雑貨店は工務店より赤字になりやすい!?

2014年頃からだったと思いますが、雑貨店を始める工務店がチラホラ出てきました。それから、、、止めて撤退した工務店もいれば、まだ継続してらっしゃる工務店もいます。

そもそも、雑貨販売の目的は、提案している住宅のイメージ(世界観)の雑貨を取り揃え、住宅を検討する前の段階での顧客の囲い込みをしたいからだと思います。間違っても、提案している住宅の雰囲気と異なる雑貨販売はしていないことでしょう。(してたら続いていないはずです。)

ただ、いきなり雑貨店を始めても、工務店しかやったことがないと、なかなか上手くいきません。

仕入れ予算、取引条件、在庫管理、店番、入出金など、一つの事業としてやることは多々あります。しかも、小さく始めるならこれを一人でこなすようになるでしょう。

そして、店舗として構えるなら、店の雰囲気も整えなければならないため、費用も掛かります。そして、雑貨の見栄えを気にすると、それなりに数を仕入れないといけないため、そこにも費用は掛かります。

何より、一つ売れたところで、粗利額も小さいので、本気で雑貨店として運営しない限り、店単体では採算が取れません・・・

黒字企業の決算書の平均値から考察してみると・・・

インテリア雑貨に適した業種名がどれなのか微妙なのですが、近いものである「洋品雑貨・小間物小売業」と「家具小売業」の数字を見てみると・・・

業種名 木造建築工事業
(平成30年4月決算~平成30年6月決算)
木造建築工事業
(平成30年7月決算~平成30年9月決算)

洋品雑貨・
小間物小売業
家具
小売業
 
黒字企業件数 396 379 57 28 (件) 
黒字企業割合 41.4 41.9 32.4 32.9 (%)
平均売上高 300,043 281,818 207,117 276,037 (千円)
対前年売上高比率 106.0 104.7 102.2 110.2 (%)
限界利益率 28.6 29.0 43.8 39.9 (%)
固定費 人件費 41,665 40,806 37,555 42,877 (千円)
労働分配率(%) 48.6 50.0 41.4 38.9 (%)
その他の固定費(千円) 30,935 31,281 45,331 57,047 (千円)
経常利益(千円) 13,092 9,567 7,857 10,331 (千円)
売上高経常利益率(%) 4.4 3.4 3.8 3.7 (%)
損益分岐点比率(%) 84.7 88.3 91.3 90.6 (%)
生産性
(年/人)
1人当り売上高(千円) 37,677 35,793 18,749 24,172 (千円)
1人当り限界利益(千円) 10,781 10,360 8,213 9,659 (千円)
1人当り人件費(千円) 5,232 5,182 3,399 3,754 (千円)
平均従事員数 8.0 7.9 11.0 11.4 (人)

要約版・速報版 | TKC経営指標(BAST)

上記は、黒字企業の平均値です。

木造建築工事業(平成30年7月決算~平成30年9月決算)に更新されていたため追加しています。

65%以上が赤字で、木造建築工事業より赤字への耐性が低い

まず、黒字企業の割合が、「洋品雑貨・小間物小売業」「家具小売業」ともに、40%を切っています。この数値は、木造建築工事業より低い数値です。65%以上のお店が赤字なわけですから、下手に手を出すと痛い目を見るというわけです。

その他気になる点だと、労働分配率が40%前後と低いです。一人当たりの人件費が低いため、アルバイトを採用しているのでしょう。小売業界の平均労働分配率は30~40%とのこと。

また、損益分岐点比率が90%を超えています。ということは、粗利益に対して経費の割合が多く掛かっていることになります。一人当たりの人件費は低いですが、大人数必要だったり、在庫等の固定費も掛かっていることから、損益分岐点比率が高くなるのでしょう。

その数字から、赤字への耐性を示す経営安全率を計算すると、

  • 洋品雑貨・小間物小売業の場合
    (7,857:経常利益)/(207,117✕43.8%:粗利益)×100=約8.66%
  • 家具小売業の場合
    (10,331:経常利益)/(276,037✕39.9%:粗利益)×100=約9.38%

と、最低限レベルの数字になります。

経営安全率 会社の状態
50%以上 理想的
31%〜49% 優良/優秀
16%〜30% 標準(目標域)
6%〜15% 最低限のレベル
5%以下 危険水域
0%以下 赤字企業

木造建築工事業は11.7~15.3%ですから、赤字への耐性は、木造建築工事業よりは低いということになります。

マーケティング視点でみれば良さそうなものも、経営的視点でみると答えは違う

冒頭でも書いたように、雑貨販売の目的は、提案している住宅のイメージ(世界観)の雑貨を取り揃え、住宅を検討する前の段階での顧客の囲い込みをしたいからだと思います。

マーケティング視点から言えば、前段階の顧客を囲い込み、そこからステップアップしていくというのは、よくある手法です。

ですが、数字から割り出すと、雑貨販売で黒字を目指そうと思うと、木造建築工事業より難しい商売ということなりますね。

雑貨店を、広告宣伝費として割り切るならいいでしょうが、収益の柱として考えているなら、考え直した方がいいですよ。

 

 

工務店経営者向けのメールマガジンをお届けしています。

下記フォームよりご登録頂いたメールアドレスに、工務店経営者向けの不定期メールマガジン『イエコトバ』をお届けいたします。不要な場合、いつでも解除できます。




この記事が気に入ったらシェアいただけると嬉しいです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。