メールマーケティングの話をしていくと、よく「LINEはどうですか?どっちがいいですか?」「今、Eメールは読まれてるんですか?」などと質問されることがあります。
ビジネスの場合、社内環境も違えば、ターゲット層も違うし、商品やサービスも違うので、「絶対にこっちが良い」という明確な答えはありません。
ただ、これまでの歴史やデータを見ていくと、「大半はEメールなのでは?」とも感じています。
データを見ると、未だに電子メールは利用されている
総務省がデータとして出している、令和元年調査(令和02.05.29公表)の「令和元年通信利用動向調査の結果」を見ると、「インターネットの利用目的・用途(個人)」では、電子メールの送受信が76.8%で一番多いです。

インターネットの利用目的・用途(個人) 令和元年調査(令和2年.05.29公表)
WEBサイトの閲覧より、SNSの利用より、LINEなどの無料通話アプリよりも、「電子メールの送受信」が多いのです。
さらに、年齢別で見ていくと、

年齢階層別インターネットの利用目的・用途(複数回答) 令和元年調査(令和2年.05.29公表)
電子メールの送受信
- 13~19歳:約60%
- 20~29歳:約80%
- 30~39歳:80%台
- 40~49歳:80%台
- 50~59歳:80%台
- 60歳以上:70%台
ホームページやブログの閲覧。書き込みまたは開設・更新
- 13~19歳:約60%
- 20~29歳:70%台
- 30~39歳:60%台
- 40~49歳:60%台
- 50~59歳:60%台
- 60歳以上:40%台
SNSの利用
- 13~19歳:80%台
- 20~29歳:80%台
- 30~39歳:80%台
- 40~49歳:約80%
- 50~59歳:約70%
- 60歳以上:40%台
無料通話アプリやボイスチャットの利用(多分、LINEなどでしょう。)
- 13~19歳:約70%
- 20~29歳:70%台
- 30~39歳:70%台
- 40~49歳:約70%
- 50~59歳:約60%
- 60歳以上:40%以下
という結果になっており、10代を除けば、LINEより電子メールの方が利用している割合が高いというデータになっています。
もちろん、「メールアドレスは持ってません。」という人もいるでしょうが、統計的には読んでる人の方が多いということです。
メールマーケティングのROI(投資対効果)は約40倍
「なぜ今さらメール?」「メールなんか時代遅れ」と思う方もいるかもしれません。
ただ、歴史を見ても、メールマーケティングは、新たなメッセージツールが出る度に「メールは終わった」「メルマガは終わった」と言われるのですが、その後、新たなメッセージツールが落ち着いたり、廃れることで、「やっぱりメール」「やっぱりメルマガ」という風に、毎回再注目されます。
ちなみに、アメリカのダイレクトマーケティング協会(Direct Marketing Association)などの情報を調べると、メールによるマーケティングに1ドル費やすごとに、
- 2018年は、38ドルの費用対効果
- 2019年では、42ドルの費用対効果
が出ているそうです。つまり、投資対効果が約40倍なので、100円投資すると4200円になるということです。投資して40倍も返ってくることなんて、そうそうあるものではありません。(日本でもこういうデータを出してほしいのですが、ありませんね・・・)
日本のデータだと、一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2021」があるのですが、
- 仕事で使っている主なコミュニケーション手段の第1位は「メール」(98.9%)
- 仕事でメールの送受信に利用している主な機器は「パソコン」(99. 61%)
- 1日平均は送信「13.63通」、受信「51.1通」
- 1日に1回以上メールを確認する人は99.49%
- 半数近くの人がメールのデスクトップ通知をONに
- メールを1通読むのにかかる時間は平均1分21秒
- 1日69分メールを読んでいる
など、調査結果を見ても、ビジネスでのメールの利用が多いことがわかります。なので、BtoBビジネスの場合、確実にLINEよりメールです。
余談:メールは「送信者名」「タイトル」が大事
いくつかメルマガを購読していますが、メールの送信は、下記のような感じで「送信者名」「タイトル」がとても重要になります。

私の場合は、「A社のメルマガはAのラベル(上記だと「【メルマガ】/日本ネット経済新聞)」という風に自動仕分けの設定をし、簡単にわかるようにしています。ただ多くの人はメール受信システムをそこまで使いこなせてなかったりするので、「送信者名」「タイトル」で判断することがほとんどでしょう。
EメールもLINEよりも、顧客リストの質
Eメールを使うにしても、LINEを使うにしても、そこに必要になってくるのは、「顧客リスト」です。顧客リストがあるから、「商品やサービスの案内を顧客リストに流そて売上げに繋げる」という施策を取ることが出来ます。
なので、顧客リストを1000人や1万人に集めても、その質が悪ければ意味がありません。大事なのは、その顧客リストと、ちゃんと「関係性」を築けるか?ということです。「1回を売って終わり」というリピートのない売り切りビジネスにしても、たいていそのビジネスの商品は高額なことが多いですから、関係性は大事になってきます。
リピートのあるビジネスなら、一人一人の顧客と関係性を築くことで、商品やサービスを繰り返し買ってもらうことが可能になります。そこで満足してもらえたら、また次の商品やサービスを購入してもらうことが可能です。
そういう視点で考えると、どちらが「顧客との関係性を築けるか?」ということで選んだ方がいいわけです。例えば、LINEの方が少ない顧客リストだとしても、その顧客と深い関係性が出来ていけば、売上は上がります。
どうやって顧客と関係性を築くのか?
顧客との関係性を最も簡単に作りやすいのは、「接触頻度を増やす」ということです。「ザイオンス効果(単純接触効果)」とも呼ばれています。
顧客との関係性を築くためには、一定の質以上で、頻繁に連絡を取り続けるといいというわけです。例えば、顧客の役に立つ内容など。
「頻繁」ということになると、実はEメールが強い
頻繁に送るとなると、LINEは、一斉メッセージをある数以上送るとお金が掛かり、かなり割高になります。個別に返信があれば、無料でやり取りできますが、公式アカウントに登録後、返信があるとも限りませんし、一人一人を個別に相手していたら、時間をかなり奪われてしまいます。なので、顧客リストの数が増えれば増えるほど、頻繁に連絡を取ることが、LINEではしづらいんですよね。
Eメールの場合は、どれだけ送っても、月額の費用に含まれているので、毎日メールを送ることも可能です。
ということを踏まえると、「関係性を築く」ことに関して、効率面やコスト面を考えると、Eメールが一番良いんですよね。だから、新たなメッセージツールが出てきても、「やっぱりメール」と再注目されるんだと思います。こちらで紹介している方法でも、Eメールを推しています。
「購入前までにそこまで関係性なんていらない」「ついで買いなど、衝動的に購入される」などの低単価ビジネス(飲食系など)ならLINEの方が良いでしょう。