昨年から徐々に、集客やマーケティングの話から、工務店経営の話に切り替えています。
その理由として「不毛な時間を感じるから」としていましたが、もう少し深い話をすると、2つあります。
- 一つは「ノウハウはヒト・モノ・カネに依存する」
- もう一つは、「木を見て森を見ずの状態になる」
と感じたからです。
ノウハウはヒト・モノ・カネに依存する
世の中のノウハウに関連する情報は、成功事例をもとにした方法論で溢れています。
なので、成功している例を見て「自分も同じ様に成功できる」と思い、多くの経営者が成功から学ぶことに対して、何の疑問も抱いていなかったりします。
ただ、同じ方法をノウハウを取り入れたところで、会社ごとにヒト・モノ・カネといった経営資源が違うわけですから、
- 行うヒトの能力によって左右される
- 扱うモノの品質によって左右される
- 掛けられるカネによって左右される
といった具合に、成功への道筋も企業(工務店)の数ほど存在するわけです。つまり、一昔前ならまだしも、共通の成功方法など存在しないと思っておいた方がいいというわけです。
裏を返せば、ヒト・モノ・カネといった経営資源を上手く使って経営に役立てることができれば、ノウハウも効率よく活かすことができるというわけです。
つまり、ノウハウを取り入れて上手くいくかどうかは、経営者であるあなたの経営力に依存しているのです。
木を見て森を見ずの状態になる
集客やマーケティング話は、成功事例ばかりが挙げられるので、自然とそこにばかり目が行きがちです。すると、会社の方向性や利益についての検討・考慮するだけの情報が不足し、木を見て森を見ずの状態になってしまいがちです。
例えば、「広告の反応がない」という悩みがあるからといって、広告の反応率を上げるノウハウを取り入れたところで、そもそも建てている住宅に魅力がなければ、売れないでしょう。
森を見るには失敗を糧にしていく
森を見るには、「会社のビジョン・戦略の策定」をすることがいいのですが、それ以外だと、失敗に目を向けてみるのも良い方法です。
小規模の工務店の経営にとって、他社の成功事例が役立つことはほとんどありません。参考にはなっても、全く同じことをして上手くいく確率はかなり低いです。
ですが反対に、経営資源が乏しい小規模の工務店にとって、失敗事例は非常に役に立ちます。なぜなら、木造建築工事業の6割が赤字会社なわけですから、失敗している例の方が多いわけです。だからこそ、その失敗例を糧にできる経営力は必要でしょう。
失敗を糧にできる経営者の姿勢は、安定した経営の土台になると言われています。
また、どんな人であろうと、人は必ず失敗をしてしまいます。何も行動していなくても、周りの環境は動いているわけですから、失敗は必ずやってきます。そして、それらの失敗には、必ず原因となってる部分が存在します。
その原因が小さければ、会社経営に与えるダメージは小さく済みます。ですが、その原因がそのまま放置されれば、会社経営に大きなダメージを与えるリスクにも繋がってきます。
つまり、事前に小さな原因を防ぐすることさえできていれば、会社経営に大ダメージが生じることは少なくなるということです。
この辺は、昔から「ハインリッヒの法則」という、失敗の確率現象でも説明されてきています。「1:29:300の法則」とも言われており、この法則はビジネスの失敗発生率としても活用されています。
例えば、
- 1件の大失敗。
- その裏には、29件のクレームや苦情がある。
- さらにその裏には、300件の従業員が犯す小さな失敗や、クレームにはならない程度の潜在的失敗がある。
という構成です。(この法則を元にするなら、「300件の小さな成功から・・・」という逆の話もありそうですけどね。)
この意識は、大きな失敗をかわす安定経営を支える仕組みでもあるわけです。
成功例を共有するよりも、失敗例を共有できる方が、小規模の会社には役立ちます。経営における失敗と向き合っている方、向き合える方はどの程度いるのでしょうか?失敗を糧にできる力は、間違いなく経営者には必要な力ですよ。