ほとんどの工務店が行なっていない決算公告の開示

株式会社は、「決算公告の開示」を義務付けられているのですが、中小を中心とした非上場企業で、これを守っている会社は、ほとんどありません。大会社以外の会社(会社法440条1項)の場合、貸借対照表の公告が義務付けられています。

ちなみに、大会社の場合は、貸借対照表及び損益計算書の双方の公告が義務付けられています。上場会社の場合、より詳細な「有価証券報告書」を提出が義務づけられています。また、会社法施行以前に決算公告義務がなかった特例有限会社(旧有限会社)は必要ないとのこと。

一応、決算公告を怠った場合の罰則は、100万円以下の科料処分(罰金、976条)となるのですが、適用された例は極めて少ないようです。

しかも、この決算告示というのが有料で、官報や日刊新聞紙などのアナログな公示方法だったり、電子公告だと、帝国データバンクなどの外部の公告サービスに掲載する方法があります。

自社ホームページで公開でもいいようなのですが、それだけでは、会社法で定める決算公告には該当しないとのこと。

例えば、中小企業が自社ホームページで公開する電子公告の場合、

  • 公開(掲載)しているURLを登記すること(登録免許税3万円)
  • 貸借対照表を要旨ではなく全文公開しなければならない
  • 5年間公告を掲載しなければならない

などの決まり事もあります。

経営者が決算を開示しない理由

ただ、決算を開示せずとも事業や取引は継続できるので、業務上に支障がありませんし、銀行も融資の際に気にするのは、決算公告の有無よりも内容ですからね。さらに、違法でも罰せられないわけですから、そりゃ開示しませんわな。

  • 決算公告という存在自体を知らない
  • 手持ちの現金がどのくらいか知られたくない
  • 負債や借金を知られたくない
  • 経営数字が良くない(債務超過等)ので知られたくない

なども、開示しない理由として挙げられるでしょう。

人は誰でも格好をつけたくなるものです。経営者なら社員に対しての威厳も保ちたいでしょうから、「前期よりも数字がよくない」「経営状態が良くない」「そんなに儲かってない」など、わざわざかっこ悪い姿を見せたくはないでしょう。

ただ、開示することで、顧客、取引先、従業員、金融機関の全てにおいて、偽りのない信用を築くことができますよね。

飲食やアパレルなど、少額だったり、お金と即交換されるものならば、法律はさておき、開示する必要はないと思いますが、注文住宅の場合は、何ヶ月も掛かり、分割であれ何百万というお金が先に払われるわけですからね。

こういう状況が続いていけば、完成保証基準でふるいに掛けられるでしょうね。

住宅完成保証制度が使えない工務店は本当にヤバいのか?

2019年7月8日

ただ、完成保証も完璧ではないですし、全部を保証してくれるわけでもないので、企業としてのコンプライアンス(法令順守)を問うなら、工務店は決算公告の開示は必須でしょう。他がやらないから尚更。

もちろん、読み手側も決算書を読める知識が求められてきますけどね。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。