工務店がコンセプトを育てたいなら、家だけでなく場をつくった方が良い理由

最近、単なる「家」から、「暮らし」という視点を持って、家づくりを行う会社も増えてきました。

カフェっぽいショールームとか、雑貨とか、インテリアとか、従来の入りづらい窓口から、変えようとしている会社が、少しづつ増えてきています。

コストなどを優先して考えると、家だけを考えて合理的につくるほうが、間違いなく楽です。ですが、合理さだけが正解ではないですし、また、家を建てるだけが正解でもないです。ましてや、顧客を操るように集客できる時代でもないですよね。

だからこそ、「暮らし」という視点は、関係性をつくることの第一歩だと思いますし、これからの家づくりは、関係性を軸にすることが問われていく時代になってきています。

目次

関係性をつくるには、つながり続けるための「場」をつくる

関係性をつくるには、顧客とつながり続けるための「場」を、つくれるかどうかが大きく影響してきます。コミュニケーション力などのテクニック的なことも大事ですが、自然とつながりがつくれるような場があると、やはり心強いです。

さらには、「場」は、集客も兼ねますし、その会社の「コンセプト」を伝える機能としても働きます。

WEBサイトやカタログなどにコンセプトを載せることに加え、「場」そのものでも表現していくことが、その会社のコンセプトを、より伝わりやすくしてくれるのです。

住宅においての場とは、

  • モデルハウス
  • ショールーム
  • 施主の家
  • 現場

などです。WEBやカタログ上では、何とでも言えるコンセプトも、リアルな場ではメッキは剥がれますからね。

ですが、ただモデルハウスやショールームをつくっただけでは、そんな関係性も生まれないのです。

場をつくり、お客さんと共同の記憶を作っていく!

以前、サッカー番組「FOOT×BRAIN」のスタジアム特集の時、お客さんと共同の記憶(コメモレーション)を作っていくことが必要だという話をされていました。

ひとつの場を通じで、いかにお客さんと同じ記憶を作っていくかが、関係性をつくる鍵になるというお話です。

工務店がコンセプトを育てたいなら、家だけでなく場をつくった方が良い理由

同じ記憶を一緒に作ることで、関係性をつくりやすくなるわけですから、住宅なら、モデルハウスやショールーム、そして施主の家で、お客さんとどういった共同の記憶を刻んでいくのかが必要ですし、そして、モデルハウスやショールームに関しては、お客さんの居場所をつくることも必要ですね。

会社のコンセプトは、家ではなく場をつくることで表現されていく時代ですから、「どんな家を建てているの?」という問いだけでなく、「どんな場をつくっているのか?」も問われる時代になってきていますよ。

家だけ伝えようとしても、なかなか差別化が難しく、住まい手側も、全てを理解するのは、難しいのが現状です。そういう中で、ひとつの場を通じて、お客さんと同じ記憶を作っていくことで、関係性を作っていくことが求められてきているのです。

ただ、カフェっぽいショールームとか、雑貨とか、インテリアとか、そういう演出って、あくまでも、「同じ記憶」を作るためなんですよ。だからこれらを、「モノ」の視点で行なってしまうと、間違いなく失敗します。「場」=「同じ記憶」ってことですね。

工務店がコンセプトを育てたいなら、家だけでなく場をつくった方が良い理由

家を建てることは、もちろん工務店の主要な業務ですが、それだけでは不十分です。なぜなら、今の時代は「家」だけでなく、「暮らし」や「関係性」も重視されているからです。それを考慮すると、家だけでなく、それを取り巻く「場」をつくることが、工務店としてのコンセプトをしっかりと育てるためには欠かせない要素となります。

1. 信頼関係の構築:より深いレベルでのコミュニケーション

家を建てることはもちろん大事ですが、それだけではお客様との信頼関係を十分に築くことは難しいです。ショールームやモデルハウスは、お客様が直接、物理的に空間を体感できる場所です。このような「場」で提供できる体験は、単なる商品の購入以上の価値があります。お客様が安心して質問できる環境、実際に素材を触れる場、これらが信頼関係を深める大きなステップとなります。

2. コンセプトの具現化:五感を通じた体験

WEBサイトやカタログでは、言葉や画像、映像でしかコンセプトを伝えられません。しかし、「場」を作ることで、お客様は五感全てを使ってそのコンセプトを体験できます。例えば、独自の建築スタイルや素材感、さらには香りや音まで。これら全てが、お客様にとっては非常に印象的なものとなり、コンセプトの理解が一段と深まるでしょう。

3. 長期的な関係性の確立:継続的なエンゲージメント

単発のプロジェクトが終わった後も、「場」があればお客様と継続的に関わることができます。例えば、完成したばかりの施主の家でハウスウォーミングパーティーを開くとか、ショールームで季節ごとのイベントやワークショップを開催するといった形です。これにより、一度契約が終わった後でも、お客様との関係性を維持し、次なるビジネスチャンスへとつなげることができます。

4. 口コミとリピート:自然な拡散と継続的なビジネス

良い「場」が提供できれば、その評判は自然と広がります。お客様自身がSNSでシェアしたり、友人・知人に話したりすることで、新たなお客様が興味を持つきっかけを作ることができます。さらに、一度良い体験を提供できれば、次回もその「場」を訪れたいと思ってもらえる可能性が高く、リピートビジネスにつながります。

5. 独自性と差別化:ブランド力の強化

多くの工務店が似たようなサービスを提供している中で、独自の「場」を作ることは大きな差別化要素となります。例えば、独自のデザインや機能を持つショールーム、地域の文化や歴史に合わせたモデルハウスなど、その「場」自体が一つのストーリーを持つことで、ブランド力が一層強化されます。

6. フレキシビリティ:市場の変化に柔軟に対応

「場」を持つことで、市場のニーズやトレンドの変化にも柔軟に対応できます。新しい素材やテクノロジーが出た場合、それをすぐにショールームで展示することができるでしょう。これが、お客様にとっても新鮮な驚きや発見を提供する機会となります。


結論として、「場」を作ることは、単に「家」を提供する以上の価値があり、工務店としての多角的な強みを築く上で非常に有用です。このような視点から、工務店も「場」作りに力を入れ、その多面的な価値を高めていきましょう。

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