以前、「工務店の経営はなぜ失敗するのか?」という記事を書きましたが、非情に反響があり、おかげさまでその記事は、「工務店経営」の検索1位になっています。
シリーズものではないですが、今回は、「工務店の集客はなぜ失敗するのか?」について、基本的なことを書いています。以下、10000字以上ありますが、最後まで読んでみてください。
この記事の目次
- 皆と同じ考えでいることは危険
- 工務店の集客情報や集客ノウハウがたくさん増えた
- 工務店経営者は必ず集客で悩む
- スマホが普及したころから変わってきた工務店の集客に対する悩み
- 集客方法を追いかけ、倒産していった工務店のケース
- 工務店が集客ノウハウを追っても集客できない理由
- 大半の地域では集客方法では優位性が築けない
- 結果を出せない工務店経営者は「方法」を与えられる側に回る
- 結果を出す工務店経営者は「本質」を求める
- プロダクトが魅力的だと、集客も上手くいく
- 集客に困っていない工務店は我慢していない
- プロダクトが魅力だと、与える側に回れる
- プロダクトに魅力がないと、「時間・お金・労力」に頼るしかない
- 集客の「致命的な問題」の根源も結局プロダクト
- さいごに
皆と同じ考えでいることは危険
集客とは不思議なものです。
「集客を頑張っているのに、集客できない工務店」もいれば、「集客できているけど、たいして集客には力を入れていない工務店」もいます。
なので、この記事では、誰も言わない「工務店の集客」の秘密を説明しています。
弊社の過去の記事やメルマガを読んでる方は理解していただけるとかと思いますが、ここでは「楽に集客、無料で集客」みたいな感じの内容は書いていません。
ただし、「誰も言わない」内容なので、信用しない、したくない人もいるでしょう。大半はそうだと思います。
・・・だから、工務店の半分以上は赤字経営なんですよ。財務の表示はされないので、表面上はわかりませんが、統計的には、半分以上は赤字経営なのです。
さらに、財務基準がある住宅完成保証制度が利用可能な工務店や住宅会社の割合を調べてみたら、満たしているのは、婚活や恋活で言うところの、「最低でも年収1000万円は・・・」と言ってるのと同じレベルだってことがわかりました。
つまり、住宅完成保証制度の審査基準を満たしている工務店や住宅会社は、全国に5%もいません。
住宅完成保証制度が可能な工務店や住宅会社の割合を調べてみました。https://t.co/UhCFDKYHkY
— イーウチ (@iekotoba) July 30, 2020
住宅完成保証制度が使えない工務店や住宅会社がヤバいとは言いませんが、満たしていない工務店や住宅会社が95%以上もいるということです。
いかに、「皆と同じ考えでいることが危険か」わかると思います。「皆と同じ考え」とは何でしょう?集客最優先ではないでしょうか。過去の経験を踏まえても、上手くいってない工務店ほど、集客ばかりを求めているのが現実です。
「集客さえできれば受注できる」そんな視点間違いが起きています。
赤字経営の50%、住宅完成保証制度が使えない95%の中の工務店のままでいたいですか?そういった状況になりたくなければ、まずは「工務店の集客」について知ることです。
工務店の集客情報や集客ノウハウがたくさん増えた
工務店が行う集客方法には、チラシ、WEBサイト、SNS(twitter、facebook、Instagram)、動画(Youtube)、メルマガ(メール)やLINE@、SEO・検索エンジン対策(ブログ等)、リスティング広告、ポータルサイト、雑誌掲載、電話アポ・・・
「自社(自分)で集める」「他社(他人)が集める」「オンライン(ネット)」「オフライン(リアル)」これらの組み合わせによって、たくさんの集客ノウハウがあります。そして、方法には、単独で行うものもあれば、掛け合わせて行うものもあります。
誘い込む場所には、完成見学会、モデルハウスの見学会、施工の様子を見せる現場見学会、土地やローンなどの相談会、家づくり勉強会、などイベントごとが中心となります。
そして、それをサービスとして提供する会社も増えました。2013年頃はブームが過ぎ去り、工務店を支援する会社も少なかったのですが、ここ数年で、工務店をターゲットにしたホームページ制作会社や、工務店コンサルタントによるコンサルティングなどの存在も増え始めてきました。エリアを絞って営業しているところもあります。
それだけでなく、デジタルの活用が普及したことで、無料で情報提供する人たちも増えています。そのため、直接的に触れる情報の量は確実に多くなっています。(このブログや記事だってその一つです。)
下記は、総務省が発表している「世界のトラフィックの推移及び予測:令和元年版」です。

世界のトラフィックの推移及び予測(トラフィック種別)

世界のトラフィックの推移及び予測(セグメント別)
単純にデータ量だけを、2017年から見比べても、2020年(予測値)では倍以上になっています。ビジネス分野においても、およそ倍です。
つまり、数年前より今の方が、工務店が集客の情報を手に入れる環境としては、手に入れやすさも手に入れる数も増しているわけです。
だけど、工務店の集客成功率は増えていない
では、それに比例して、集客できる工務店は、2017年から比べて、倍に増えたんでしょうか?集客できる確率は倍になったんでしょうか?
そんなことはありません。むしろ工務店に関しては、新規参入者よりも、倒産していってる工務店の方が多いのではないでしょうか?
倒産していった工務店も、集客の情報は浴びてたはずですよ。つまり、今の時代は、集客の情報やノウハウをいくら追ったとしても、結果に繋がらないということです。この傾向は、今後はさらに加速するでしょう。
工務店経営者は必ず集客で悩む
工務店経営者に「悩みはなんですか?」と質問すると、「集客ができない」「もっと集客したい」など、必ず集客の話が出てきます。
上手くいってる工務店も、上手くいってない工務店も、集客は悩みの一つにあります。上手くいってない工務店ほど、その比率は高いですが・・・
その悩みの傾向としては、チラシ、WEBサイト、SNS(twitter、facebook、Instagram)、動画(Youtube)、メルマガ(メール)やLINE@、SEO・検索エンジン対策(ブログ等)、リスティング広告、ポータルサイト、雑誌掲載・・・工務店が行う集客の方法には色々あるけども、どれをやればいいのかわからないというものもあれば、
工務店の集客に効果があると聞いたものを、頑張ってやってみたけど、結果出ない・・・とか。
集客でつまづく工務店経営者の方々も、色々と勉強したり、色々と実践しようとしたりしてることでしょう。でも、悩むんです。集客のために何をするのが正解なのか、わからない状態になっていませんか?
実は、ある時期から集客に対する悩みが変わってきています。
スマホが普及したころから変わってきた工務店の集客に対する悩み
私自身は2006年頃から住宅関係に足を踏み入れました。集客やマーケティングに深く関わるようになっていったのが、2011年頃です。それからの流れを汲み取っていくと、スマホが普及し始めた2014~2015年辺りから、工務店側の集客に対する視点が変わってきています。
2014年頃までは、
- ホームページからの集客を教えてください。
- 無料集客を教えてください。
- インターネット広告の運用を教えてください。
- ブログ集客をしたいので、SEOを教えてください。
- SNSで集客したい。
- ホームページを作成しても運営できません。
- WEBマーケティング(スマホマーケティング)を教えてください。
など、一つの方法についての悩みがほとんどでした。
ですが、2015年頃から変わってきます。
2015年頃から
- ◯◯をやったけど、続けられません。(例:ブログを投稿し続けられません。)
- おすすめされたことを色々導入したけど、結果が出ませんでした。(例:ブログを投稿し続けても効果が出ませんでした。)
- あれこれやることが多すぎて、何をすればいいのかわからない。
こういう悩みが増えていきました。
つまり、「一つの方法」から「複数の方法」への悩みにシフトしていってるのです。
これは、スマホが普及し始めた2014~2015年辺りから、顕著に現れてきました。ちょうどその頃にかけて、セミナーや研修をさせてもらってましたので、その変化がよくわかりました。
しかも、2014~2015年辺りから、無料で公開される集客の情報も増えていき始めました。その影響からか、知識が増えすぎ、集客方法に振り回され、時間や労力だけが増えていき、結果、集客にも繋がらない人が大量に増えていっています。
集客方法に振り回されて、本来やらなければならないことができてないんですよ。だから、また楽な方へと集客を求め、安易に新たなFCとかパッケージ商品とかを買ってしまうのです。
集客方法を追いかけ、倒産していった工務店のケース
集客方法を追いかけ、言うことを聞かなかったバカな工務店例を紹介します。年間数十棟建てていたが、一時期の勢いが衰え、売上が落ち込んだため、盛り返したいという工務店の話です。
「助けてほしい」ということで、支援に入りましたが、すぐにあることに気が付きます。
明らかに商品が「安かろう・悪かろう」レベルなのです。クレームになるほどではないですが、これでは情報弱者をターゲット層にした営業でないと、難しいだろうなというレベルです。商品レベルを見る限り、集客できなくなり、売上が落ち込むのも頷けます。
当然、モノの品質を向上させるため、商品の再構築(ゆくゆくはブランドの再定義)を提案しますが、当然却下です。その経営者の頭の中は、「集客されできれば売れる」という頭だったので、とにかく集客でした。
社長は「広告宣伝費は月に◯◯万円掛けられるから、とにかく集客できるようにしてくれ」ということでしたので、ネット広告を始めます。情報弱者の今すぐ客をターゲットにして、ガンガン広告宣伝を掛けていきます。(こんな悪魔の集客方法は今はやりませんがね)
結果、半年以上、月10~15件の今すぐ客からの資料請求を獲得していきます。ですが、半年を過ぎた頃、その社長から「ネット広告を止める」という話が来ます。理由を聞くと、「受注に繋がってない」とのこと。今すぐ客ではあるが、競合に負けたり、契約に結びつかなかったりで、広告費に対しての採算が取れていないとのことでした。
当時は私も今ほどお金の面は気にしてませんでしたから、掛けられる広告費は、社長の言葉をそのまま鵜呑みにしてましたが、その費用設定が間違っていたようです。いや、そもそも、魅力ない商品をいくら売ったところで、たいして売れやしないということです。
こちらが予測して言ってることに対して、身を持って知らないと気付けないわけですから、私としてはお手上げです。当然、私はそれで離れましたが、そこから1年も絶たない内に、夜逃げしてましたね。(クソな経営者です。)そういえば、私も少しばかりの未払いがあり、焦げ付きました。
このように、「集客」を成功させる上で本当に大事なことは、集客ノウハウではないのです。
工務店が集客ノウハウを追っても集客できない理由
1.情報の量が多すぎて処理しきれていない
これまで挙げたように「情報の量が多すぎることで、処理しきれていない」ことが理由の一つに挙げられます。情報に振り回されているのです。
今だったら、動画配信ですね。業界メディアもこぞって取り上げてたりします。
先日も、「こういうのをやろうと思っていますが、どうですか?」と参考に、とあるYoutubeチャンネルを見せられたのですが、その動画の再生回数が5回とか…「何を参考にしとんねん」という話です。
集客情報や集客ノウハウの量が、3年前から倍に増えたとしても、情報の処理能力や時間、体力、集中力まで倍になってません。なので、何をしたらいいのかわからなくなってしまうのは当たり前の話なのです。
実際、業績が悪化してくると、あれもこれもやらなければいけないと、やることが前提で物事を進めてしまっている経営者は意外と多いです。そして、表面的なことに振り回され、空回りすることが多々あります。人は器用にあれこれできません。
だからこそ大事なのは、「やらないことを決めること」です。真面目で真剣な人ほど、すべてを頑張ろうとしますからね。
ただし、やらないことを決めたとしても、どの情報やどのノウハウを取り入れ実践していくかは、一つずつ試していくしかありません。
だから、投資できる(チャンレンジできる)状態を作っておく必要があるわけです。
2.苦手なことでも選んでしまう。
他社の成功事例に影響されて、苦手だったり向いてなかったり、好きじゃなかったりすることを選んでしまっては、当然続きませんし、気持ちも入らないでしょう。
例えば、
- 文章を書くことが苦手なのに、ブログ集客(SEO)をしている。(更新することが目的になる)
- ネットに詳しくないのに、ネット集客をしている。(ネット上の行動心理が読めていない)
- 自分をさらけ出すのが苦手なのに、SNSをしている。(結局、企業アカウントで寂れる)
というパターンです。
なんで、その方法をしているかというと、「良いと聞いた」とか、「他社の成功事例だから」とかというパターンがほとんどです。他者の成功事例が、自社も成功する要因になっているなら、世の中の工務店みんな成功してますよ。
もう、他社で成功した集客ノウハウで結果が出る時代じゃないんです。
3.手に入れた情報に優位性はない
あなたはどんなところから情報やノウハウを手に入れてますか?業界メディアとかセミナーとかでしょうか?
でも、そういう情報には、優位性はありません。あなたが手に入れた工務店の集客情報は、競合工務店も簡単に手に入れています。
ネットでも同じです、検索してブログ記事が引っかかったとか、SNSで得たとか、今の時代はSNSやネットを使用して、アンテナを張っていれば、自然と情報は入ってきます。なので、工務店の集客ノウハウを探していない人にも、情報は届いていますよ。
これは、スマホが普及し始め、無料の情報も普及し始めた2014~2015年辺りから現れた変化にも通じる話です。
2014年頃より前は、限られた人だけが、工務店の集客の情報を仕入れているような状態でした。なので、競合に知られていない工務店の集客ノウハウであれば、一つの方法を実践するだけで結果も出やすかったです。
例えば、ホームページだけとか、リスティング広告だけとか、SEO対策だけとか、チラシだけとか。
では現在はどうでしょう?
例えば、競合よりも早く新しい工務店の集客のノウハウを知って、すぐに実践するとします。当然、最初は競合がいないため、集客の結果は出やすいです。
最近だと、こんな方法です。最初の入口では、大手にリアルで勝てないから、制限のあるオンラインなら・・・という話。
「豪華なモデルハウスや気の利いた“おもてなし”などでは、大手にかなわない。しかしリモート化すれば、コミュニケーション環境の条件は中小事業者でも同じだ」
ただ、その後の動きは以前とまったく違います。上記のように、記事にされて、拡散されますから、新しい工務店の集客ノウハウや情報は一瞬で広まります。方法によっては、その工務店の集客ノウハウを教えたり、情報発信する人もたくさん出てきます。
すると当然、実践者はたくさん増えます。
そうなってくると、それはもう特別なことではなく、「当たり前」になります。「当たり前」になると、やらないとマイナスになりますが、やっても付加価値にはなりません。いち早く始めて、優位に先行者利益を得ていたとしてても、少しずつ落ちてきます。このように、手に入れた情報に優位性はないのです。
また、当たり前になってから、やるような集客方法は、後からやる人は当然苦戦をします。昔、大量に釣れたと言われた皆が釣っている釣り堀に、後からやってきて、釣り糸を垂らすようのものです。魚はいないのに・・・
大半の地域では集客方法では優位性が築けない
前述のように、集客方法なんて、その時代に合わせてどんどん出てきます。優位性がない時点で、それは古いんですよ。
だから、工務店の集客方法を増やしても、必ずしも、成功する数が増えるわけでもありませんし、お客さんの数が増えるわけでもありません。
これは、ネットの弊害でもあるのですが、時代遅れになったノウハウも、古い記事で残ります。その内容について、わざわざ「古いですよ」とは伝えません。で、結局、成功事例や良さそうな話だけがネット上に残ります。しかも、だいたい残ってるのって、集客方法でしょ?
でも、よく見てください。ツールが新しくなったりしてるだけで、本質は変わってません。
実は、集客方法は、優位性をどう築くかだけなんですよ。例えば、競合がネットばかりで集客してるなら、逆にチラシが効果的だったりします。
競合がやっていないことが狙い目なのですが、今の時代、集客方法そのもので、優位性を築くのが難しいのです。なぜなら・・・
優位性を築くのが難しい理由:古くなるスピードが早くなっている。
まずは、情報のスピードです。普及するスピードも早いですが、その分古くなるスピードも早いです。古くなれば、当然、効果が落ちてきます。
例えば、facebook広告は、数年前までは、やっている人も少なくて、安く広告を出せたのですが、「facebook広告が効果がでるぞ!」という情報が普及したため、今はもう10倍近くに広告単価が上がっています。成功事例が広く普及すると、大手が参入してきますので、どうしても広告単価は上がります。
普及するスピードが早ければ、それだけ皆がやってしまい、優位性はすぐになくなるということです。
優位性を築くのが難しい理由:上手くいってる競合が全ておこなっている。
さらに、特に人口の多い地域では、もっと難しくなります。
なぜなら、上手くいってる余裕のある工務店ほど、チラシ、WEBサイト、SNS(twitter、facebook、Instagram)、動画(Youtube)、メルマガやLINE@、ブログ(SEO)、リスティング広告、ポータルサイト、雑誌掲載など、ほとんどのことをやっています。
こうなってくると、全て優位性がなくなり、広告以外で優位性を築けている魅力のある工務店しか勝ち残れなくなっていきます。
では、広告以外で優位性を築く魅力とは何か?・・・商品です。
ちなみに商品は、形あるモノですから、優位性がなくなると、時代遅れになります。
繰り返しますが、集客方法は、優位性をどう築くかだけなんですよ。なので、集客方法に頼る人は、集客方法で優位性を築けないので、今後さらに難しい局面に立たされるでしょう。
結果を出せない工務店経営者は「方法」を与えられる側に回る
「集客方法」が、工務店経営を良くしてくれるわけではありません。どんな集客方法をおこなったところで、お客さんが工務店に対して感じる魅力は変わらないのです。
そりゃ、広告で嘘ついて釣る方法もありますが、来店すればバレますし、そんなことしても信用を失うだけです。「言わせない」悪魔の営業を使えば、ゴリ押しで契約してもらえるでしょうが、小さな工務店がそんなことしてたら、続かないでしょう。
集客方法だけで、「工務店の魅力」が、急に競合工務店と比べて高くなるわけではないのです。
集客方法やノウハウだけを求めるのであれば、常に新しい集客方法やノウハウを求め続けなければなりませんが、誰かから方法論を取り入れているようでは、先行者利益も得られず、結果が出ないことが続くだけです。
方法は、成功事例と同じで、与えられるものではなく、自分でつくるものです。
自分でつくるには、独自の情報を手に入れるしかありません。その一つに、「顧客の声」があります。顧客の声を単なる評価だけで終わらせてたらもったいないですよ。
結果を出す工務店経営者は「本質」を求める
逆に、結果が出せている工務店経営者は、集客は方法ではなく、本質を求めます。
本質をスポーツで例えるなら、「フィジカルや技術や知識」、もっと深いところを言えば、「体の使い方」です。決して、靴とかユニフォームとか髪型とかではありません。
工務店の場合は何になるでしょう?それはプロダクトです。
工務店にとっての「プロダクト」とは、商品・サービス・プロセスといった、それによって対価を得るモノです。
このサイトでは、常々、
- 集客などマーケティングが上手くいくのは、コンテンツが魅力的だからです。
- コンテンツが魅力的なのは、プロダクトの品質が高いからです。
- プロダクトの品質が高いのは、そこに投資できているからです。
- 投資ができるのは、資金があるからです。
と書いています。
つまり、成功への再現性が高い、合理的な進め方は、
資金を手厚くし、余裕をもって準備できる体制を用意し、商品やサービスといったプロダクトのレベル向上に投資していく。そして、コンテンツを充実させ、信頼を可視化していき、仕組み化していく。
といった、
- 資金
- プロダクト(商品・サービス・プロセス)
- コンテンツ(販促物、HP、情報発信など)
- マーケティング(集客など)
という手順になります。
スポーツというかアスリートで表すなら、
- 資金・・・血液
- プロダクト(商品・サービス・プロセス)・・・健康、身体能力(フィジカル)、技術、知識
- コンテンツ(販促物、HP、情報発信など)・・・見た目、ブランディング
- マーケティング(集客など)・・・ファンの数、コミュニケーション
ということです。
アスリートととして、その分野で活躍するなら、当然、フィジカルや技術や知識を始めとする体の部分が必要です。活躍に加え、人気に得るためには、見た目やブランディングに気を配ります。そして、握手やサインを求められたら応じます。そうやって、ファンの数を増やしていきます。ですが、アスリートは結果が全てですので、ベースとなる資本は体です。
工務店の場合はどうでしょう?同じ様に、ビジネスなので結果が求められます。
長年、しっかりと上手くいってる工務店を見ると、まずプロダクトが優れています。(工務店が大好きなTOPなクラスの同業者、シ◯◯ンとかそうでしょ?)
本質的なことで競合工務店に勝っているから、小手先の集客方法なんて、極端な話、どれでもいいわけです。プロダクトが優れていると、特定の集客方法にこだわる必要もなくなります。
プロダクトが魅力的だと、集客も上手くいく
プロダクトが魅力的だと、集客も上手くいくのは、下記の流れに尽きるのですが、
- 集客などマーケティングが上手くいくのは、コンテンツが魅力的だからです。
- コンテンツが魅力的なのは、プロダクトの品質が高いからです。
- プロダクトの品質が高いのは、そこに投資できているからです。
- 投資ができるのは、資金があるからです。
大事なのは、どういう集客方法ではありません。
チラシだろうが、SNSだろうが、どんな集客方法で知ったところで、魅力のない工務店には依頼したいとは思いません。
集客したとしても、利益を最大化するには、
- 広告を読んでもらえる確率を高める。
- お客さんに信用&信頼してもらえる確率を高める。
- コンセプトを好きになってもらう確率を高める。
- 来店してもらう確率を高める。
- リフォームなら、他の箇所もリピートしてもらう確率を高める。
- 比較されても、選ばれる確率を高める。
- 紹介をしてもらう確率を高める。
- お客様の声、見学会に協力してもらえる確率を高める。
- イメージ訴求を高めるため、施工事例の写真撮影に協力してもらえる確率を高める。
など、これらを行う必要があります。その次なる施策がコンテンツ(販促物等)なのです。
集客方法自体、あなたの工務店の魅力を伝えることはできません。コンテンツがあるから、魅力が伝わっているわけです。
でも、そのコンテンツも、プロダクト(商品・サービス・プロセス)が魅力的でないと効果をなしません。
- 商品
- サービス
- プロセス
新築の注文住宅や、リノベーションでは特にこれらの項目が大事になってきます。例えば、「プラン(設計)」一つ挙げても、商品にも関連してますし、「プランニングをする」というプロセスにも関連してきます。
中でも、一番重要なのは「商品(提案する住宅)」ですが、プロダクトの構成には他も欠かせない要素です。
どんなに良い商品でも、サービスが悪いと魅力にはならないでしょう。これは、美味いラーメン屋の頑固親父みたいなものです。昔はそれでもよかったけど、今の世代にはウケが悪いです。
どんなに良い商品でも、プロセスが悪いと難しいでしょう。これは、何も言うな全部俺に任せとけ的な自己中な人です。今すぐ客になりやすい情報弱者には向いてますが、今は色々と調べて確認して、自分なりのこだわりがある人が多いですから、じっくりと検討する見込み客に対しては、ウケは悪いでしょう。
結局のところ、本質であるプロダクトが魅力的でないと、お客さんは動かないということです。
もちろん、プロダクトの品質を向上させるためには、投資していかなければなりません。つまり、資金が必要です。どのくらい投資できるのかを把握してなければ、プロダクトの品質向上も難しくなります。
自社の「資金」について詳しく知りたければ、下記ツールを使ってみてください。
集客に困っていない工務店は我慢していない
プロダクトが魅力的で、集客に困っていない工務店は、自分の工務店の哲学を大事にしています。
できないものはできない、やりたくないものは、たとえお客さんの要望でもやらない。というわけです。これは、目先の利益よりも、「今まで築き上げて来たものを大事にしている」ということでもあります。
- 哲学があるから、魅力あるプロダクトが生まれるのか?
- 魅力あるプロダクトをブラッシュアップしていった先に哲学があるのか?
これは、どちらも正解なので、「鶏が先か卵が先か」とも言えます。戦略にも同じことが言えます。
- 戦略を立てているから、魅力あるプロダクトが生まれるのか?
- 魅力あるプロダクトを軸に、戦略を立てていくのか?
いずれにせよ、このコロナ禍で、工務店の経営状況も良い悪い二極化していくであろうと思っていますが、良しの方は、「哲学のあるプロダクト」が必須なのは、間違いないでしょう。
プロダクトが魅力だと、与える側に回れる
また、プロダクトが魅力的で、本質的なことで競合工務店に明確に勝って、実績を残すことができれば、同時にその手法を同業者へ与えることができます。
・・・ん?成功事例はダメなのでは?
そうです。前述で挙げたように、他社の成功事例は失敗要因になります。だから、与えられる側にはなってはいけないのですが、与える側になる分には、利益がプラスされ、メリットになるだけで、本業に大した影響もありません。
まだまだ、他社の成功事例(特に集客)を真似したい、意識の低い愚か者は多いですから、自社の利益のために与えたらいいんですよ。
プロダクトに魅力がないと、「時間・お金・労力」に頼るしかない
逆に、プロダクトで競合工務店に勝っていないと、どうなるでしょう?
もはや、小手先の集客やマーケティングで優位性をつくるしかありません。プロダクトの魅力がないわけですから、「時間・お金・労力」に頼るしかありません。つまり、少ないリソース(資源)で勝負することになってしまいます。
例えば、こんなことです。
- 固定費を減らし、必要な利益を少なくする。
- 利益を減らして、値下げで勝負する
- 無料でできることに手を出し、労働時間を増やす
- 「何でもできます」と対応力で勝負する
こんな状態でお客さんが来ても、利益は残らない、手間は取られる・・・など、これらは、利益を効果的に生み出す仕組みでもありませんので、このままでも、延命治療をしているだけで、ジリジリと苦しくなるだけです。
本質的なプロダクトに魅力がなければ、お客さんは動きませんし、どんな集客方法でも結果は出ませんし、「結果が出ない」「自分には合わない」と思っても止めても、その後には何も残りません。積み重ねがないのです。
だから、また新しい方法を求めて、楽なFCとかパッケージ商品とか買ってしまうんですよ。でも結局は上手くいかないので、同じことを繰り返します。しかも、FCとかパッケージ商品とかそれなりに金額を掛けていたら、引くに引けなくて、上手くいかないまま、時代遅れになっていきます。
根本的な解決をしていなければ、この状況が待っています。
社長や経営者が、プロダクトを魅力的に改善していかないと、スタッフが進んですることはありません。仮に強く言い聞かせたとしても、いち担当者レベルでできるのは個々のクオリティを高めるぐらいです。
集客の「致命的な問題」の根源も結局プロダクト
マーケティング界隈では、「集客」について「この4つを解決しよう!」みたいなことが言われています。
- お客さん(エンドユーザー)はどこにいるのか?
- どの商品を最初に売るのか?
- 価格はいくらにするか?
- 商品が欲しくなるメッセージとは?
考えていただくとわかるかと思いますが、どれもプロダクトに紐付いた話です。その他にも、「強み」や「特徴」なんかも結局は、プロダクトに紐付いています。
工務店に落とし込んで考えてみても、プロダクトの魅力がなければ、それを求める「お客さん(家族像)」を定義することはできませんし、価格帯も決められません。プロダクトの魅力がなければ、反応してくれるメッセージ(キーワード、文字、写真)も発信できません。提案や営業アプローチも同じことが言えます。
だから、たとえ、新たにWEBサイト制作(ホームページ制作)をしたとしても、リニューアル制作したとしても、そこから思うようには集客できません。
結果を出せない工務店経営者ほど、プロダクトを無視して、上記の4つの質問を考えるでしょう。で、答えがでませんし、出たとしても大したものでもない・・・
そりゃそうです。与えられる側に回っていると、「自分で考えること」はほぼ無力化していきます。
さいごに
いろいろとポイントをお伝えしてきましたが、まとめの解説をすると・・・
方法だけでは集客はできません。大元になるのは本質的な部分「プロダクト」だということです。それで対価を得ているのですから、そこに一番力を入れない経営なんて、集客をしたところで後に続かないでしょう。
小さな工務店の場合は、思い切って「集客」を後回しにして、まずは自社が提供できるモノやコトで、幸せを与えられるお客さんだけに絞って、その魅力磨きに集中した方がいいんですよ。適当にチラシまいて、無闇やたらに集めても、集客率は悪くなります。
「集客」が必要ないというわけではありませんが、「集客」を最優先しなくとも、探してもらえる状況が最低限できておけば、「こだわり」があるお客さんの場合は、家づくりに対して興味があるので探してくれます。
これからの「集客」は、探してもらえる状況をつくることです。
自社の利益を考えたら、「こだわり」があるお客さんでないと、粗利も確保できにくくなりますから、そういう人に探してもらえる、そして選んでもらえるようにするということです。当然、その際は、比較検討はされます。
逆に、「こだわり」もない人は、予算が少なくて建てることが目的になっていたり、「安い」などの価格が最優先な方が多いですので、小さな工務店が相手をする客ではないのです。
一昔前と比べても探しやすくはなっていますが、何の魅力もなければ、探しようがありませんよね?さらには、比較され、リピートがないビジネスなので、その魅力は、競合と比べて相対的に優れていないと効果を成さないということです。
比較されるほどの魅力もない、探してもらうこともできない、そんな工務店の行く末は、追いかけることしかできなくなるので、どんどん苦しくなるでしょう。