工務店経営を粗利率で考えるのは古い?

「利益率(粗利率)はどのくらいが適正なのか?」「粗利をどのくらい確保すればいいのか?」という質問がありますが、工務店や住宅会社の粗利率に関しては、間違った考えが結構はびこってるんですよね。

「粗利は取れるなら取りましょう」という無責任なアドバイス(笑)

当然、利益が出なければ、いずれは倒産してしまいますし、倒産して困るのは、建築途中の施主やOB施主ですから、しっかり利益を取っておくことは大事です。

粗利UPに対して、「取れるだけ取りましょう」という言葉は、外野が送るアドバイスの中でも一番言われる言葉です。そして、「施主に喜ばれることをしているのだから、儲けすぎなんてことはありません。」とか、「利益を上げて、税金を払うことで、社会に貢献しましょう。」みたいな、メンタルブロックに訴えかけます。

これらは間違いではないのですが、外野だから無責任に言えることでもあります。

そして、そういう風に伝えても、できる人とできない人、できる工務店とできない工務店がいます。

できる人はすぐに50万円ぐらい値上げたりしますが、できない人の場合は、メンタルブロック以上に、仕入に弱くて原価が高くついている工務店に多いです。結局、粗利益を削って、販売価格を調整していたりします。

こんな風にUPできない場合は、青天井を見るよりも、最低限のラインを知った方が粗利への意識は変わりやすいです。何より、粗利UPをするなら、最低限必要な粗利益を理解することが大事です。

さらに、外野がよく言う「付加価値をつくって、価格を上げよう」というのは、有効的な施策なのですが、その付加価値をつくるにそれなりに時間が掛かってしまいます。時間は掛かる分、安定性が高くなるので、長い目でみたら有効的な施策なのです。

工務店経営を粗利率で考えるのは古い?

商品力を高めるモニターハウスプロデュース

2020年2月13日

ただし、時間が掛かる分、余裕がなければ、付加価値をつくる時間もつくれないでしょうし、その時間をお金で買うこともできません。つまり、業績を改善しなければいけないのなら、業績のところ以外の部分で現金を調達できていないと、付加価値をつくることが難しくなってしまうのです。

ここに利益より現金の大事さがあるのです。

業績以外での現金調達については、勉強会で詳しく教えています。

間違った見解が多い工務店経営の粗利率

例えば、「ハウスメーカーの粗利率が40~50%」なんて昔話をいまだに載せてる古いWEB記事があったりとかします。これは今の時代では論外ですね。

大手ハウスメーカーの直近の決算書を拝見しても、およそ25%前後だったりします。ローコスト系の住宅会社でも、25%前後です。超ローコストだと15~20%辺りを推移しています。

工務店経営で必要な粗利益率は25%以上なのか?

地域工務店だと「粗利率25%~30%必要」という意見が多いです。どこからその数字が出てきているのかというと、「1棟辺りの粗利益額400万円以上」というところから来ているようです。

それだけの粗利益額でないと、給料などの固定費や宣伝広告費が賄えないということです。

給料は当然のこと、宣伝広告費が賄えないと、集客ができません。自作だったり無料集客という時間を犠牲にする方法に手を染めるようになってしまうと、無駄な仕事が増え、考える時間が少なくなり、判断もいい加減になることは否めないでしょう。

利益率を重視するのは、確実な正解とは言えない。

自分も1年位前までは、目安となる「粗利益率」を設けてました。

その数字は、TKCの参考値の平均を出したものなので、木造建築工事業の黒字企業の平均値です。約2●%。

しかし、今は粗利益率重視のその考えを改めています。改めると言うよりもう一歩踏み込んでいます。

というのも、企業規模によって必要な「粗利益額」は異なるわけです。抱えている従業員の数や賃料など、掛かっている固定費が違います。

当然、固定費が少ない方が、粗利益額が少なくてすみますが、固定費が少ないことが絶対的に正しいとは言えません。大事なのは、どれだけの費用をかけて、どれだけの収益を得たか?という「効率の良さ」です。

「従業員が●人いたら、売上●億必要で、粗利が●%」というのではない、自社に適したもっと本質的な効率の部分です。

経営効率の目安については、勉強会で詳しく教えています。

効率の良さを無視すると、固定費ケチった分、まともな粗利益額が得られない、ジリ貧経営になってしまうことが多いです。例えば、カタログ代をケチって、コピー用紙に印刷したものを顧客に渡すとか…顧客もケチなら共感するでしょうが、大半は夢を抱いている人ですからね。

売上より利益。利益より現金。

ここ数年、会計や経営のことを学び、住宅会社の決算書を読み漁ってきました。そして、工務店経営のサポートをしてきている上で述べるなら・・・

工務店経営を「粗利率」単体で考えるのは古い。

ということになります。その前提になっているのは、「売上より利益。利益より現金。」という考えです。実際、粗利益率そこそこでも倒産している工務店はいますからね。

業績改善(利益改善)のセーフーティネットは、粗利益ではなく現金ですから、損益計算書の純利益だけ見てても、正しい方向で経営はできないのです。

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ABOUTこの記事をかいた人

井内智哉

設計事務所勤務時に、建築家ネットワーク会社・アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)とのコラボしたブランド住宅「AROS」の全国展開に宣伝・広告として携わる。ミサワホーム創業者の三澤千代治氏の新事業・200年住宅「HABITA」の立ち上げから携わり、宣伝・技術・営業・企画などの経験を積む。後に全国の地域工務店200社以上を束ねる住宅のフランチャイズ事業にまで成長。その後、デザイン住宅を軸にした注文住宅の事業「ソラマド」の全国展開に携わる。WEB集客やコミュニティの構築、関東・東海地域の市場開発、提携工務店への研修など、年間150棟ほどの住宅設計のマーケティングサポートを行う。また2013年1月、同社にて新規事業のDIY・リノベーションを提案するお店を立ち上げる。2013年6月より、住宅業界専門のネットマーケティングコーチとして独立。工務店フランチャイズ本部や同業他社とも連携し、地域工務店のサポートや研修などを経て、年間棟数20棟未満の小規模工務店の経営者向けにノウハウやコンテンツを提供している。2014年10月~2015年3月まで日本住宅新聞にて、歴代最年少執筆者として連載。