小さな工務店は商品(住宅)を主役にすると失敗しやすい

2013年、グラスウールメーカーのマグ・イゾベールが、アニメを起用したPR動画をウェブサイト上で公開しています。

マグ・イゾベール株式会社(東京都千代田区 代表者:フランソワ・ザビエ リエナール)は、自社のブランドキャラクターを勤める「ベールちゃん」のアニメ動画「断熱戦士ベールちゃん」をリリースいたしました。

冷暖房の効率化による暮らしの節約、家の中と外との過度な温度差による健康被害へのケア。大切な人と長い時間を一緒に過ごす家のことだから、少しの積み重ねが実はとても大切です。
壁の中の断熱材(グラスウール)が果たす大切な役割を、より多くの人にわかりやすくお伝えしたい。


そんな思いから生まれた自社ブランドキャラクター「ベールちゃん」。これまではホームページやTwitterやFacebook、イベント会場等で活動しておりましたが、この度アニメ動画としてデビューすることになりました。

マグ・イゾベール株式会社のブランドキャラクター「ベールちゃん」がアニメに!?「断熱戦士ベールちゃん」アニメ動画リリースのお知らせ
小さな工務店は商品(住宅)を主役にすると失敗しやすい
アニメ動画で高断熱のメリットをPR

企業の目的は、消費者に対して、「親しみやすいキャラクターを使ってアニメ仕立てにすることで、省エネの手法をわかりやすく説く。」らしいのですが・・・

いつの間にか消えてましたね・・・

目次

伝える側が理解していない「商品が主役」のプロモーション

このようなキャンペーン企画のほとんどは、すでに付き合いのある広告代理店からいくつか提案を受け、その中から選ぶケースが多いですね。そして最終的に、事業部長やマーケティング責任者が内容を決定していきます。

当然ながら、事業部長やマーケティング責任者は、商品に対しての思い入れが強いため、

  • 「もっと商品を前面に出して、強くアピールできないのか?」
  • 「他社商品との違いを、もっと明確に打ち出せないか?」
  • 「何度もサイトに来てくれる仕掛けをつくれないか?」

など、商品を愛するがゆえの主張や要望がでてきます。そして、それを請け負う代理店側は、お客様である企業の要望に応えるべく、作業を進めていきます。(本来は代理店側がここで気付くべきなのですが・・・)

その結果・・・よくある「商品が主役」のプロモーションができあがり、そして失敗していきます。

商品力が乏しければ、なおさら失敗する確率は高まります。

消費者は、商品に対しては無関心である。

消費者は、その商品が他の商品と比べて、明確な違いを見抜けるほど、知識があるわけではありません。さらには、メーカー・企業側と同じくらい、その商品のことを考えるてるわけでもないですし、発売を待っているわけではありません。

いわゆる、無関心です。というより、身近にある他の課題や出来事で、関心を持っていられないという方が近いかもしれません。

ですが、メーカー・企業側は、商品のことを愛しています。さらに、開発から携わっていると、愛着は半端なものではないでしょう。46時中ずっとその商品のことを考えているでしょうし、競合商品と比べて何がどう優れているのか、独自の強みもあることでしょう。

さらには、「使ってもらえさえすれば、必ず満足してもらえる」と強く信じています。良い商品を作っているところほど、こういった熱い傾向が強いのではないでしょうか。

このように、買い手と売り手との間にある”温度差”が、失敗へとつながる要因でもあるのです。

やはり大事なのは「消費者の視点」

物が不足していた時代であれば、商品力で売れていましたが、そんな時代はもう終わっています。市場には、選べないほどの商品やサービスが存在し、それに比例して、関連する情報もあふれています。にもかかわらず、

「いい家をつくれば売れる」
「いいデザインをすれば売れる」

などの商品力で押しているところは多いですね・・・

自分が消費者の立場だったらどう思うだろう?

売り手側でありながら、いち消費者としての消費者感覚。そこに大きなヒントが眠っていますね。住宅は主役でなくていいんです。

工務店がPR活動を考える際の大事な視点

PR活動を考える際には、商品自体を前面に出すのではなく、お客様が本当に求めているものは何か、その視点を持つことが大切です。

お客様のライフスタイルを理解する

お客様がどのような生活を送りたいのか、どのような価値観を持っているのかを理解し、それに合わせた提案をすることが重要です。例えば、エコロジーを重視するお客様に対しては、省エネルギーの家づくりや自然素材の利用などをアピールすると良いでしょう。

お客様の問題解決に焦点を当てる

お客様が抱える問題や悩みを解決するための提案をすることが求められます。例えば、子育て中のお客様に対しては、子供が安全に遊べる空間の提案や、家事効率を上げるための間取りなどを提案すると良いでしょう。

お客様の感情に訴える

お客様が家づくりを通じて得たい感情や体験に焦点を当てることも重要です。例えば、新築の家で新しい生活を始める喜びや、家族との時間を大切にする温かさなどを伝えることで、お客様の心に響くPRができます。

信頼と安心を提供する

工務店としての技術力や信頼性をアピールすることも大切です。施工例や顧客の声を活用し、自社の信頼性を証明することで、お客様からの信頼を得ることができます。

地域とのつながりを強調する

地域密着型の工務店であれば、その地域への愛着や地域とのつながりを強調することも有効です。地域の風土や文化を尊重した家づくりを提案することで、地域のお客様からの信頼を得ることができます。


これらの視点からPR活動を行うことで、商品自体を前面に出すのではなく、お客様の視点に立ったPRが可能となります。そして、それが結果的にはお客様からの信頼となり、長期的な工務店経営の成功につながるでしょう。

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