国が推奨するのは、人と企業が共に成長する工務店!?

工務店含め、中小企業が「稼ぐ力」を身につけることは、国からも後押しされています。実際、平成28年9月に「中小企業等経営強化法」という法律が施行されています。

生産性を向上させるための計画(経営力向上計画)を策定した中小企業・小規模事業者に対しては、この中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定によって、国から税制面・金融面でメリットを得られることができます。

経営力向上計画の認定を受けるメリットとは?

  1. 中小企業経営強化税制(平成32年度末(2020年3月末)まで延長)
    用件をすべて満たす場合、経営力向上計画に基づいて新規取得した設備を用いて指定の事業を行うと、設備投資にかかった費用を即時償却、または取得価額の10%を税額控除することができる。
  2. 固定資産税の特例(平成31年3月末で終了)
    要件をすべて満たしている場合、経営力向上計画に基づいて新規取得した一定の設備について、固定資産税が3年間にわたり2分の1に減額

設備投資を検討している企業に対してのメリットが強いので、小規模の工務店にはそこまでの必要性を感じるものではないかもしれません。

しかも、「固定資産税の特例」は31年3月で終了し、「中小企業経営強化税制」は、平成32年度末(2020年3月末)まで延長されています。

税制上のメリット以外の方が、工務店にとってはありがたい

「終了するなら意味ないのでは?」と思いがちですが、税制上のメリット以外にも下記のようなメリットがあります。

  1. 金融支援
    日本政策金融公庫や商工中金による低利融資を受けることが可能。また民間の金融機関から融資を受けるときに信用保証協会を利用する場合に、通常とは別枠での追加保証や保証拡大を受けることが可能。
  2. 補助金審査時の加点
    「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」など、国が実施する補助金の申請において、計画認定を受けていると、優先的に採択を受けることができる。

こちらのメリットの方が、小規模の工務店にとってはありがたい内容です。こちらはまだ終了の話は出ていません。

経営力向上計画の申請とは?

申請するにあたっての必要な書類は

  • 申請書(2ページだけです。)
  • チェックシート(申請書に記入漏れがないかの確認用)

と、少ないです。

  1. 企業の概要
  2. 現状認識
  3. 経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
  4. 経営力向上の内容

などを記入することで、認定を受けることができます。

計画書の項目の中には、現状認識として、

  • 自社の事業概要
  • 自社の商品・サービスが対象とする顧客・市場の動向、競合の動向
  • 自社の経営状況

などの項目もあります。

提出先は事業や地域によっても異なりますが、関東の建設業だと「関東地方整備局」のようです。

経営向上を示す指標とは?

求められる取り組みを見ていくと、

経営力向上計画の「事業分野別指針及び基本方針」として、建設業分野で書かれていることで、「経営力向上の内容及び実施方法に関する事項」を抜粋すると、

  • 「教育訓練の充実」「複合工(多能工)の育成・活用」「従業員の処遇改善」といった、人に関する事項
  • 「原価管理の高度化」「社内業務の効率化」といった、財務管理に関する事項
  • 「年間受注計画の策定」「適正な利潤を確保した受注」といった、営業活動に関する事項
  • 「ICT施工の実施」「生産性向上に資する取組の導入」といった、新技術・工法の積極的導入
  • 「中長期的な人材の確保・育成」「人事評価体系整備や管理システム投資等」「女性や高齢者の活躍推進」「事業の円滑な承継に向けた取組」といった、中長期的な人材確保に向けた人への投資
  • 「社会・地域に向けたPR活動」「環境負荷軽減に配慮した事業の展開」「防災・減災等社会・地域の持続的発展に対する有償・無償の貢献」といった、建設企業のイメージ向上につながる取組

などが書かれています。

経営指標は、労働生産性

また、申請書の中で「経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標」の項目では、労働生産性に注目されています。

経営力向上計画を策定する場合は、下記のいずれかの指標を用いるとのこと。経営分析などで用いられる労働生産性の算出方法とはちょっと異なります。

  • 基本方針「労働生産性・基本」
    (営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量(労働者数又は労働者
    数×一人当たり年間就業時間)
  •  建設業(推奨)「労働生産性・推奨」
    (完成工事総利益+完成工事原価のうち労務費+完成工事原価のうち外
    注費)÷年間延人工数
  • 建設業(簡易)「労働生産性・簡易」
    (完成工事総利益+完成工事原価のうち労務費)÷直庸技能労働者数

そしてその数字が、計画期間に応じて、どのような目標値になるのかを問われます。

  • 3年間の計画の場合 1%以上
  • 4年間の計画の場合 1.5%以上
  • 5年間の計画の場合 2%以上

なので、現状が悪くても、経営計画による事業性の確かさアピールできればいいということでしょう。

人と企業が共に成長する「人材投資成長産業」を国は推奨。

建設業の労働者の高齢化は、他産業と比べより進行しているようです。人材獲得競争は、同業界の中だけ行われているのではなく、他の業界との競争もあります。

入職・定着を促すためには、安定した雇用、安定した収入、将来に夢と希望を持てるキャリアパスの提示、処遇・やりがい・将来性なども、他産業より魅力的な仕事の場を提供することも必要になってきます。

高齢者の大量離職を控え、生産年齢人口が減少することを前提にした中で、成長を果たしていくためには、「人への投資」と「経営のイノベーション」を両輪として、人と企業が共に成長する「人材投資成長産業」を目指すことを、国は推奨してきていますよ。

工務店も事業性が評価される時代になる!

2019年4月16日

 

 

追伸:工務店経営者の方にお知らせです。

参加した工務店経営者の声
今ではたくさんのコンサル会社がいろいろなセミナーをやっている時代、どれを聞いても同じようなセミナーで、言っていることはだいたい同じ、特に共感できるところもなく金儲けでセミナーをやっているとしか思えないようなセミナーばかりでした。そしてある程度規模の大きい工務店、地場ビルダーを対象にしたセミナーが多いことでした。でも以前より何回か井内さん、出口さんのセミナーを受けていますが、とても分かりやすく中小工務店(年間棟数20棟程度まで)を対象にした問題点を取り上げてくれています。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。