場合、いつでも解除できます。
 

ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

あなたにしかできない世界観のある家づくりを始めよう!そして、家を楽しむことを提案しよう!建材メーカー主導のモノの価値を訴求する家づくりではなく、「暮らしをモノで豊かにしようするのではなく、暮らしを精神的に豊かにする。」そんな考え方です。