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どの工務店でもコンセプト住宅が作れる理由
「コンセプト住宅」という用語は、辞書に記載された正式な言葉ではなく、特定のアイデアやビジョンを反映する家を指すために住宅業界内で生み出された造語です。
よく言われているのは、「コンセプト住宅」とは、コンセプトを強く打ち出した住宅、つまり、家のつくり手側である、ハウスメーカーや工務店、設計事務所が、コンセプトを強く打ち出した住宅を指します。つまり、誰とどのように暮らすのか、ライフスタイルを見つめ直し、「暮らし方」を提案する住まいでもあります。
コンセプト住宅とは?
簡単に言ってしまえば、特定のコンセプトやテーマに基づいて作られた家は、全てコンセプト住宅でしょう。特徴は次のとおりです:
- 特定のライフスタイルやコンセプトに基づいて設計された住宅
- 誰とどのように暮らすのかなどのライフスタイルを考慮し、「暮らし方」を提案する住まい
コンセプト住宅は、昔は「企画住宅」とも表現されており、通常の住宅と比較して、その設計と建築が特定の理念や創造的なビジョンに基づいている点が特徴です。また、決まりきった規格住宅のように、コンセプトを体現したベーシックな基本プランが存在し、そのプランを元に、個々のライフスタイルや好みに合わせて提案される住宅となっていることが多いです。
なんだか、世間から遅れながら「コト訴求」を取り入れた感は否めません。
なぜ今、コンセプト住宅なのか?
一般的な注文住宅の場合、住宅優先で、カタログから「どれを選びますか?」と、「住まいに暮らし方を合わせる」手法が取られてきました。
そして、自由設計という言葉が出始めたころから、施主の要望を聞き、それに合わせて設計をすすめる「暮らしに合わせて設計をする」という流れが生まれてきました。
ただ、この「暮らしに合わせて設計をする」というのが、誤解を生みやすい言葉なのです。なぜなら、多くの方が「暮らしに合わせて設計=要望を聞く」という、受注型の流れで進めてしまうのです。
要望中心の受注型の流れで設計してしまうと、よほど設計が上手くない限り、妥協しなければならない点が多くなったりしてまとまりません。一応、カタチ上は住宅は出来上がりますが、住み心地も悪くなり、せっかくのこだわりが不満へと変わっていきます。
もちろん、要望を聞かないと、家づくりの時点で不満を感じますが、家のことを詳しく知らない一般の方が、土地や間取り、仕様など、さまざまな条件の中で、自分たちの暮らし方をイメージしたところで限界があります。
だからこそ、つくり手側は、住み手の望む暮らしを実現する約束として、わかりやすいコンセプトを掲げ、そのコンセプトに沿った進め方をする必要があるのです。
コンセプト住宅の利点
コストバランスを考えた上で、家を最も楽しむことができる
コンセプト住宅の良さは、『コストバランスを考えた上で、家を最も楽しむことができる』ことだと捉えています。
なぜなら、コンセプト住宅は、「暮らし方」を提案する住まいなので、設計する側も、そのコンセプトに沿った工夫を最初から取り入れることができます。それによって、「こういう暮らしはあなたを豊かにしますよ」と提案することが容易になります。
決められたコンセプトに基づいて、「暮らし方」を意識した設計をされていることで、そのコンセプトを中心に、どのように住んでいくかをお互いに考えることができるのです。そうすることで、妥協することも少なくなりますし、イメージしている暮らしと実際に住み始めてからのギャップも少なくなります。
さらに、コンセプトの内容をわかりやすく掲げておけば、提案するコンセプトを好む顧客層を想定しやすいですし、提案する「暮らし方」に共感する方が、引き寄せられてきます。すると、同じような考えを持つ人が自然と集まるので、コミュニティも築きやすくなります。
設計力に自信がなくて、建物本体で3000万円ぐらいまでの提案であれば、コンセプト住宅は、かなり強力な武器になるのではないでしょうか。
コンセプト住宅の弱点
言葉だけで表現すると、尖っていないと違いが出ない。
工務店や設計事務所も、WEBサイトやカタログに、コンセプトを掲げているところは多いです。ですが、「それが他とどう違うの?」と問われると、どうでしょうか?「自然素材」「デザイン」などに、絡んだことを掲げるものが多いと思いますが、言葉だけで表現していても、よほど尖っていない限り、なかなか違いがわかりにくかったりします。
だからこそ、その「コンセプトを住宅で表す」ことが必要なのです。住宅というカタチあるもので表現した時、いい加減なコンセプトはボロが出ます。
プランそのものには価値はない。
「コンセプトを住宅で表す」といっても、プラン化された「・・・のある家」という感じで、 WEBサイトに載せたところで、 劇的に何かが変わるわけではありません。
なぜなら、プランそのものには価値はないからです。
合理化されたプランだけを見ても、そこに楽しさは感じません。もっと具体的なライフスタイルをイメージさせる必要があります。
根本的なことになりますが、瑕疵以外で、できあがった家に不便や不自由を感じるのは、そのライフスタイルに柱となるコンセプトがないことも影響していますからね。
コンセプト住宅に必要なもの
コンセプト住宅の良さは、『コストバランスを考えた上で、家を最も楽しむことができる』ことなので、つくり手側は、住み手の望む暮らしを実現する約束として、わかりやすいコンセプトを掲げたほうがいいです。
そして、土地とか要望とか、 変化のあるものに対応はするが左右されない。それが、コンセプト住宅、本来のあり方だと思っています。さらに、一定のスペックは必要です。
一定のスペックを満たすために必要になってくるのが、「価格・素材・デザイン」これらの標準化です。
家づくりに限らず何でもそうですが、標準化して、そのレベルを上げることで、その分野が苦手な方でも、ある程度のレベルをまでこなすことが可能になります。例えば、WEBやグラフィック、映像の世界では、テンプレートというカタチで、ある程度のレベルのものが用意されていたりしますよね。
コンセプト住宅を自社でつくろうと思うなら、「標準化」の積み重ねは欠かせません。裏を返せば、「標準化」の積み重ねができるなら、どの工務店でもコンセプト住宅が作れるわけです。
価格の標準化
「価格の標準化」というのは、何も全国一律ということではないです。素材にも絡む話ですが、この商品はこの価格という値決めということになります。そうすることで、毎回金額が変わることなく、見積もりもしやすくなります。棟数が多い工務店では、毎年、プレカット工場に対して、安定した棟数と引き換えに、値決めをしているところもあるくらいです。
価格の標準化には、製品やサービスの品質と価値を保ちながら、コスト効率と価格競争力を向上させるという二重の目的があります。
価格の標準化に必要なこと例
- 市場調査:地域市場の価格帯を理解し、競合との比較を行います。
- コスト管理:建築材料、労働、その他のコストを把握し、コスト効率の良い購入戦略を立てます。
- 価格設定戦略:品質、市場の需要、競合の価格を基に、適正価格を設定します。
- 透明性:見積もりや価格の根拠を明確にし、顧客への信頼を築きます。
素材の標準化
「素材の標準化」というのは、簡単に言うと標準仕様ですね。何を使うかベースとなる素材を決めておいて、それを元に提案していくということです。素材が同じだと、発注も施工もしやすいので、効率化が図れます。また同じものを使い続けることで、安心感があります。毎回違う仕様(素材)だと、おさまりも異なったりして、やりにくいですからね。
このプロセスは、品質の一貫性を保つために不可欠です。
素材の標準化に必要なこと例
- 品質基準の設定:使用する素材の品質基準を定め、一貫性を保ちます。
- 納入する業者との連携:信頼できる納入する業者との強固な関係を構築し、安定供給を確保します。
- エコロジカルな選択:環境に配慮した素材の選択を行い、持続可能な建築を目指します。
- カスタマイズの範囲の設定:標準素材の中で、顧客が選択できる範囲を定めます。
デザインの標準化
そして、「デザインの標準化」です。
デザインに従ずる者は、一品物を好むため、標準化を嫌う傾向が強いですけど(笑)
「デザインの標準化」というのは、言葉で表現するのが難しいのですが、この標準化が積り重なることで、コンセプトをカタチある住宅にすることに繋がります。
例えば、プランを規格化して、同じ家を建てるのは、完全に「デザインの標準化」とは言い切れませんね。すでに出来上がっている以上、どちらかというとそれは、もう「住宅」という素材なんですよ。
なぜなら、注文住宅のデザインというのは、施主とのやりとりをした上で出来上がっていくものなので、すでに出来上がった完成品は、正直、そこまで魅力はないんですよ。モデルハウスを見て「良い」と思っても、そっくりそのままを建てる人はいないですしね。
注文住宅の「デザインの標準化」に絡むこととして、この施主とのやりとりまでを標準化することが、かなり重要になってきます。簡単に言えば、セールス力や提案力とも言えます。
このやりとりは、相手の感性があってのことなので、応酬話法みたいに、 決められた答えを用意するマニュアルで対応できるわけがありません。さらには、建築知識に加え、自分自身のセルフイメージなども必要になってきます。
「デザインの標準化」は、工務店経営者にとって複雑な課題ですが、効果的に管理されれば、効率性、顧客満足度、ブランドの一貫性を向上させることができます。
デザインの標準化に必要なこと例
- 基本プランの開発:基本となるプランを複数用意する。
- 柔軟性のある設計:標準化されたデザインであっても、顧客のニーズに応じた柔軟な変更が可能な設計を心がけます。
- 設計のスキルアップ:設計スキル向上を図り、標準化されたデザインの質を高めます。
- 市場トレンドの追跡:デザインの流行や新しい技術を常に把握し、標準デザインを時代に合わせて更新します。