小さな工務店に必要な「やらないことを決める」スリム・シンプル・スロー

小さな工務店に必要なのは、いかにやらずに成果を出すかになります。これは工務店に限った話ではなく、ビジネスに共通した本質なんですよね。

例えば、投資がテーマのマンガでも、そのことについて触れられています。

目次

インベスターZとは?

『インベスターZ』は、三田紀房による日本の漫画。『モーニング』(講談社)にて2013年28号から2017年29号まで連載。投資をテーマにした作品で、実在の人物や、『エンゼルバンク-ドラゴン桜外伝-』や『マネーの拳』の登場人物も登場する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%99%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BCZ

投資がテーマのマンガですが、投資そのものだけでなく、投資の対象となる会社やビジネスについても触れているので、経営者目線で見ると学べること多いんですよね。また、住宅目線だと、生命保険や住宅ローンのことにも触れた話も出てくるので、住宅関係者は観ておいてもいいと思います。(住宅ローンの話は、住宅関係者にとっては受け止めたくない内容ですが・・・)

2013/9/20 三田 紀房 (著)
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ドラマ版もありますが、現在、プライムビデオだと観れない状態になってます。

小さな工務店を永続する商売の秘訣「スリム・シンプル・スロー」

本作の11巻では、個人経営の喫茶店に関するエピソードがあります。

個人喫茶店の店主が、

  • スリム
  • シンプル
  • スロー

それで経営していくことを説いているのですが、これが小さな工務店の経営者には、役立つ内容です。

このスリム、シンプル、スローは、工務店に限らず、どの業種においても、小さな会社が安定した経営をしていく上で、守るべき秘訣だと感じています。

スリムとは、コストを押さえること

スリムとは、コストを押さえることです。例えば、人件費や家賃などの固定費、在庫や原価などの変動費がそれに該当します。細かいこと言えば、広告費や経費なども挙げられます。

つまり、コストを押さえて利益率を高めるということです。必要な粗利益額を一定にした場合、掛かるコストを減らせば、販売価格もお得になり、お客さんも手が届きやすくなります。

コロナ禍のような、不測の事態で売上の減少が続く場合、一定のままの固定費は負担になりやすいです。棟数増やそうとして、人件費やモデルハウスなどの固定費が増したけど、思った以上に売上があげられなくて、固定費が重荷になり、倒産してく工務店は結構いましたからね。

シンプルとは、扱う商品数を最小限とすること

シンプルとは、扱う商品数を最小限とすることです。例えば、大手住宅メーカーのように様々な商品ラインナップを設けるのではなくて、この「家づくり」という風に絞り込んでいくということです。コンセプトの数とも言えます。小さな工務店の場合は、1コンセプト(1商品)で充分ですから。

大手ハウスメーカーや棟数の多い住宅会社の場合は、多くの売上が必要ですから、あらゆるターゲットに対象にして、様々なコンセプト(住宅商品)を取り揃えるのが王道の戦略になります。ですが、小さな工務店が同じことをしてしまうと、掛けられるリソース(資金や人材)が限られているため、どれもが中途半端になり、苦しい戦いになります。

なので、小さな工務店は、ターゲットを絞って、そこに集中して勝負することが、最も効率が良い戦略になります。

スローとは、忙しくしないこと

スローとは、忙しくしないことです。例えば、こんな話があります。

以前、とある工務店の社長から、「売上を上げるために、無理して棟数を倍に増やしたことがあったけど、結局、手元に残る利益が、棟数を倍にする前とほとんど大差なかった。しかも、棟数が増え、全棟に目が届かなくなってしまったため、クレームが増えてそのフォローも増えてしまった。利益が同じぐらいで忙しさが増すなら、棟数を無理に増やす必要ないので、棟数を以前のように戻した」という話を聞いたことがあります。

リピートのあるビジネスなら、常連客を育てる「リピート戦略」が最適なのですが、だからこそ考え方を変えて、「顧客を、価値ある存在へ、どう導いていくか?」この辺りの意識や取り組みが求められてきますよ。

年配の方ほど、「忙しい=正しい」と思っている人が多いのですが、ビジネスにおいては必ずしもそうとは限りません。人の力に頼らざるを得ない工務店のビジネスモデルだと、忙しくなると、やっつけになる可能性は非常に高くなります。

もちろん、暇すぎて食べていけないのもダメですが、ここを上手くコントロールすることが経営ともいえます。

実は、小さな工務店ほど、自分や自社でやらなければならないことは多いのですが、「忙しくてできない」に陥っているケースが多いんですよね。自分でやらないから、外注の目利きも養えなくて、変なところに頼んで失敗するパターンもあります。だから、経営者として時間をいかにつくるかは大事なのです。

まとめると「やらないことを決める」

  • スリム=コストを押さえること
  • シンプル=扱う商品数を最小限とすること
  • スロー=忙しくしないこと

これらをまとめると、『やらないことを決める』に繋がります。二兎を追わない、二足のわらじを履かない、窓口をできるだけ小さくして、長い時間を掛けるなど、色々例えられますが、結局は「いかにやらないか」ってことです。

その他にも「利益」の話が面白い

その他にも、「消耗戦を避けること」「一度スマホに聞いてみる」などもありますが、面白いのが、利益の話。

「一杯600円のブレンドコーヒーの原価は?」という問いに対し、その答えは、「原価20円がいいところ」なんて、会話があります。

小さな工務店に必要な「やらないことを決める」スリム・シンプル・スロー

たしかに、600円のブレンドコーヒーは、他と比べたら、高いです。コンビニやファーストフードだと売価100円ほどですし、スタバでもShortで280円です。

細かい話は割愛しますが、コーヒーに限らず、個人店など小さなお店が残るためには、「利益額(率)は高くする」ということです。とある重鎮経営者は、「値決めは経営」っておっしゃってましたけど、やはり大事なことですね。

でもなぜか、住宅業界では、小規模な工務店ほど、掛かった経費が少ないから、利益も少なくていいという考えからか、利益率を下げようとするところが多いです。利益率を下げても利益額が上げられているなら問題ないですが、多くの利益を得てはいけないというマインドから来ているなら、「対価とは何か?」をちょっと考え直した方がいいかもしれませんね。

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