工務店の経営はなぜ失敗するのか?

工務店経営は、技術だけで乗り越えられません。技術だけで経営を安定させるというのはまず無理でしょう。というか、「良い家をつくる」のは当たり前なので、価値にはならないのです。

だから、他がやっていないことをしていく必要があります。それが「経営」です。

経営(お金)についてしっかり学んでいる方はどのくらいいるのでしょうか?多分1割ぐらいだと思います。だからこそ、経営の知識をつけることが近道ですし、今まで難しいと思って避けて来た人は、見直すチャンスなのです。

人口がじわじわと減っていき、持ち家を持つ人も減ってきている中で、今は工務店経営が失敗する確率が高いことは否めないでしょう。その中で、成功するためにはどうすればいいのでしょうか?

工務店の経営が失敗している理由

多少のチェック漏れはあるかもしれませんが、昨年2019年に倒産した工務店は80社ほどいます。

注文住宅の元請けをしている工務店。子会社の連鎖倒産は除く。

では、工務店の経営が失敗する理由とは何でしょうか?もちろん、大きな要因は販売不振なのでしょうが、その元になっている原因は何なのでしょうか?

商品力?営業力?マーケティング力?・・・これらは、単なる表面的な問題にしかすぎません。なぜなら、倒産していった工務店や住宅会社の例を見ていくと、沢山の営業マンがいる会社もあれば、それなりに有名なFCに加盟している会社もありました。ホームページをしっかり作り込んでいた会社もありました。

様々な工務店の見た中で、工務店経営が失敗する本質的な理由には、2つあると感じています。

  1. 資金力がない(現金がない)
  2. 資金を活かす知恵がない(経営の知識がない)
そんなこと関係なく、感覚でやっていて、なんとなく上手くいってる人もいるでしょう。そういう方は「どうぞ好き勝手にしてください。」と思っています。

お金があり、お金を活かすこと・・・シンプルなようでいて、この2つをすぐに解決することは難しいです。

大半の工務店経営者は、独立する前は従業員としてどこかに勤められていたと思います。ただ、従業員として雇用されていた時の能力と、工務店経営者では全く違った能力が必要になってきます。従業員でも、責任者になれば人材教育などは、任され学ぶこともできますが、数字のことに関しては、よくても現場での粗利や原価計算ぐらいでしょう。従業員の立場だと、会社のお金のことに触れさせてもらうことはまずないのです。

経営者あるあるなのかもしれませんが、経営者が会社のお金のことをわかっていないから、会社のお金のことをどこまで社員に明かしていいのかわからないということもあると思います。

お金の知識がないまま、工務店として独立起業した後、一番痛感してくるのが、事務所の家賃や人件費などの固定費です。毎月掛かってきますからね。さらに、工務店業はお金の出入りが大きく、入金サイクルも遅いため、資金ショートしやすいビジネスモデルなのです。創業して4~5年して倒産する工務店もそれなりにいます。昨年倒産した工務店の中には1年で倒産していたところもあります。

工務店を経営して、利益を出そうと考えているのであれば、資金を活かす知恵や知識を学んでおく必要はありますよ。

工務店の経営はなぜ失敗するのか?

工務店経営も順番を間違えれば、誰だって失敗する

2020年7月6日

工務店経営の失敗は、数字に弱いことが原因

数字に弱くたって、財務内容が多少悪くたって、倒産しなけれりゃいいや・・・と思っていませんか?

昨年2019年に倒産した工務店は80社の内、最新の決算書データを、信用調査会社に提出していないであろう工務店は60社(76.3%)います。倒産してる工務店の76.3%は、最新の決算書データを提出していないということです。

これに対して、「良かろうが悪かろうが、提出してないだけじゃないのか?」という意見もいただきますが、知ってる工務店を下記サイトで検索してみてください。

大半の工務店は、「企業財務情報」に社名が出てくると思います。逆に社名が出ないとおかしいぐらいです。なぜなら、建材店や商社(問屋)が、工務店に建材を卸す時、与信を取ります。直接決算書を頂くケースもあるのかもしれませんが、通常は信用調査会社を使うでしょう。なので、載っていないということは、まっとうなルートで仕入れていない可能性もあるということです。前金とか、知り合いの会社経由とか・・・

そして、中には履歴が途中で止まっている会社もあります。例えば、2016年以降最新のデータがないとか・・・面倒くさいから提出しないというケースもあるでしょうが、内容が悪いから提出できないということも大いに考えられます。

このような経営者は、「取引」が頭から抜けてしまっています。取引によって左右される数字もそれなりに大きいですからね。

厳しい話ですが、財務内容が悪いと、買掛でも限度額が少なかったり、前払いになるなど取引条件は悪くなります。職人に対する支払いも、「財務状況が良くないようだから、前払いで…」または「取引しません」なんてことも起こりえるかもしれません。「財務内容悪い状態で前払い」ってかなりの悪条件ですが、財務内容が悪いと、負のスパイラルに入っていってしまうのです。

そういう不利な状況を打破するには、財務内容を良くするしかないのです。財務内容が良くなり、取引条件が良くなれば、集客や受注の負担を減らすことができるのです。そのためにも、倒産しなけりゃ財務内容が悪くたっていいやという考えは卒業しましょう。

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工務店経営者が財務に詳しくなるとどうなるか?

2020年2月7日

工務店経営の失敗は、集客や受注を最優先していること

集客や受注は欠かせませんが、むやみやたらに「集客だ」「受注だ」という判断は、従業員にだってできることです。逆に、経営者だけができることは、集客や受注の負担を減らすことではないでしょうか?

工務店経営は「売上よりも利益、利益よりも現金」です。特に小規模の工務店経営ならなおさら。

その前提を踏まえるなら、経営者にしかできない「集客」「受注」以外の打つ手があるということです。そして、その手を打つことで、「集客」「受注」の負担を減らすことができます。

その打つ手を見つけるには、決算書や試算表から、会社の資金力を見極め、どこに問題があるかを発見し、そこにどのように手を打てば資金を増やすことができるか、合理的に経営判断をすることが求められます。最小の努力で最大のお金を残す合理性です。

感覚的な経営判断に絶対的な自信がある方には、何も言うことはありませんが、ただ、工務店の半分近くは赤字経営なわけで、そういった工務店の経営者が、どう経営判断をしているかを考えたら、きっと感覚的ですよね。

感覚的な経営判断に頼っていたら、成果を謳った集客方法や商品パッケージなどに手を出すことの繰り返しになるのではないでしょうか?成果を謳った集客方法やパッケージ商品を導入したからといって売れるわけでもありませんし、FCに加盟したから上手くいくわけでもありません。実際、FCに加盟してても倒産している工務店はいます。「他が成功しているから、自分も上手くいく」なんて保証はどこにもありません。

なぜなら、「成功はアート、失敗はサイエンス」と言われるように、「成功」は再現性が低いのです。成功は、アートのように決まった「一つの答え」は存在していないため、いろいろな条件が複合的に組み合わさったものから生まれます。なので、他者で上手くいったからといって、自社で上手くいくとは限らないのです。

「集客」や「受注」以外の、経営者だけができることに時間を避けないと、経営が上手くいかなくなります。

工務店経営の失敗は、他者の成功事例に振り回されてること

工務店経営者が大好きなのは、「他者の成功事例」です。特に地方で成功した工務店の事例ばかり追いかけています。支援する会社も、成功事例をぶら下げてやってきます。

ただ、ハッキリと言えるのですが「他者の成功事例が、自社も成功する要因になっているなら、世の中の工務店みんな成功してます。」

「成功はアート、失敗はサイエンス」と挙げたように、成功の要因はいくつもあり、しかも複雑で、何が影響しているのかわかりません。あくまでも成功事例は一つのデータでしかないのです。

他の工務店の成功事例を真似ても、大半は失敗するわけですから、成功事例を真似して取り入れたところで、それは、失敗を再現しようとしているだけで、上手くはいきません。

つまり、「他社の成功事例は、自社の失敗要因」なのです。

支援する会社が、他者の成功事例をぶら下げてやってきたなら、それは「失敗の源」だと思ってください。その事例は、あくまでも一つのデータでしかないのです。支援する会社の大半は、「他者の成功事例が、自社の失敗要因」になることを知らないので、失敗させようと思って成功事例をぶら下げてるわけではありません。まぁ、わかってても、自身の受注のために、失敗の要因になるなんて言えないでしょう。

成功事例は、他者から取り入れるものではなく、自分でつくるものです。これに気付かない限り、一生同じ失敗を繰り返すことになります。

工務店の経営はなぜ失敗するのか?

他の工務店の成功事例は自社の失敗要因になる!

2020年7月31日

工務店経営の失敗は、どのくらいのお金を使っていいか知らないこと

社長権限で自由に使っても良いお金がどのくらいなのかご存知でしょうか?当然、限度があります。決して、「口座のお金全額」でも、「税引き後の純利益」でも「決算書(貸借対照表)の現金項目」でもないですよ。

その額を知らないままで、ちょっと利益が出たからといって、「パッケージ商品を購入しよう」「FCに加盟しよう」と、感覚で経営判断をしていたら、いつのまにか運転資金が足りなくなったりします。

そしてその投資は、自由に使っても良いお金の範囲内で行うことが原則です。範囲内で行えば、たとえその投資に失敗したとしても、致命傷にはなりません。つまり、自由に使っても良いお金の中で、投資することを配分していき、たくさん投資(行動)するということです。

こういう論理を知らずに、感覚で投資していたら、販促費や広告宣伝費が掛けられないとか、運転資金が足りないとか、給与も支払えないとか、正常に稼働できなくなります。

「私の会社は他より良い家を建てている」とアピールしたところで、今の時代、表面的な比較で大きく差を付けるのは難しいですよ。結局のところ、資金の使い方が鍵を握ってきます。つまり、人の採用だったり、デザインだったり、広告だったり、販促だったり、ブランディングだったり・・・。こういった差の伝え方に、どのように資金を調達し、配分し、運用していくかは、経営者にしかできないのです。

だから、成功への道のりは、失敗のリスクを最小限に留め、たくさん投資した中の一つが大きく当たるという、「1勝9敗」理論になるのです。(「1つの大きな成功と、9つの小さな失敗」という意味)

なので、お金の使い方を知らないと、経営が上手くいかなくなるのは当然のことなのです。

自由に使えるお金をわかりたい方は下記の関連記事をご覧ください。
工務店の経営はなぜ失敗するのか?

工務店経営ガイド ~資金ツール編~  note ver.

2020年7月8日

工務店経営の失敗は、会社のお金の流れを知らないこと。

小規模な工務店経営者に多いのが、会社のお金の流れを知らないことです。

税理士に毎月の試算表を出してもらうようにしている工務店がいったいどのくらいいるでしょうか?決算の時には税理士に依頼してても、毎月の試算表まで目を通す工務店経営者は少ないです。小規模と言えど、億を超える売上なわけですから、会社の毎月のお金の流れは把握しておいた方がいいです。

もちろん、社長自ら経理をする必要はありません。数えることは専門家に任せればいいです。出てきた数字を元にどういう経営判断をして、その資金をどう使いこなすかの戦略を考える方に時間を使った方がいいです。

まだ毎月の試算表を出してもらっていないのであれば、税理士と契約をしましょう。そして、経理をきちんとやってもらい、試算表を出してもらい、会社の毎月のお金の流れを把握しておきましょう。

工務店経営を失敗しないためには、相談できる繋がりを

自分に自信があって何者の言うことも聞かない工務店経営者は置いといて、工務店経営について不安がある、だれかにアドバイスを受けたいという人は、相談できる繋がりをつくっておくと良いです。

税理士も顧問料金を支払えば、アドバイスはしてくれますが、税理士は、あくまでも税務の代理、納税書類の作成、税務相談などの仕事を行う専門家であって、お金が残る仕組みをつくる、財務の専門家ではありません。

そういった背景もあって、工務店経営者の経営判断力を鍛え、健全な経営状況の工務店にしていくという考えのもと、心楽コンサルティング社と共同で、工務店経営者が相談できる場所をつくりました。失敗のリスクを最小限に留め、失敗しても成功する経営力を養える場所です。

追伸

工務店の集客についても、書いています。ごちらもご覧ください。

工務店の経営はなぜ失敗するのか?

工務店の集客はなぜ失敗するのか?WEBもマーケティングも失敗する理由とは?

2020年8月10日

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。