家づくりにおける「専門店」と「コンビニ」。小さな工務店は専門店を目指した方が良い理由

先日放送されたフジテレビ系『教訓のススメSP』で、ダウンタウンの松本さんが、「テレビって何ですか?」という質問に対して、こんな風に答えていました。

目次

「テレビって何ですか?」

  • テレビは二極化している。1個は専門店。ダウンダウンはお笑いの専門店。
  • お笑いの専門店になっちゃった。笑いを面白いことを追求してきたから、ダウンタウンは専門店になっちゃった。
  • おばちゃんとか普通の人は、「ダウンタウンの番組って専門店でしょ」ってことで観ない。
  • 今のテレビの人達が求めてるのはコンビニ。あれもあるしこれもあるし。
  • 何か目的ないけど、「行ったら何か置いてある」っていうコンビニ。この2つ。
  • 確実に言えることは、専門店がなくなったら、コンビニもなくなる。近い将来。
  • だから、コンビニと専門店のバランスを保たないとテレビはいけない。
  • ダウンタウンは今さらコンビニにはなれない。専門店をまっとうするしかない。
  • マツコ・デラックスや坂上さんはコンビニを全うしていったらいい。
家づくりにおける「専門店」と「コンビニ」。小さな工務店は専門店を目指した方が良い理由

普段ボケている人が、真面目なことを語ると、しっかり考えてるんだという気になりますね。

「専門店」と「コンビニ」という表現

”専門店”と”コンビニ”という二極化、どの業界でも浸透してきている気がします。やはり、こだわる人は、専門店に行きますよね。

住宅で言うなら、

  • そこまで棟数はこなさないけど、専門的で方向性がわかりやすい。
  • それなりに棟数をこなしていて、とりあえずひと通りできて、当り障りがない。

この二極化でしょうか。逆にこれから外れると、よっぽど優れてない限り、難しい気がします。だから、小さな会社こそ、以前書いた以下の記事の工務店のように、専門店になるべきですね。直感的なことですが、住宅の場合、年間20棟ぐらいまでだと、専門店で十分だと感じています。

逆に、何でもできるというスタンスは、競合と当たった時、専門的チカラで勝てないと、結局、割安感などの価格勝負になってきますからね。

なので、大半の会社には、専門店をオススメしますが、気を付けなければいけない落とし穴もあるのです・・・

専門店の落とし穴

ダウンタウンの松本さんがテレビで語った専門店とコンビニの比喩は、工務店経営にも非常に参考になるものです。専門店としてのビジネスモデルは多くのメリットを持っていますが、その一方で注意しなければならない落とし穴も存在します。以下で、その主要なポイントとそれに対する具体的な対策を詳しく解説します。

1. 過度な専門性が敷居を高くする

専門店として成功するためには、その分野での深い知識とスキルが必要です。しかし、その専門性が高すぎると、特長ばかり伝え、小難しくなってしまい、一般のお客様が近寄りにくくなるのがオチです。学者や大学の教授が、小難しく話をしているのがいい例です。専門用語や高度な技術を前面に押し出してしまうと、敷居が高くなってしまうのです。「わからないなら別にいい」と足切りするか、わかるように伝えるかは、別れどころになりますね。

対策:

  • 専門用語を使う場合は、必ず一般的な言葉での説明を加え、わかりやすく伝える。これにより、専門性が高いと感じられる敷居を少しでも下げることができます。
  • 顧客とのコミュニケーションで、専門性を優れたサービスとしてではなく、顧客の問題解決の手段として提示する。これが、顧客が専門店を選ぶ最大の理由ですから。

2. ニッチすぎると市場が狭まる

専門店として特定のニーズに特化することは良いことですが、あまりにもニッチすぎると、市場自体が狭くなってしまいます。結果として、ビジネスの拡大が難しくなる可能性があります。特に、地域によっては需要が限られている場合、この問題は深刻です。

対策:

  • 専門性を維持しつつ、その周辺のサービスや商品も少しずつ取り扱う。これにより、より多くの顧客層にアプローチできます。
  • 顧客層を広げるためのマーケティング戦略を考える。例えば、オンラインマーケティングを活用して、商圏を広げていくなど。

3. 専門店イメージが固定化すると変化が難しい

一度専門店としてのイメージが確立すると、それ以外のことをやろうとすると、顧客からの抵抗があるかもしれません。これは、ブランドイメージが固定化してしまうと、新しい取り組みが受け入れられにくくなるという問題です。

対策:

  • 顧客に対して、新しい取り組みやサービスを柔軟に提供する姿勢を見せる。これが、企業が持続的に成長するためには不可欠です。
  • 専門店としての強みを活かしつつ、新しい分野にも挑戦する勇気を持つ。これにより、ビジネスの多角化と持続的な成長が可能になります。

4. 専門性が高いが故のコスト

専門店として高品質なサービスや製品を提供するには、それなりのコストがかかります。そのコストを顧客に理解してもらい、価格設定に反映させる必要があります。

対策:

  • 高い価格設定になる理由を透明にし、顧客に説明する。これにより、価格に対する顧客の理解が深まります。
  • 専門性がもたらすメリットを明確にし、それが高い価格に見合う価値があると顧客に理解してもらう。これが成功すると、価格以上の価値を提供していると感じてもらえます。

それでも、小さな工務店は専門店を目指した方が良い理由

専門店としての道を選ぶことは、当然ながら、一長一短、リスクとチャンスがセットになります。しかし、それでも、小さな工務店は専門店を目指した方が良いです。

1. ブランド力の強化

小さな工務店が専門店になることで、その特定の分野での知識やスキルが高まります。これにより、ブランド力が強化され、顧客からの信頼も高まるでしょう。大手企業にはない、独自の価値を提供できるようになります。特に、専門性が高まることで、その分野でのリーダーとして認知され、顧客が自然と集まってくる可能性が高くなります。

2. 顧客の高い満足度

専門店としてサービスを提供することで、顧客のニーズにより密着したサービスが可能になります。これにより、顧客の満足度が高まり、紹介や口コミでの新規顧客獲得が容易になります。高い満足度は、長期的な顧客関係を築く基盤ともなり、安定した経営を支える要素となります。

3. 競争力の向上

専門店としてのスキルと知識は、他の一般的な工務店とは一線を画します。これにより、特定のニーズを持つ顧客から選ばれやすく、競争力が向上します。特に、専門性を活かして独自のサービスや製品を開発することで、他社とは差別化された価値を提供できます。

4. 効率的なマーケティング

専門店としての明確なポジショニングは、マーケティング活動を効率的に行う上でも有利です。ターゲットとする顧客層が明確なため、広告やプロモーションの方向性がはっきりします。これにより、無駄な広告費を削減し、ROI(投資対効果)を高めることが可能です。

5. 高い付加価値での価格設定が可能

専門性が高いため、それに見合った価格設定が可能です。顧客もその価値を理解しやすく、価格に対する抵抗が少なくなります。さらに、高い専門性は、顧客が納得する価格帯を広げる可能性もあり、利益率の向上にも寄与します。

6. 持続可能なビジネスモデル

専門店として確立されたブランドと顧客基盤は、持続可能なビジネスモデルを築く基盤となります。市場が変動しても、その専門性によって顧客から選ばれ続ける可能性が高いです。これは、不確実な経済状況下でも安定した経営を可能にします。

7. 地域社会への貢献

特定のスキルやサービスで地域社会に貢献することができます。これが評価されれば、地域社会からのサポートも期待できます。地域社会との良好な関係は、新しいビジネスチャンスをもたらすだけでなく、企業の社会的信用も高めます。

8. 人材の確保と育成

専門店としての明確なビジョンと方針は、人材の確保と育成にも寄与します。専門スキルを持つ人材が集まりやすく、また、その人材を育成する文化も根付きやすいです。これにより、長期的に高いパフォーマンスを維持することが可能になります。


専門店には確かに落とし穴もありますが、それをうまく乗り越えれば、小さな工務店でも大きな成功を収めることが可能です。専門店としての道を選ぶことで、多くのメリットとチャンスが広がっています。

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