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『近代建築の五原則』を取り入れる工務店を選びたい理由
要約
- ル・コルビュジエにより提唱された『近代建築の五原則』は、ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面の5つから成り、これらの原則は建築物のデザインと機能性の向上を目的としています。
- 五原則は、建築物の構造やデザインに自由度をもたらし、利便性や居住性を高めることが期待されますが、日本の現代住宅に適用する場合は技術的な調整や文化的な適応が必要です。
- 五原則を取り入れる工務店を選ぶ利点は、不変的な本質に焦点を当て、自由なデザインと機能性を融合させた住まいを提供することにあります。これは、長期的に価値のある快適な住まいを保証し、住宅の本質的価値を重視するアプローチです。
著名な建築家『ル・コルビュジエ』により提唱された、『近代建築の五原則』という、新しい建築の5つの要点があるのですが、改めて読み解いてみたいなと思ってます。
そしてその『近代建築の五原則』を取り入れる工務店を選びたい理由についても解説しています。
近代建築の五原則とは
『近代建築の五原則』として、まとめられているその5つとは、
- ピロティ
- 屋上庭園
- 自由な平面
- 水平連続窓
- 自由な立面
からなります。
近代建築の五原則(きんだいけんちくのごげんそく)は、ル・コルビュジエにより提唱された近代建築の原則とされているが、 “Les 5 points d’une architecture nouvelle”からの誤訳であり、正確には「新しい建築の5つの要点」である。
wikipedia
その要素が、より完成度の高いものとして実現された「サヴォア邸」が竣工したのは、1931年です。木造よりも自由度の高い鉄筋コンクリート造です。
近代建築という言葉が使われてますが、もう80年以上も前の話です。原則の言葉をそのままで受け取ると、デザイン先行でデメリットと捉えられがちです。
なので、耐震や断熱などの技術志向が優先される、日本の戸建て住宅に当てはめて考えようとする方は、ほとんどんいないでしょう。・・・いや、世代的に50代以上の設計事務所なら多少の意識はしてるかもしれません(笑)
というか、80年以上も前の話ですよ。そのままで今の時代に合うわけがないでしょ(笑)
「サヴォア邸」をものすごく良い家とも思ってませんが、でも、この
- ピロティ
- 屋上庭園(テラス)
- 自由な平面
- 水平連続窓
- 自由な立面(ファサード)
は、コンセプトを構成する強烈な要素であることは間違いありません。
なので改めて、これらの考え方をひとつひとつ見つめ直し、本質を捉えた方が良さそうですね。
その本質を上手く取り入れられた時、日本の木造住宅にはデメリットと捉えられがちだったこの原則が、魅力へと変わるかもしれません。また、日本のガラパゴス住宅を打破する魅力的な設計ヒントが隠されているかもしれませんよ。
1.ピロティ
ピロティとは、2階以上の建物において、地上部分が柱(構造体)を残して外部空間とした建築形式、またはその構造体を指すことです。
ピロティが戸建て住宅にもたらすメリットは、そのピロティ部分に車を停めたり、外を感じながらも建物が屋根になり、扱いやすい空間として使えるなどが挙げられるでしょう。
フランス語で「杭」という意味の通り、柱だけで壁がない分、構造上弱いのは間違いありません。阪神大震災でも熊本地震でも、倒壊しやすい建物として取り上げられています。
でも、面積が少ない分、風や津波には強いようです。東日本大震災では、津波で多くの建物が流されましたが、津波の高さが4メートル未満だった地区では、ピロティ式住宅の多くが、比較的軽微な被害で済んでいたことが確認されているとのこと。
「ピロティ住宅」津波に耐えた 1階は柱、波の力受けず
東日本大震災の津波で多くの建物が流失した中、1階部分が柱のみの「ピロティ式」の建物は津波に強かったことが、日本建築学会東北支部長の田中礼治・東北工業大学教授らの調査で分かった。建物の構造によって津波から身を守れるのでは、と期待されている。
田中教授らは5月、仙台市若林区荒浜の約1200棟の建物を調査。4メートル以上の高さの津波が襲った地区では建物913棟がほぼ壊滅する一方、4メートル未満の波だった地区では301棟のうち289棟は屋根や柱などが残っていた。
このため、4メートル未満の波が襲った地区では建物の構造によって損壊状況に違いが出ると判断。青森県八戸市から宮城県山元町までの33カ所で、4メートル未満だった地域の建物を調べたところ、1階部分が鉄筋コンクリート(RC)の柱のみとなっているピロティ式住宅と確認できた11棟は、すべて住居部分が完全に残っていた。
ピロティ式住宅は、限られた敷地で、駐車場確保を目的に建てる人が多い。津波に耐えられたことについて、田中教授は「外壁がなく、津波のエネルギーを受けなかった」と分析する。
「ピロティ住宅」津波に耐えた 1階は柱、波の力受けず
私自身も被災地に行ったことがありますが、津波の被害を受けた普通の住宅でも、壁はもがれても柱は残っていたりしていました。
ある一面では弱く、ある一面では強い。
これは単に、現在の技術力では足りてないだけのことなので、柱の強度や揺れた時のチカラの逃し方が整えば、十分活用できると思います。ですが、木の柱では実現は難しいでしょうね。
なぜ、ピロティを設けたかったのか?
木造では構造上、難しいとしても、ピロティがあることで得られるメリットを突き詰めていくと、「外を感じながらも、プライベートな感覚を得られる空間」ということではないでしょうか?
建物部分が屋根になり、雨と日差しが遮られながら外を感じ、建物の境界内なので、どことなくプライベートな空間でもあります。つまり、ピロティ構造でなくとも、「外を感じながらも、プライベートな感覚を得られる空間」があることが、この部分の本質なのではと思っています。
日本の住宅で「外を感じながらも、プライベートな感覚を得られる空間」と言えば、「縁側」「中庭」がこの部分に当たる気がしますね。「土間」も近い感覚ですね。
2.屋上庭園(屋上テラス)
屋上庭園とは、屋上やベランダなどといった、建築物の上層部に造られた庭園を指します。
形状的に陸屋根になるため、水が溜まりやすいことで防水面を不安視する方もいらっしゃいます。ちゃんと設計する人は水が溜まらないよう流れる勾配をつけていますけどね。
たしかに一昔前は、防水シートやコーキングに頼った防水だったので、施工不良や経年劣化などによる雨漏りの心配が懸念されていました。ただ、最近では防水策として、軽量かつ強靭で耐水性・耐食性・耐候性に優れている金属防水も取り入れやすくなったため、屋上緑化や屋上リビングも増えています。
技術が進歩していても、シート防水と金属防水を一緒のものだと思い、頑なに否定する人もいたりしますが、防水レベルは全然違いますからね。とはいえ、雨漏りは屋根だけでなく、壁側も影響しますので、壁もちゃんと施工しないと意味がないです。
施工レベルが低い工務店は、陸屋根を諦めて、軒やケラバをしっかり出した屋根にするしかないですね(笑)
なぜ庭園(テラス)が屋上でなければならないのか?
本来、庭園やテラスは1階部分に有するものです。なのに、屋上に持っていくのはなぜなのでしょうか?
- 通常の家の広さでは足りず、屋根を平らにすることで、面積を増やしたかったから?
- 敷地いっぱいに建てることが良しとされていたから、1階部分に庭を設けられない?
- 1階だと人の目が気になったり、いたずらに侵されるリスクがあるから?
などが理由として考えられそうですね。
一応、緑化の省エネ効果もあるでしょうが、住宅という小さな規模にそこまでの効果はないでしょうし、1930年代当時に、省エネについてそこまで意識していたとは考えにくいですしね。
個人的には、ピロティと同じ本質を感じていて、「外を感じながらも、プライベートな感覚を得られる空間」として有効利用したいのだと捉えています。
「屋上を使う」という一見、有効的な方法に思いがちですが、勢いで作って最初は使ってたけど、周りの景色が良くはないし、屋上まで上がるのがだんだん面倒くさくなって使わなくなった。・・・なんてこともあるでしょう。屋上に上がるなんて、元々、体験してきていない動線なんですから、ずっと使い続けられる人はごく僅かな気がします。
それならば、屋上でなく、2階の動線として、ベランダ部分を充実させたほうが、「外を感じながらも、プライベートな感覚を得られる空間」として、充実しやすいですよ。これだと、片流れや切妻屋根でも実現可能ですからね。また、緑化でなくデッキでも十分です。
ピロティと屋上庭園を再構築するなら、1階にも2階にも「外を感じながらも、プライベートな感覚を得られる空間」を設けるということなのではないでしょうか。
そして、これは次項の「3.自由な平面」に繋がることですが、屋上がなければ狭いと感じる家のつくりにしないことも求められる気がします。
3.自由な平面
自由な平面とは、部屋の形や配置が構造から解放されることです。間仕切り壁などで自由に空間をつくれるようにすることですね。
外壁だけで構造を成り立たせ、内部の空間をオープンにすることは、木造の場合、かなり小さめの家でないと難しいです。梁成のバランスやそのたわみも考慮すると、支えるための柱も必要だったりします。
積み上げ式ではなく、逆算式で考える。
予算ありきの木造注文住宅の場合、自由な平面を成立させるためには、全体のボリューム(スケルトン)を決めた上で、その中をどのように使うかを、考えていくことです。逆算式ってことです。
なので、そのボリュームは出来る限り矩形である方がいいですし、どの壁は動かせてどの壁は動かせないのかなど、最低限構造を理解しておかないと、始まらないでしょう。構造を理解してない人が間取りを考える時って、「この部屋は何帖」という広さの積み上げ式で考えますからね(笑)
また、自由な平面を一言で言えば、「脱LDK」ですが、今は単なるオープンな間取りにするだけでは、 もうほとんど意味を成しません。
脱LDKが価値にならない理由
振り返ってみても、個室+LDKの間取り住宅の様に、誰でも建てられるごく普通の家で、結果を出せる人というのは、結局のところ、セールス力がある人や会社です。
それで、「そんな家づくりはおかしい」とか、「差別化しよう」ということで、オープンな空間による『脱LDK』を取り入れ、さらに、こんなことを掲げる会社は増えてきました。
(例えばの文言です。)
間取りを考える時、個室+LDKという間取りの考え方は、戦後のハウスメーカーや高度成長期の公団住宅が合理的に家を建てるために考えた間取りの考え方です。
家族構成にあてはめて、「寝室」「ダイニング」「リビング」「子供部屋」など、機能に合わせて部屋割りすると、すごく合理的です。ですが、実際そんな家に住んでみると、部屋はいくつあっても物があふれたり、子供が個室に閉じこもったりして、家族の団らんは失われます。
そんな型にはまった家づくりでいいのでしょうか?それぞれの家族に合うライフスタイルがあります。オープンな空間をつくって、家族の成長に合わせた変化に対応できるよう、自分らしい暮らしを実現しましょう。
ですが、こういうことは何とでも言えますし、オープンな間取りも誰でもつくれます。
『脱LDK』って設計手法の様に聞こえますが、本質的なところは違うんですよね。10年前ならまだしも、今は、単なるオープンな間取りにするだけでは、 もうほとんど意味を成しません。決して、脱LDKにしたらから家が売れるというわけではないのです。
なぜなら、住み手がついてこれていないからです。
リビ充も、脱LDK?
以前、リクルートが「2017年のトレンド予測」の住まいのトレンドキーワードとして、「リビ充家族」をキーワードに挙げていました。
「リビ充家族」とは、リビングを最大に広げて多用途に使い、空間は共有しながらも各々が充実した時間を過ごすことなので、『脱LDK』と同じ方向性でもあります。空間の共有化、空間の多機能化ってことですね。
多分、土地買って自由な設計で家を建てる戸建て派より、利便性を優先するマンション派の方が、広さを妥協する分、限られた空間を有効的に使おうという意識は高いのかもしれません。実際、リノベーションが流行った背景には、限られた空間をどう使いこなすかを一緒に考えたことも影響していると感じています。逆に、不動産会社が勝手にリノベーションしたものは、イマイチなのでは?
注文住宅の場合、狭小住宅でない限り、狭いと感じたら広げるという選択肢がある分、今ある空間を最大限に使おうという意識が低いんですよね。
この辺が、注文住宅で単なるオープンな間取りにしたところでは意味がない要因になってるんですよね。つまり、脱LDKを、価値へと変えさせるポイントでもあるのです。
脱LDKは、その意識の必要性から、全員に受け止められるものでもありません。つくり手側も、住み手側も、考えない人には無理ということです。だけど、考えることで差が生まれ、価値になるわけですからね。考える家づくりは大事ですよ。
4.水平連続窓
水平連続窓とは、横長の窓や連窓を設け、建物内部を一様に明るくするということです。
もちろん、窓は耐力壁にはなりませんので、構造とのバランスも必要になります。ですが、先に構造ばかりを意識して、壁ばかりになれば、それはそれで暗い上に狭さも感じる空間になりかねません。
窓と構造を併用するには、「FIX窓+鉄筋ブレス」という組み合わせが、割りと使えます。でも、できれば、窓そのものが耐力壁になればいいので、サッシメーカーの今後の技術に期待したいところです。
窓の役割として求められていたこととは?
1930年代当時、窓の役割として求められていたことは、光と風をどのように取り入れるか?そして、開放感だと思われます。暗い家はそれだけで家の魅力が半減してしまいますし、開放感の有無は同じ床面積でも大きく印象が異なります。
ですが、明るさや開放感のために、外部に大きな窓を設ければ、人の視線も気になり、結局、カーテンやブラインドで隠すことになります。せっかくの南側に面した大きな窓なのに、カーテン閉めっぱなし状態の残念な窓は、この世にたくさん存在しています。これでは窓の意味がありませんよね?
安易にただ窓を設けるだけなら、誰にでもできます。「周りの環境も踏まえ、どのように取り入れるか?」最低限そこを考えた上で、窓やその窓に絡む設計を意識しないと、魅力的な家にはならないですね。
5.自由な立面(ファサード)
自由なファサードとも呼ばれ、特に建物の正面を自由にデザインできるようにする。ということです。
もちろん、木造である以上、構造とのバランスで、窓の位置などは制限があるので、完全に自由とはいきません。デザイン住宅に多い傾向では、陸屋根や庇を省いたりという、余計なものを省いてシンプルなカタチにしたいケースが多く見受けられます。これはこれで、雨漏りのリスクもありますが・・・
なぜ、ファサードを自由にしたかったのか?
そもそも、なぜファサードを自由にしたかったのでしょうか?
ファサード、つまり建物の正面は、家の第一印象にも直結する部分なんですよね。なので、デザイン性を高く、見た人の心をつかむキャッチーなものにしたいからこそ、自由度を求めたのかもしれません。たしかに、ファサードがダサい家は、家の中もダサく見えます。
これは、外構まで繋がる話なので、魅力的な家にするには、アプローチを含めたファサード(建物の正面)のデザインレベルを高める必要があります。
とある建築家は、建物の立面パースを描く時、アプローチを含めたファサードが一番良く見えるように描き込んでいたりします。写真も同じことが言えますよ。
一般の方が最初に心を動かすのはわかりやすい見た目
コルビュジエは意匠系の建築家なので、提唱した「新しい建築の5つの要点(近代建築の五原則)」は、意匠が優先されるお話です。しかも、80年以上も前の話です。
ですが、本質を捉えることで、今の時代に沿った取り入れ方ができるのではないでしょうか?まとめると、個人的にはこんな感じです。
- ピロティ→外を感じられるプライベートな空間(1階)
- 屋上庭園(テラス)→外を感じられるプライベートな空間(2階や屋上)
- 自由な平面→構造と脱LDK
- 水平連続窓→明るさと開放感と視界
- 自由な立面(ファサード)→外構まで含めた外観デザイン
こんな風に捉えると5つの要素を全部、取り入れられますよね?
もちろん、わかっていてもできないという次なる壁が出てくるでしょうけど、私が今コンセプト住宅として提案している内容は、この要素が全部含まれています。
いつだって一般の方が最初に心を動かすのはわかりやすい見た目です。小難しい技術で心が動くのは精通している人だけですからね。
Casa BRUTUS特別編集 最新版 建築家ル・コルビュジエの教科書。
上記の記事内でも、本誌の写真を引用させてもらっています。サヴォア邸は4ページしかありませんが、コルビュジエの他の設計も特集されていますよ。(2016年7月に発売)
Casa BRUTUS特別編集 最新版 建築家ル・コルビュジエの教科書。 (マガジンハウスムック)
『近代建築の五原則』を取り入れる工務店を選びたい理由
近代建築の五原則はル・コルビュジエにより1927年に初めて表現されました。その原則は、彼の作品や有名なフランスの邸宅、サヴォア邸など、世界遺産にも登録されている様々な作品に見ることができます。しかし、これらの原則を採用する工務店を選ぶことにはどのような利点があるのでしょうか?
不変的な本質にフォーカスしているから
近代建築の五原則は、その本質的な考え方が現代の住宅設計にも適用可能であるという点で、特に重要です。例えば、ピロティや自由な平面、水平連続窓などの原則は、建築物の機能性と快適性を高め、住む人の生活を改善する目的で設計されました。これらの原則を理解し、適切に使用する工務店は、住宅の本質的な価値を重視し、長く住む家をつくることが可能です。
また、これらの原則はモダニズム建築の主要な項目であり、それらを採用することは、住宅が時代を超えて価値を保つことを可能にします。そのため、近代建築の五原則を理解し適用する工務店を選ぶことは、未来にわたって快適で価値のある住まいを保証する一方で、長期的な視点からの投資としても理想的です。
自由なデザインと機能性を融合してくれるから
近代建築の五原則は、デザインと機能性の両方に重点を置いています。例えば、自由な立面の原則は、外観デザインの自由度を高めるだけでなく、内部の空間利用にも影響を与えます。これにより、住む人のライフスタイルやニーズに合わせて、内部空間を自由に設計することが可能になります。
このように、近代建築の五原則を理解し採用する工務店は、住宅のデザインと機能性の両方を高めることができます。これは、住む人が自分のライフスタイルに合った住まいを手に入れるための重要な要素であり、そのために近代建築の五原則を取り入れる工務店を選ぶことは有意義な選択と言えるでしょう。