アイデアは距離を超える!住宅デザインもクラウドソーシングの時代が来た。

元々、設計事務所は、依頼先の場所を左右されない強みがあるため、交通費のネックが解決されれば、全国相手に仕事ができます。

その交通費を提携工務店に負担させ、設計事務所の良さを引き出す仕組みを作ったのが、アーキテクツ・スタジオ・ジャパンでした。(結局は、施主負担になっているのかもしれませんが・・・)

最近では、ネットの活用が進み、設計やパースなど設計事務所の仕事の、アウトソーシングやクラウドソーシング化が進みつつあります。会っての打ち合わせや監理を省けば、設計やデザインを提供することが可能になってきているのです。

建築設計分野に特化したクラウドソーシングサイトと言えば、下記の2つが挙げられます。

目次

Cloud Design(クラウドデザイン) ※現在、閉鎖しています。

アイデアは距離を超える!住宅デザインもクラウドソーシングの時代が来た。

『Cloud Design』は、建築の仕事の依頼や提案をしたい、建築専門家、デザイナー、 建築関連の会社をマッチングしてインターネット上で直接仕事の取引が出来る、「建築特化型クラウドソーシングサービス」です。

ハウスメーカーから工務店、建売業者、不動産仲介業者、設計事務所、店舗オーナー等多くの人が利用し、依頼内容も住宅プラン、 店舗デザイン、C G パース、設計図、意匠図、役所調査、現場調査、模型製作、 プレゼン作成、インテリアデザインプラン等、多岐にわたります。

「Cloud Design」では“コンペ方式“と“プロジェクト方式”、2種類の仕事が用意されており、登録されている方なら提案(受注)と依頼、 どちらでも利用することが出来ます。提案したい方にとっては自分の時間やスキル・経験に合わせたお仕事を、依頼したい方にとっては、 予算や納期に合わせたお仕事が可能になります。

「Cloud Design」は建築業界の『新しい働き方』を応援し、より多くの建築専門家にお仕事機会をご提供していくために日々、邁進してまいります。

建築に特化したクラウドソーシングサイト「Cloud Design(クラウドデザイン)」

STUDIO UNBUILT(スタジオアンビルト)

アイデアは距離を超える!住宅デザインもクラウドソーシングの時代が来た。

STUDIO UNBUIT(スタジオアンビルト)は、インターネットだからできる新しい建築のつくり方を提供するウェブサービスです。
家づくりに興味のある方が建築家に気軽に住宅設計の依頼や相談をしたり、専門家同士が外注、委託先を探すことができるサイトです。
全国の建築家、構造設計者、設備設計者、インテリアデザイナー、パース制作者、模型製作者、CADオペレーター等、あらゆる分野の建築専門家にインターネットで気軽に、素早く仕事を依頼できます。
仕事の進行管理から契約、報酬の支払いまでネット上で完結できるのが特徴です。
そのため、手軽に建築家からデザイン案をもらったり、パース制作者にスケッチやCGを描いてもらったり、図面屋さんに図面をお願いしたりすべてをパソコン一つで依頼できます。
同時に設計プラン作成から図面一枚、ちょっとした相談まで、様々な大きさの仕事をネットで受注できる環境をつくることで、建築家の営業ツールとして、個人の建築スキルを持った人が自分らしく働く場として、多くの“つくり手”がものづくりに参加できるようになります。
スタジオアンビルトはインターネットだからできる新しい時代の建築づくりを通して様々な課題に取り組み、社会の発展と建築のつくり手や利用者の幸せに貢献すること目指しています。

建築設計分野に特化したクラウドソーシング「STUDIO UNBUILT」

両サイトとも、会員登録、仕事登録、年会費は無料ですが、成立後の費用に多少の違いがあるようです。

  • Cloud Design:仕事が成立した場合のみ依頼金額に関係なく一律10%のシステム利用料が発生。
  • STUDIO UNBUILT:メンバー(受注者) は依頼金額の15%。

登録者数や利用者が増えれば、クオリティや価格破壊といった懸念もありますが、建築関連の仕事を依頼したい人と受注したい人の良いマッチングが生まれそうです。きっと、BtoCよりBtoBに需要がありますよ。

Cloud Designの事例にあるように、店舗からの依頼もありますね。

建築専門家と店舗開業オーナーをマッチング! 300万でゼロから造る!理想的なローコスト店舗をプロデュース!!

設計事務所からすれば・・・空いている時間などを上手く使い、仕事を獲得することも可能です。プランニングが得意、パースが得意という人は上手く活用できそうですよ。

工務店からすれば・・・地元のよくわからない設計事務所に頼むより、良いデザインや設計を頼める可能性が高いですね。

この辺は海外の方が先駆けている

イタリアではすでに、cocontestという、建築家やインテリアデザイナーに、リフォームプランを提案してもらえるクラウドソーシングサイトがあります。(現在は、GoPillarとなっています。)

アイデアは距離を超える!住宅デザインもクラウドソーシングの時代が来た。
cocontest

イタリア語はもちろんのこと、英語・スペイン語にも対応しているため、世界中の建築家やインテリアデザイナーから、良いデザイン案を得ることができます。

登録ユーザーは、部屋の写真や間取り図をアップロードし、現状の様子や叶えたいイメージ、予算などを登録します。そして、建築家やインテリアデザイナーとやりとりを進めていくというものです。

クラウドソーシングが進むと、住宅も複数人でつくる時代になる!?

クラウドとは群衆を指す言葉であることから、本来はひとつのプロジェクトを複数人で解決してくというものです。

今ある建築系のクラウドソーシングは、受注者が1人だけというアウトソーシングに近いモデルですが、もしかしたら今後は「複数人で家を設計する」という可能性もあるかもしれません。

例えば、キッチンの専門家、寝室の専門家、玄関、外構、インテリアなど、それぞれのスペースを複数人の専門家で設計・デザインしていくのです。しかも、ネット上で。ただ、デザイナーは皆、我が強いので、それを取りまとめる役割の人が必要でしょうけど(笑)

クラウドソーシングにより住宅がつくられていく時代は、確実に広がっていきます。アイデアは距離を超えますね。

現実的には、プランに価値を感じる人が少ないため普及は厳しそう

クラウドソーシングの利点は多岐にわたりますが、現実的には、プランに価値を感じる人が少ないため、普及が厳しいというのが現状です。例えば、プランに関しては以下のような問題があります。

同業他社からプランをパクられる。

良いプランは、同業他社がすぐにパクります。あからさまでなくても、パクった上で微妙に変えてたりもします。オリジナルの良いプランは他社によって模倣されるため、価値がなくなってしまいます。

以下のような訴訟は珍しいケースです。

「BESS」ブランドの木造住宅を展開するアールシーコア(東京・渋谷)が、自社のデザインを模倣したとしてマキタホーム(鳥取市)を訴えた裁判で、東京地方裁判所は2020年11月30日、マキタホームの意匠権侵害を認めて、販売の差し止めや賠償金約85万円の支払いを命じる判決を下した。両社ともに控訴期間の20年12月13日までに控訴せず、判決が確定した。

住宅デザイン模倣で賠償命令、東京地裁が意匠権侵害と判断

工務店や住宅会社が無料でプラン提案をする

多くの工務店や住宅会社が、顧客獲得のために無料でプラン提案を行っています。これにより、一般の顧客は、プランが無料で提供されるものという認識を持つようになります。その結果、プランに対する価値認識が低くなり、クラウドソーシングを利用して有料でプランを依頼することに対する抵抗感が生まれています。

簡単に間取りを作れるツールで、一般の人も自分で間取りを作り、勘違いする。

近年、簡単に間取りを作成できるツールが普及しています。これにより、一般の人も自分で間取りを作成することができます。しかし、間取りだけでは住宅設計の全体像を把握することはできません。専門的な知識がないため、間取りだけで住宅設計が完結すると勘違いすることがあります。

プランの価値が何なのか情報不足で、理解されていない。

プランの価値は、専門的な知識を持つ建築家や設計士が提供するものです。しかし、一般の顧客にとっては、プランの価値が抽象的であるため、その重要性を十分に認識できないことがあります。その結果、クラウドソーシングを利用してプランを依頼することに対するハードルが高くなっています。


これらの問題を解決するためには、プランの価値を伝えことが必要ですが、ハードルは高いでしょうね。実際、上記で紹介した1社は撤退しているわけですから・・・

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