ダメな工務店経営手腕と、ダメな工務店社長

一応、10年以上住宅業界にいて、恵まれた環境下で働いていた会社員時代から今まで、工務店経営者と接する機会も多かったです。

個人的な感覚ではありますが、

  • 手腕としてダメな部分
  • 人としてダメな部分

など、ダメな経営者には共通している部分があります。それぞれ取り上げていきます。

経営ができていないパターン

いくら資本があっても、経営できなければ、赤字に陥るのは目に見えています。こういうことができていないとヤバいというパターンを取り上げてみました。

社長が決算書が読めていない。

決算書が読めなければ、なぜ赤字なのか?会社がどれだけ利益を上げているのか?など、会社の状態をきちんと知りうることもできなくなってしまいます。そんな状態で経営なんてできないでしょう。

毎月の損益を把握していない。

「毎月の損益」とは、毎月会社がどれだけ利益を得たか、赤字を出したかを指します。毎月の損益を把握していないということは、お金の動きを把握していないということでもあります。仕訳を怠り、その部分を把握していない状態で、経営なんてできないでしょう。

資金繰り管理を行っていない。

住宅事業は、入ってくるお金も多ければ、出ていくお金も多いです。また、支払いは1ヶ月サイトでも、入金は、着工・中間・最終と分割されていたりします。地域によっては、最終で一括という工務店にとっては厳しい地域もあるようです。

一時的に増えた現金は、運転資金以外には使わないこととされていますが、資金繰りを管理していないと、現金が多いときにムダに現金を流出させてしまい、現金が不足する直前になって慌ててしまうなんてことも。

経営計画を立てていない。

経営計画とは、これから先、どのように売上や利益を上げていくかを数字で表し、どうやってその数字を上げるために、行動していくのかを計画するものです。

経営計画を立てていないと、いくら売上(棟数)を上げるかの計画がないため、社員は自己判断による行動になります。経費でも同じことが言えます。経費の計画がなく、使い方がゆるめば、赤字になりやすいです。

計画は、過去の積み重ねが影響してきますので、結局、決算書などの会社の数字が読めないと、計画は立てられないということになります。

銀行と上手く付き合っていない。

「自己資本比率が高い会社=良い会社。だから、借金をしてはいけない。」という、無借金経営を良いとされていることが多いですが、無借金にこだわってしまうと、経営者の意思で自由に動かせるキャッシュが増えません。

また、運転資金が足りないからといって、税金や保険料を滞納してしまうと、融資を受けたい時に受けられなくなってしまう可能性も高くなります。給与に手を出せば、社員の信用を失います。

また、買掛金の未払いも増えてくれば、取引先の信用も失います。そうならないためにも、銀行から融資を調達し、「借入金を減らしながら、手元に残るお金を増やしていく」ことです。

小規模工務店の経営者も必要最低限の経営指標でヒト・モノ・カネの動きを把握しよう!

2018年11月11日

事業が傾いた時に露呈するダメ社長のパターン

上記の前項では手腕部分でしたが、ここでは経営者としてのあり方として、人に焦点を当てたダメっぷりを挙げていきます。上手く言っている時は見えてこなくても、事業がいざ傾き始めると、そのダメっぷりが露呈してくるものです。

過去の良かった時期をベースに考えてしまう。

ダメ経営者の場合、業績悪くなったとしても、良かった時のイメージから抜け出せず、現状に対して目をそらしてしまい、柔軟に対応しません。個人レベルで言えば、生活レベルも羽振りの良い時期から変えないパターンです。

社長自身が働かない、そして働けなくなる。

事業が上手くいき、社長が出なくて社員だけの売上で成り立っていくと、社長の時間が空きます。すると、ダメ社長の場合、仕事もせずに悪い遊びにハマります。例えば、愛人つくったりとか。若い時モテなかった人は、遊び方を知らないので要注意です。

そんな状態が社員の目にうつれば、有能な社員は転職や独立したりして、去っていきます。去った分、新たに優秀な人が入ってくればいいですが、そういう奇跡はまず起きません。そんな状態で傾いてしまえば、さすがのダメ社長でも危機を感じるでしょう。ですが、自らが現場に戻ったところで、感性や感覚はすでに錆びついているため、思うように上手くいきません。

不要な社員を解雇できないのに人を増やしたがる。

工務店を継続するためには、時にはリストラしなければならない時もあります。経営者の中には、「絶対に解雇はしない」という考えの人もいますが、ダメ社長は、前線で働きたくないんですよね。

だから、人がいないと困るのです。面倒なことを押し付けて、自分が楽をしたいがために人を雇うのです。しかも、「人を雇えば売上が増える」という考えから、営業マンを雇いたがります。

傾いた時に人を雇えば、ムダな固定費が増え、さらに経営を圧迫していくのに・・・

赤字経営で売上拡大はダメ!?工務店の赤字経営を黒字化する最初の一歩とは?

2018年11月5日

情報収集をしない。または、しても都合のいいものしか取り入れなくなる。

感覚で経営をやっている人に多いかもしれません。自分のやり方に変に自信を持っていると、プライドも高く、周りのアドバイスなどには耳を貸さなくなってしまいます。上手くいっている時ならそれでもいいですが、上手くいっていないなら、一回自分を疑わないと・・・

現実逃避したり、「敵」となる像をつくる。

酒やギャンブルなどに手を出し始める現実逃避だとわかりやすいですが、経費で高級料理店に行く人もいます。また、一攫千金を狙い、急に株式投資をし始める人もいます。投資は資金に余裕がある時にするものです。

そして、傾いた現状を誰かのせいにしたくて、「敵」となる像をつくります。社内の反乱者だったり、競合だったり・・・現実は、誰かのせいではなく、全部社長のせいです。

信用の優先度を間違えている。

資金繰りが厳しい時、金融機関や公的機関を優先し、給与や取引先の支払いを遅延する社長がいます。社員の給与や取引先への支払いを遅延すれば、信用を失うにもかかわらず、金融機関への返済や、税金や保険料の支払いを優先したりするのです。

信用を得る優先度を間違えています。「資金繰り=借り入れ」だと勘違いしているのかもしれません。これでは自転車操業になるだけで、金融機関も、売上が減り社員も減るような工務店には、融資しにくいのでは?

支払先に支払いが遅延することを連絡をしない。居留守を使い、督促に対応しない。

支払先に支払いが遅延することを、先に連絡しません。相手から連絡があってから対処します。しかも、「あれっ?」ととぼけて。その他には、「15時過ぎてから振り込んだ」「口座が停止して明日にならないと・・・」とか、しょうもない嘘を付きます。

さらに督促されると、居留守を使い逃げ回ります。その時その時に対応することが大事なのに、そのことが状況を悪化させていることに気付いていないのです。

社長の行方がわからない。

事業が傾き始めると、社員の給与を遅延、銀行や取引先からの督促など、社長にとっては都合の悪いことがたくさん起きます。そんな状況から逃げるため、社長は行方をくらまします。その行方は、社員もわからなくなります。

借りたものを返さない。平気で嘘をつく。

人として終わってますので、事業者の価値なしでしょう。

おまけ:危機に直面した時のその場しのぎの資金繰り

資金危機に直面してほしくないですが、予想もしていない突発的な危機に直面することもあるでしょう。一時的にその場を凌ぐための方法も挙げておきます。感覚値ですが、公にバレない順です。(改善ではなく、あくまでも、その場しのぎです。)

クレジットカード

クレジットカードの支払いは、月末締めの翌月末払いが多いです。なので、2ヶ月~1ヶ月後の支払いになります。できるかぎりカード払いに切り替えることで、支払いを遅らせることができます。ロンダリングは、クレジットカード会社の規約違反になるので、間違ってもしないように。

社長や役員から借入れる

社長はもちろんのこと、役員も経営共同者であるわけですから、身銭を切る覚悟は必要でしょう。

ただし、役人に対して普段からある程度の報酬を与えていなかったり、役員の「経営」に対する意識が低かったりすると、断られる可能性大。

公租公課支払いの一時停止(保険料や税金)

保険料や税金などの支払いを一時的にストップして、まずは、社員の給与など工務店運営していく上で必要最低限なことにお金を回します。オススメはしませんが、分割払いの相談には乗ってくれやすいです。

取引先へ遅延連絡し、支払い条件を変更する

前もって余裕ある支払い遅延連絡を行い、待ってもらうことです。または、分割払いを持ちかけることでしょう。遅延連絡もせず払いを無視する工務店もいますが、それだと確実に信用を失います。全ての支払いを一時停止して、督促に耐えるにしても、事前連絡の一つで違ってきます。

社員の給与

ここに手を付けるのは、最終手段でしょう。間違いなくモチベーションは下がり、ネットに悪評が沸きます。そしてその後、事業が回復したとしても、一度失った信用は取り戻せません・・・

 

 

追伸:工務店経営者の方にお知らせです。

参加した工務店経営者の声
今ではたくさんのコンサル会社がいろいろなセミナーをやっている時代、どれを聞いても同じようなセミナーで、言っていることはだいたい同じ、特に共感できるところもなく金儲けでセミナーをやっているとしか思えないようなセミナーばかりでした。そしてある程度規模の大きい工務店、地場ビルダーを対象にしたセミナーが多いことでした。でも以前より何回か井内さん、出口さんのセミナーを受けていますが、とても分かりやすく中小工務店(年間棟数20棟程度まで)を対象にした問題点を取り上げてくれています。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。