住宅にとって建築は毒にも薬にもなる。工務店経営者の「建築」との向き合い方とは?

TEDでの建築トークのマーク・クシュナーによる「あなたが作る建築の未来」の内容なのですが、こういう考えは住宅にとっては毒だなと思ってしまいました。

目次

マーク・クシュナーによる「あなたが作る建築の未来」

マーク・クシュナーは建築とは計算や都市計画ではなく、理屈抜きの感情であると言います。大胆でユーモアに富んだ講演の中で、クシュナーは過去30年間の建築の歴史を駆け抜け、一度は遠ざかってしまった大衆が、どのようにしてデザインの過程に必要不可欠な存在になったのかを語ります。ソーシャルメディアのおかげで、建築家たちは数年先の建物の完成を待たずして、設計した建物の感想を耳にすることができるようになりました。その結果はいかに?建築がかつてないほど私たちに近い存在になります。

17:00
牛が私たちの建物を建てようが ロボットが建てようが関係ありません 大切なのは方法ではなく 何を建てるかということです 建築家たちが心得ているのは 環境に優しくて 賢くて 友好的な建築方法です あとは皆さんに 興味を持っていただくだけです そして最後に 私たち建築家は 今や身近な存在です 建築家を探して 是非 雇ってください より良い建物 より良い街 より良い世界を一緒に作りましょう やり甲斐があります 建物は 私たちの社会を映すだけではなく 社会を作ります 小さな空間から 地方の公立図書館 私たちの子供を育てる家 自分の部屋から バスルームに向かう廊下まで

マーク・クシュナー: あなたが作る建築の未来

牛が私たちの建物を建てようが ロボットが建てようが関係ありません 大切なのは方法ではなく 何を建てるかということです

・・・こういう考えは、住宅に持ってきてほしくないですね。プロセス(過程)や「誰と建てる」という人の価値が、まったく感じられないので。

映像を見ていて、「結局はモノかよっ!」「子供の頃、自分の部屋も家も大嫌いになった経験なんて関係ないじゃん。」と突っ込みたくなるところです。

こういう考えが広まるから、建築に染まりすぎて、「良い設計すれば・・・」と、設計側のひとりよがりになるんですよね。

住宅にとって建築は、毒にも薬にもなると思ってます。

プレゼンしているマーク・クシュナーは、建築サイト「Architizer」の共同設立者とのことですが、こういうサイトをつくる考えなら、「何を建てるか」という考えになるのもしょうがないですね・・・

住宅にとって建築は毒にも薬にもなる。工務店経営者の「建築」との向き合い方とは?
http://architizer.com/

工務店が「建築」を薬的に取り入れるには?

1. プロセスと人を大切にする

クシュナーの考えが「何を建てるか」に偏っていると感じるなら、工務店は「どのように建てるか」と「誰と建てるか」に焦点を当てることができます。顧客とのコミュニケーションを密にし、そのニーズやライフスタイルに合った建築プロセスを提案することで、顧客にとっての「薬」になる建築を提供できます。このプロセスでは、顧客がどのような生活を送りたいのか、どのような価値観を大切にしているのかを理解し、それに基づいて設計や施工を行います。これにより、単なる建物ではなく、顧客の人生そのものを豊かにするような空間を創造することが可能です。

2. 地域性と環境への配慮

地域の文化や環境に合わせた建築を行うことで、ただ単に「良い設計」ではなく、地域に根ざした価値を提供できます。これは、大手建築会社や一般的な建築家が見過ごしがちな部分であり、工務店ならではの強みです。地域の歴史や風土をリサーチし、それを反映した建築デザインや材料選びをすることで、地域社会に貢献しながらビジネスも展開できます。

3. 持続可能な建築

環境に優しい建築は、今後ますます重要になるでしょう。工務店が持続可能な素材やエネルギー効率の高い設計を提供することで、顧客にとっても社会にとっても「薬」になる建築を作ることができます。持続可能な建築には、エネルギー消費を抑える設計や、再生可能エネルギーの導入、地元で生産された材料の使用など、多くの側面があります。これらを組み合わせることで、長期的に見ても維持コストが低く、環境にも優しい建築を提供できます。

4. アフターケアと長期的な関係性

建築が完成した後も、メンテナンスやリフォーム・リノベーションの提案を行うことで、顧客との長期的な関係を築くことができます。これは、建築が単なる「モノ」でなく、「サービス」としての側面も大切にするという考え方です。定期的なメンテナンスを提案することで、建物の価値を維持しつつ、顧客との信頼関係を深めることができます。


以上のように、工務店が「建築」を薬的に取り入れるためには、多角的な視点と独自の価値提供が必要です。これにより、ただ単に「何を建てるか」ではなく、より深い意味での良い建築を提供することができるでしょう。

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