(勝手な考察)住宅性能はどこを目安にすればいいか?

工務店や設計事務所でもないので、細かい技術的なことは勉強不足ですが、「日本の住宅が寒い」という話は、住宅業界に関わり始めた頃から、いまだに出てくる話題。

住宅性能表示制度、長期優良住宅、ZEH住宅といった、政策はものの見事に普及しません(笑)また、「省エネ基準適合義務化」も小規模住宅は対象外になっているようで、実質延期の流れで進んでいるようです。

まぁ、こんな流れに振り回されない方がいいですよ。

ZEH住宅なんて、創エネの選択肢が少なすぎて、結局、太陽光発電を選ばざるをえない感じになってますよね。(その他だと、エネファーム、エコウィル)

太陽光は、お金を掛ける割には色々とリスクが多いので、使いたくない工務店や住宅会社は結構多いです。

性能の最低基準を考察してみる

上記のことを踏まえて、今の時代、どのくらいの性能を最低基準と考えておけばいいのか、

  • 耐震
  • 断熱
  • 気密

に焦点を当てて取り上げていきます。(この記事は一般向けではないので細かいことは割愛します。)

耐震性能

熊本地震で「2000年基準」も3~4割大被害とされていますが、2000年に建築基準法改正してから、地震による家の倒壊確率は低くなっています。(逆に高くなってたらヤバい。)

予算に余裕あれば、耐震等級2とか3とか、免震や制震装置まで取り入れればいいと思いますが、限られた予算の中で下記に述べる断熱や窓などへのコストを考えると、耐震に無理にお金を掛けるよりも、柱や壁の直下率など、建築基準法上では数値評価されない耐震性を、設計の中に取り入れる方が良いと思います。

そう考えると、最低基準は耐震等級1でいいのではないでしょうか。

耐震性能って、地震が来ない限り、満足感を得られないんですよね・・・

断熱性能:Ua値

昔は住宅の断熱性能をQ値で判断してたのが、省エネルギー基準が改正された後は、Ua値で判断してますよね。

Ua値とは「外皮平均熱貫流率」のことで、「どれくらい熱量が家の外に逃げやすいのか」を表す数値。低いと断熱性能が高い。

ZEH基準や省エネ基準だと、

地域区分
ZEH基準 0.4 0.4 0.5 0.6 0.6
省エネ基準 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87

という数値ですから、Ua値0.4~0.8が一つの基準になりますね。

気密:C値

いくら断熱性能を高めたところで、隙間だらけのの家では、断熱効果は低いわけです。気密性を高めることで、断熱効果を高めるだけでなく、施工の正確性にも繋がることなので、雨漏りのリスクを減ります。

C値とは「どれくらい家にすき間があるのか」を示した数値。低いと気密性が高い。

C値に関しては、今は基準となるデータがないんですよね。「大手ハウスメーカーのC値が高く、工務店に負けるから、ZEHや省エネ基準から外した」みたいな陰謀論まで飛び交う始末です。

また、住宅業界には技術ヲタがたくさんいるので、やたら低い数字にこだわる人達もいます。そういう人たちの意見を探っていくと、

  • カナダの省エネ住宅の基準である R-2000 住宅は1.0
  • 隙間風による熱損失の影響がないのは0.7 以下
  • 夏に除湿し冬に加湿するなど、湿度を管理するためには最低でも 0.9
  • 隙間は、乾燥収縮などの経年変化や地震の揺れで悪化するため、できれば 0.5
  • ドイツの省エネルギー住宅であるパッシブハウスの基準は0.2

という感じです。

ただ、C値の値が0.5以下だと、換気も第1種換気が基準のようです。

その辺りを踏まえ、換気の方式にかかわらず、断熱性のメリットを生かす基準を見定めるなら、C値1.0~0.7辺りが最低基準になるのではないでしょうか。ただし、C値は建てた後の測定になるため、数値を保証することが難しいです。

「日本の家が寒いのは全部窓のせいだ」と勝手に言ってます(笑)それぐらい窓って、寒い家の原因になっている気がします。

ひとえに「窓」と言っても、

  • サッシ
  • スペーサー(複層ガラスの中空層下部にある部材)
  • ガラス

で構成されていますので、分解して考えてみます。

◆サッシ

断熱性能順に並べると、

アルミサッシ < アルミ樹脂複合サッシ < オール樹脂サッシ

であり「アルミは熱を通しやすい材質で断熱に不向き」ということを踏まえると、サッシは、樹脂一択なのではないでしょうか?

樹脂の場合、劣化を気にする人もいますが、アルミも劣化しますからね。結露を繰り返した古いアルミサッシには、カビや歪み、サビなどが発生してますよ。

◆スペーサー

サッシに加え、結露の原因になるのがスペーサーと言われていますから、スペーサーも、アルミより樹脂の方が望ましいことは言うまでもないでしょう。

◆ガラス

ガラスの性能が高い順(&価格が高い順)に並べると、

  • LOW-eトリプル(三層)
  • LOW-eペア(複層)
  • ペア(複層)
  • シングル(単板)

となります。今の時代に、シングルやペアを使うことはないと思いますが、コストバランスを考えると、LOW-eペアで、その中空層を何にするかになってくるのかなと。

中空層の性能が高い順(&価格が高い順)に並べると、

  • Low-eペア(真空)
  • Low-eペア(クリプトンガス)
  • Low-eペア(アルゴンガス)
  • Low-eペア(空気)

となります。コストバランスを考えたら、Low-eペア(アルゴンガス)でしょうか。

まとめ

性能を保ちつつ、最低限の基準を定めるなら、

  • 耐震:耐震等級1
  • 断熱:Ua値0.4~0.8
  • 気密:C値0.7~1.0
  • 窓:オール樹脂Low-eペア(アルゴンガス)

といったところではないでしょうか。(勝手な考察です。)

ただし、数字だけで豊かな住まいが得られるわけではないことも事実です。そして、数年も経てば、さらにより高い基準が求められていくことでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。