強みもターゲット層もわからない住宅会社の末路。小さな工務店ほど、強みとターゲットの明確さが必須な理由

2011年8月、ヤマダ電機が中堅ハウスメーカー「エス・バイ・エル」を買収し、住宅事業に参入してきたのは、住宅業界内でもニュースになりました。

省エネ性能の高いエアコンやテレビなどの家電製品、家庭向けの発電・蓄電装置、電気自動車(EV)を組み合わせた住宅を提案していくということでしたが・・・

肝心の住宅は売れてないようですね。

強みもターゲット層もわからない住宅会社の末路。小さな工務店ほど、強みとターゲットの明確さが必須な理由
ヤマダ・エスバイエルホーム
目次

ヤマダ電機、住宅事業の高い目標に湧く疑問「5年で売り上げ3倍」計画が無茶に見えるワケ

家電量販業界の巨人、ヤマダ電機。郊外型の「テックランド」、都市型の大規模店「LABI」のほか、傘下のベスト電器やマツヤデンキなどを含めて、グループ全体で国内に約4400店のネットワークと売り上げ約1.7兆円(2015年3月期見込み)を誇る圧倒的な存在だ。

そのヤマダ電機グループを持ってしても、さっぱり振るわないビジネスがある。住宅事業である。

<中略>

2013年12月に設立した「ヤマダ・ウッドハウス」という住宅子会社の事業拡大計画にも疑問符が付く。1坪(3.3平方メートル)あたり「28.8万円~」というローコスト住宅を供給し、今後、毎年30店舗を増やすとしている。今後5年で売上高1140億円を目指すというが、ヤマダ・ウッドハウスの2014年度売上高は約5億円に過ぎない

ヤマダ電機、住宅事業の高い目標に湧く疑問「5年で売り上げ3倍」計画が無茶に見えるワケ

ぱっと見、業界目線でいくと、住宅という箱ものだけでなく、家電や車まで提供できることは、凄い強みと思われがちですが・・・

結果論にはなりますが、こういうことに、お客さんはたいして魅力や価値を感じていなかったということです。

強みもターゲット層もわからない住宅会社の末路

「ヤマダS×L」の強みって何でしょうか?他のハウスメーカーと比べて、何が違うのでしょうか?また、ローコスト住宅を提供している「ヤマダ・ウッドハウス」の強みって何でしょうか?他のローコスト住宅を比べて、何が違うのでしょうか?

正直、ホームページ見ても、伝わってこないんですよね。

元々、エス・バイ・エルは、デザイン性や耐久性に優れた商品力に定評があったと言われていますが、デザインも悪くはないだけで特別素晴らしいわけではなかったですし、耐久性ってどこも同じようなこと言ってるわけで・・・

家電といってもオリジナル商品ではなく、量販店ですから、家電とセットというイメージもたいして他社と差がないですよね・・・

強みもわからずターゲット層も不明確まま、チラシを3000万部打ったところでたいした効果がでないのは、結果として当然ですよね。

追記

案の定この結果でした。

まったくもって、“お粗末な”決算だった。

ヤマダ電機傘下の住宅メーカー、ヤマダ・エスバイエルホーム(以下、ヤマダSXL)は4月19日、2018年2月期の通期決算を発表した。

売上高は前期比12.6%増の491億円と増えたものの、営業利益は9.6億円の赤字(前期は6000万円の赤字)と2期連続の損失を計上。一方で連続営業損失を機にこれ幸いと住宅展示場などを減損したこともあり、当期純益は27.5億円の赤字に膨らんだ。

ヤマダSXL、名門住宅メーカーが落ちた泥沼

2018年9月1日付で簡易株式交換によりヤマダ電機の完全子会社となった。同年10月1日付で、ヤマダ・エスバイエルホームを存続会社とし、同じくヤマダ電機の完全子会社であったヤマダ・ウッドハウス、ならびにヤマダ・エスバイエルホームの子会社であったハウジングワークスおよびエス・バイ・エル住工を吸収合併した上で、商号を株式会社ヤマダホームズへ変更した

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA
強みもターゲット層もわからない住宅会社の末路。小さな工務店ほど、強みとターゲットの明確さが必須な理由

ちなみに、ヤマダS×LのWebサイトのURLだった「https://sxl.co.jp/」は、関係のないどこぞのWEB制作会社が、SEO狙いで取得して、自社サイトのドメインで使ってます。

小さな工務店ほど、強みとターゲットの明確さは必須

ヤマダ電機の住宅事業の挑戦は、大手企業が新しいビジネスに参入する際の難しさを如実に示しています。この大手の挑戦から、小さな工務店にとっても非常に重要な教訓を引き出すことができます。

限られたリソースを最大限に活用する

小さな工務店には、大手企業のような膨大な資金や人材はありません。そのため、限られたリソースをどのように活用するかが、その後の成功を左右します。ヤマダ電機のように、あらゆる方向に広がるのではなく、自社の得意とする分野に集中することが成功の鍵となります。この集中力が、競合他社との差別化や顧客の信頼を築く上での大きな武器となるのです。

ターゲットを絞り込むことの重要性

小さな工務店は、全ての顧客をターゲットにすることは難しい。そのため、自社の強みを最大限に活かせる特定の顧客層を明確にし、その層に特化したサービスや商品を提供することが求められます。このターゲットの絞り込みが、マーケティング活動の効率化や、顧客満足度の向上に繋がります。

情報発信の質を高める

ヤマダ電機の例を見てもわかるように、ただ情報を発信するだけでは、顧客の心を掴むことはできません。小さな工務店であればあるほど、自社の強みや特色を伝える情報発信が必要です。そして、それを伝えるためのストーリー作りやコンテンツ作成に力を入れることが大切です。顧客が感じる価値を中心に、具体的な事例や成功事例を交えて情報を提供することで、信頼性や説得力を高めることができます。

顧客との関係性を深化させる

小さな工務店の強みは、顧客との距離が近いこと。その関係性を深化させることで、リピートや口コミによる新規顧客の獲得が期待できます。大手企業とは異なり、一人一人の顧客との関係を大切にし、長期的な信頼関係を築くことができるのです。この信頼関係が、継続的なビジネスの基盤となり、安定した経営を支える要となります。


結論として、小さな工務店が成功するためには、自社の強みとターゲットを明確にし、それに基づいた戦略を組むことが必須です。ヤマダ電機の事例は、その重要性を改めて示してくれるものとなっています。そして、それを実践することで、小さな工務店でも大きな成功を収めることが可能です。

  • URLをコピーしました!
目次