住宅完成保証制度が使えない工務店は本当にヤバいのか?

「住宅完成保証制度が使えない工務店はヤバい」みたいな話があります。

住宅完成保証制度は、ある一定の基準を超えていないと登録できないため、「住宅完成保証制度が使えない工務店はヤバい」みたいな話は、すでに経営状況の悪い工務店が、今から登録しようともできないというところから来ているのでしょう。

実際どんな基準なのか、ざっと挙げてみました。

例えば、住宅保証機構株式会社の審査基準をみると、登録を希望する制度参加種類別に以下の審査基準項目に基づき、一定の審査を行うと記載されています。

  1. 行為能力
  2. 法令に基づく処分歴等
  3. 工事履行に係る技術的能力
  4. 保証事故発生の可能性

その中で、財務部分に大きく関わるところ抜き出すと・・・

保証事故発生の可能性

1)第二種登録の場合

以下の(1)(2)を全て満たすこと。

(1)保証事故に該当する状況等の発生の有無

以下の要件を満たすこと。

  • a.現行年度を含む過去2年において当制度における保証事故にあたる状態、もしくは手形の不渡り・銀行取引停止処分等これに準ずる状態ではないこと。
(2)税金滞納、債務超過等の発生の有無

以下の要件を全て満たすこと。

  • a.過去1年において税金の滞納がないこと。
  • b.法人の場合、業者登録審査申請時の直近事業年度の貸借対照表において債務超過の状態にないこと。
  • c.個人経営の場合、業者登録審査申請時の直近事業年度の貸借対照表において負債合計が資産合計を超えていないこと。

2)第一種登録の場合

1)第二種登録の場合に加え以下の(1)もしくは(2)のいずれかを満たすこと。

(1)経営指標の状況等

以下のイ~ハを全て満たすこと。

  • イ.経営指標の状況
    以下の要件を満たすこと。

    • a.経営指標を総合判断し、経営状況の悪化を示していないこと。
  • ロ.過去の保証事故歴等
    以下の要件を全て満たすこと。

    • a.現在までに当制度での保証事故歴がないこと。
    • b.現在までに手形の不渡りを出したことが確認できないこと。
    • c.現在までに銀行取引停止処分を受けたことが確認できないこと。
    • d.現在までに一度も倒産歴がないこと。
  • ハ.保証事故が発生する可能性(過去の営業実績、第三者による評価等)
    以下の要件のいずれかを満たすこと。

    • a.外部機関の調査により機構の定める基準値以上であること。
    • b.現行年度を含む過去2年において、新築建設工事に関して履行ボンド、履行保証保険、銀行保証の実績が1件以上あること。
    • c.営業実績が20年以上であること。
    • d.性能保証登録業者及びまもりすまい保険届出事業者として登録期間が通産継続7年以上あること。
    • e.第二種登録の業者として継続3年以上の登録期間があり、その期間中に保証委託実績があること。
    • f.機構の設置する住宅完成保証制度運営委員会により、保証事故が発生する可能性についてa~eの要件のいずれかを満たす者と同等であると認められた者であること。(注参照)。
(2)保証人の確認

以下の要件を全て満たす保証人が前払金返還債務に係る損害を機構に対して保証していること。

  • a.法人であること。
  • b.外部機関の調査により機構の定める基準値以上であること。
  • c.過去1年において税金の滞納がないこと。
  • d.業者登録審査申請時の直近事業年度の貸借対照表において債務超過の状態にないこと。
  • e.業者登録審査申請時の直近事業年度の損益計算書において当該法人が保証する全業者の前払金保証限度額合計に相当する当期利益があること。
  • (注)上記fの規定に基づき運営委員会が同等と認める者については、次の(1)又は(2)とする。
    • (1)保証人(申請者が個人経営の場合は最も相続順位の高い行為能力のある法定相続人、法人の場合は代表者とする。)がいて、営業実績が10年以上であるか、性能保証登録業者及びまもりすまい保険届出事業者としての登録期間が通算かつ継続6年以上あること。
    • (2)住宅関連の保証事業において審査等に関し一定の経験を有し、加盟業者 の業務把握を適切に行っていると機構が認める団体から倒産の可能性が少ないとの推薦を受けた加盟業者で、営業実績が5年以上であるか、性能保証登録業者及 びまもりすまい保険届出事業者としての登録期間が通算かつ継続3年以上あること。

業者登録審査基準|住宅完成保証制度|住宅保証機構株式会社

いろいろと書かれており、保証のレベルにもよりますが、ざっとポイントを取り上げると、

  • 手形の不渡りを出したことない。
  • 銀行取引停止処分を受けたことない。
  • 一度も倒産歴がない。
  • 過去1年、税金の滞納がない。
  • 直近事業年度で、債務超過の状態でない。
  • 直近事業年度で、当該法人が保証する全業者の前払金保証限度額合計に相当する当期利益がある。

というところでしょうか。たしかに、これらの基準を見ると、審査に通らない会社は余裕がない状態と判断されやすいですね。

ただ、住宅完成保証制度も完璧なものではないですし、保証も色々な会社が行なっていて、それぞれ保証内容も審査基準も違いますし、審査基準すら公開されていないことが多いので、上記はあくまで一例にしかすぎません。

最低限のラインをどこに決めるかで、その基準も変わってくるでしょう。

たとえば、

  • ここ数年毎年当期利益は500万円の黒字だけど、過去の累積赤字が多すぎて、結果まだ債務超過状態のケース
  • 当期利益はここ数年毎年100万円の赤字だけど、利益剰余金がたくさんあるから債務超過にならないケース

どちらもすぐに倒産するような状態ではないでしょう。だけど、上記の審査内容では、両方ともアウトです。

両端に白と黒がある場合、真っ白であることには越したことはありませんが、世の中の大半はグレー、すなわちグラデーションの部分に属しているわけです。

そのグラデーションの部分は明確にした方が、買い手側はもちろん、売り手側にとっても有益になると思うんですけどね・・・その辺りも踏まえながら、経営勉強会を開催しています。

 

 

追伸:工務店経営者の方にお知らせです。

【12月11日開催】経営のシンプルな法則を知るだけで業績が良くなる!

参加した工務店経営者の声
今ではたくさんのコンサル会社がいろいろなセミナーをやっている時代、どれを聞いても同じようなセミナーで、言っていることはだいたい同じ、特に共感できるところもなく金儲けでセミナーをやっているとしか思えないようなセミナーばかりでした。そしてある程度規模の大きい工務店、地場ビルダーを対象にしたセミナーが多いことでした。でも以前より何回か井内さん、出口さんのセミナーを受けていますが、とても分かりやすく中小工務店(年間棟数20棟程度まで)を対象にした問題点を取り上げてくれています。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。