工務店も事業性が評価される時代になる!

金融庁の検査官が、金融機関の検査を行う際に用いるマニュアル「金融検査マニュアル」というのがあるのですが、これが2018年度終了後をめどに廃止されています。

つまり、検査マニュアルが無くなり査定がなくなったことで、各機関の経営判断を尊重して改善を促すという、金融機関の経営が自由になったということなのです。

日本経済新聞の「令和元年、銀行は前向くか 検査マニュアル廃止の意味」を読む限りだと、銀行経営にも、

  • どんな哲学(ビジョンや使命)で経営をするのか?
  • 将来の予測と展望に基づいて取引しているか?
  • 現場に軸足を置く経営の仕組みをつくれるか?

といった点が求められることを挙げられています。とはいえ、保守的な業界ですから、ゼロから改革をすることなんてまずないでしょう(笑)

ただ、こういった変化は、借入をする中小企業にも影響があるわけです。色々な専門家の記事を読むと、銀行が融資する時の判断基準が、

  • 過去の実績で融資に関する判断 → 事業性を評価し判断

へと変わっていくことを書かれています。

事業性を評価し判断する「事業性評価」

事業性評価とは、財務データや担保・保証だけに依存することなく、融資先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価することを指します。

つまり、どれだけの収入を得て、どれだけの収益を確保できるのかを、事業全体から捉え、将来的にどのように成長するのか見極めることでもあります。

これまでは決算書などの数値や担保・保証だけで、企業の評価が決まることが多かったのが、数値で表わすことができないものも評価基準となっています。

評価項目は金融機関によって多少異なるでしょうが、以下のものが挙げられています。

事業性評価の項目

  1. 会社概要
  2. 組織図
  3. ビジネスモデル(商流)(収益の源泉)(部門別採算)
  4. 内部管理モデル(業務フロー)(収益等管理状況)
  5. 市場と競合環境(価格競争力)(差別化)(独自性)
  6. 財務・資金繰り・借入の状況
  7. 設備投資計画
  8. 強みの把握
  9. 経営者
  10. 経営課題と経営方針
  11. 経営計画の概要

項目に「経営者」とあるのは「どんな人?」という評価のようです。出身校や趣味など一見融資には関係ないように思えますが、「どんな人が」「どんな企業を」「どのような思いで」経営しているのかという点も評価の対象になっているということでしょう。

ストック評価からキャッシュフロー評価へ=儲かる経営体質が必要

また、どれだけの収入を得て、どれだけの収益を確保できるのかを、事業全体から捉え、将来的にどのように成長するのかが評価対象なわけですから、今後得られるであろう最終損益の見込額を前提に企業価値を評価していくことと思われます。

つまり、「決算書などの数値や担保・保証=ストック評価」から、「事業の収益性や将来性、成長性=キャッシュフロー評価」に変化していくということです。

事業実態が明確な企業には、積極的に融資やサービスを提供する、という基準を設けることでもありますので、財務基盤が弱い中小企業にとってはチャンスです。

ということならば、より「健全な経営体質」にする必要があるということです。

事業性評価が重要視されるということは、事業活動の本質を見極められますので、事業としてのビジョンや、具体的な活動指針が求められます。

さらには、

  • 資金調達
  • 仕入・生産活動
  • 商品
  • 販売活動
  • 資金回収
  • 返済原資

といった事業サイクルから、将来予測に基づく3~5年後の返済原資の見極めも影響してくるでしょう。

事業性を評価する動きは他でも起きている

以前、経済産業省も行政書士会も推奨している「知的資産経営」を取り上げましたが、上記の「事業性評価」とも似たような内容です。

小規模工務店に推奨する新しい経営スタイル「知的資産経営」とは?

2019年2月20日

その他、経済産業省では、「ローカルベンチマーク」という、企業の経営状態の把握する手段として、非財務情報を可視化する評価方法もあります。

そのローカルベンチマークの項目には、「財務情報」として6つの指標と「非財務情報」として4つの視点があります。

ローカルベンチマークの項目

6つの指標

  1. 売上高増加率(売上持続性)
  2. 営業利益率(収益性)
  3. 労働生産性(生産性)
  4. EBITDA有利子負債倍率(健全性)
  5. 営業運転資本回転期間(効率性)
  6. 自己資本比率(安全性)

4つの視点

  1. 経営者への着目
  2. 関係者への着目
  3. 事業への着目
  4. 内部管理体制への着目

より「健全な経営体質」にする必要がある!

「事業性が評価される」ということは、「良い家をつくってるから良し」ではなくて、事業として成り立つことを求められているということです。

つまり、より「健全な経営体質」にする必要があるということです。

そのためには、非財務情報も充実させていかないといけないわけですから、集客やマーケティングばかりに目を向けてないで、もっと「社長業」、つまり「BSの仕事」をしていきましょう。

工務店の仕事にPLとBSの視点を取り入れよう!

2019年3月26日

 

 

追伸:工務店経営者の方にお知らせです。

【12月11日開催】経営のシンプルな法則を知るだけで業績が良くなる!

参加した工務店経営者の声
今ではたくさんのコンサル会社がいろいろなセミナーをやっている時代、どれを聞いても同じようなセミナーで、言っていることはだいたい同じ、特に共感できるところもなく金儲けでセミナーをやっているとしか思えないようなセミナーばかりでした。そしてある程度規模の大きい工務店、地場ビルダーを対象にしたセミナーが多いことでした。でも以前より何回か井内さん、出口さんのセミナーを受けていますが、とても分かりやすく中小工務店(年間棟数20棟程度まで)を対象にした問題点を取り上げてくれています。

この記事が気に入ったらシェアいただけると嬉しいです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。