経営効率の良い工務店になるには?

工務店の本来の収益力を判断する指標の一つとして、経営安全率について書きました。不況になったとしても「利益を出せる力」ですね。

不況になっても利益を出せる力のある工務店とは?

2019年1月8日

今回は、工務店の本来の収益力を判断する指標の一つとして、「売上高経常利益率」について取り上げていきます。

売上高経常利益率とは、企業の売上高に対して、経常利益が占める割合(比率)を示す財務指標。

これは、借入や増資や社債の発行などといった財務活動なども含めた工務店(企業)の事業活動全体における利益率を表すものです。財務面も含めた総合的な収益性ですので、この比率が高いほど収益性が高い(良い)工務店と言えます。どれだけ効率のよい経営を行っているかってことですね。

  • 売上高経常利益率(%)=(経常利益/売上高)✕100

木造建築工事業の売上高経常利益率の黒字企業平均は、3.4%

TKC経営指標を見ると、木造建築工事業の黒字企業の平均値は、3.4%です。

木造建築工事業(工務店)の黒字企業の経営指標(平成30年7月決算~平成30年9月決算)

2019年1月18日

木造建築工事業の場合、1棟当たりの金額が大きいため、売上高が大きくなります。そのため、経常利益が出て黒字だと思っていても、売上高経常利益率を算出してみると、1%台や1%を下回ってるケースもあります。

業界平均と比較して、自社の過去の実績と比較してみる

売上高経常利益率も他の指標と同様、業界平均と比較をしてみましょう。

売上高経常利益率が業界平均よりも高ければ、他社にはない強みがあり、正しい方向に進んでいると判断できます。逆に、売上高経常利益率が低く、かなり差がある場合は、何かしらの問題を抱えている可能性があります。

低いときは、自社の過去の実績と比較してみましょう。過去と比較して、売上高経常利益率が増えてきているのか、減ってきているのかで、経営状況がわかります。

過去3年のデータで見て、少しずつ改善してきているなら評価できますし、反対に、徐々に下降してきているなら、収益性は今後も悪化する可能性があります。

わかりやすく売上も経常利益も売上高経常利益率も上がっていれば、成長しているかどうか判断もしやすいですが、例えば、

ケース1.売上は上がっているけど、利益は下がっている場合、

  • 昨年:売上2億9825万円で経常利益が355万円の場合、売上高経常利益率は約1.2%
  • 今年:売上3億2787万円で経常利益が67万円の場合、売上高経常利益率は約0.2%

原価や経費が余計に掛かっていたり、値引きなどで粗利益率が下がったことが表れています。仮に、このまま棟数が増えたとしても、経営効率が悪いため、未来への投資も難しくなります。

ケース2.売上は下がっているけど、利益は上がっている場合、

  • 昨年:売上3億2787万円で経常利益が67万円の場合、売上高経常利益率は約0.2%
  • 今年:売上2億9825万円で経常利益が355万円の場合、売上高経常利益率は約1.2%

原価や経費を抑えることや、粗利益率が上がったことが表れています。得た利益を未来へ投資しやすくなります。(粉飾決算をするとこのケースになりやすいことも。)

ケース3.売上も利益も上がっているけど、売上高経常利益率が下がっている場合、

  • 昨年:売上2億3710万円で経常利益が526万円の場合、売上高経常利益率は約2.2%
  • 今年:売上4億2333万円で経常利益が685万円の場合、売上高経常利益率は約1.6%

一見良さそうに見えますが、ケース1の状態で棟数が増えるとこのような状態になりやすいです。年間棟数が保てればいいですが、効率が悪いため、棟数が減ってきた途端、利益額が残らない状態に陥ってしまいます。

ケース4.売上も利益も下がっているけど、売上高経常利益率が上がっている場合、

  • 今年:売上4億2333万円で経常利益が685万円の場合、売上高経常利益率は約1.6%
  • 昨年:売上2億3710万円で経常利益が526万円の場合、売上高経常利益率は約2.2%

一見悪そうに見えますが、経営効率は良くなっています。利益が出ている内に、未来へ投資をし、次なる一手を打つ必要があります。

売上高経常利益率を改善するには?

売上高経常利益率を改善するための大枠はとてもシンプルです。

まずは、売上原価を引き下げるたり、粗利益率を高めたりして、売上高総利益率を改善することです。工務店の場合、提案する住宅の改善に当たります。

そして、営業内費用に当たる、宣伝や販促物などの営業費用や諸経費を抑えて、売上高営業利益率を改善していきます。

最後に、営業外費用に当たる、借入金の利息などを抑えたり、資金運用しているなら効率化を図ることで、営業外収益を増やすことで改善していきます。

上手くいっていないところほど、目先の利益を追いかけ、「集客」ばかりに目が行きがちです。ですが、経営効率を高めることに目を向けたら、実は「商品戦略」が始まりということになるのです。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。