「あなたの工務店で建てたい」と思ってもらうために必要なこととは?

家の近所で、新築マンションがバカスカ建ってます・・・その効果なのか、 家からちょっと遠い、 たまにしか行ってなかった、とあるチェーン店系のスーパーと、 同じ系列のお店が近所にオープンしてました。こうなると、もう遠い方の店は行きません。

やはり、日用品レベルになると、一般化してどこでも安定して手に入るモノって、 差別化が難しいです。このように、一般化していき、差別化が困難となっていく製品やサービスのことを、コモディティ化するとも言います。

コモディティとは、一般化したため差別化が困難となった製品やサービスのこと。 所定のカテゴリ中の商品において、製造会社や販売会社ごとの機能・品質などの属性と無関係に経済価値を同質化することを指す。

コモディティ化された製品やサービスって、どこでも同じ(同等)だったりするので、「近い」とか「安い」とか「便利」とか、コストパフォーマンスな判断基準になりがちです。つまり、コスパ志向ってことですね。

目次

注文住宅の半分はコモディティだけど・・・

では、注文住宅はどうなのかと言うと、注文住宅の半分はコモディティです。

たまに注文住宅のことを「既製品の組み合わせ」と表現していたりするように、住宅を構成する建材や設備などがそれにあたり、それらには類似品や同等品もあり、安定しています。

じゃあ、コスパ志向になるかというと、ターゲット層の所得によって、異なってきます。

下記データは、マンション相場情報サイト「マンションマーケット」を運営する、株式会社マンションマーケットが、運営する住宅系ニュースサイト「マンションサプリ」にて、30代~50代の男性を対象に行ったアンケートです。

※調査概要
調査実施時期:2017年6月20日~2017年6月28日
調査対象者 :30代~50代の男性
有効回答数 :323名
調査方法  :インターネット調査

もちろん、マンションでのデータなので参考値ですが、注文住宅もある程度近いと思われます。

低所得層ほど、価格が最優先なのはわかりやすいです。ただ、それでも30%を超えてないんですよね。(200万未満は購入層ではないですし・・・)

注文住宅には、価値の創造が求められる

注文住宅って、他人から見たり、合理的に考えたら、ムダっぽく思える部分が結構あったりします。ですが、住んでいる当人がこだわって満足を感じている箇所だったり、つくり手側が提案して、住み手が気に入って取り入れる箇所がたくさんあったります。

例えば、箱階段でもいいけども、螺旋階段にしたり・・・

「あなたの工務店で建てたい」と思ってもらうために必要なこととは?

例えば、普通の横滑り窓でもいいところを、船窓にしたり・・・

「あなたの工務店で建てたい」と思ってもらうために必要なこととは?

例えば、ユニットバスでもいいところを、造作のタイル仕上げとネコ脚バスにしたり・・・

「あなたの工務店で建てたい」と思ってもらうために必要なこととは?

例えば、部屋にしてもいいのに、ベランダを広く取って、デッキをつくって、ハンモックをぶら下げてみたり・・・

「あなたの工務店で建てたい」と思ってもらうために必要なこととは?

などなど、よりコストが掛かるかもしれないけど、創造された価値ある何かが求められていたりします。

つまり、注文住宅は、(ムダも含めた)価値の創造が求められるジャンルってことです。半分は「コモディティ」で、半分は「創造された価値」ということなのです。

注文住宅における「コモディティ」とは、性能や設備、建材になるでしょう。どの工務店でも類似や同等品が手に入りますからね。

コモディティの場合は、より安く、より強く、より便利などの、「より◯◯」という話なので、「価値を創造する」というレベルではありません。なので、コスパ志向だけを持ち込もうとすると、いろいろと矛盾や不具合が起きます。

そして、「創造」ですから、生み出す意識を持って向き合わない限り、生まれやしません。デザインとかDIYなどの手法以上に、コンセプトとか本質的なところの魅力も必要です。頭を使いますし、家のことが好きではないかぎり、楽ではないですよ。

コモディティは、あなたでなければならない理由にはならない。

「性能、設備、建材などのハード(モノ)に依存するな」という話をよくするのですが、住宅業界では暗黙的に言ってはいけないことのようです(笑)

ただ、誤解してほしくないのは、住宅業界の構造上、建材メーカーがいないと成立はしないので、何も存在を否定しているわけではありません。

性能や設備などのハードに依存してしまうと、同等品や類似品が存在する以上、似たり寄ったりになり、『あなたから買うべき理由(あなたと建てるべき理由)』になりにくいのです。なるには、1位になるしかないですね。

どれだけこだわりがあろうとも、お客さんの目から見て、あなたと家を建てる理由がないと、集客もセールスもめちゃくちゃ苦労します。

もう、性能、設備、建材などのハード(モノ)に依存する時代じゃないんですよ。性能、設備、建材などのハード(モノ)は、技術的な要素であり、物質的な部分で、『防具』みたいな存在です。

つまり、雨風から守る。地震から守る。暑い寒いから守る。犯罪から守る。など、外的要因から守るために必要な部分です。そのクオリティはもちろんのこと、満足度を満たすには、ある一定以上のレベルは必要です。

でも、そこに「あなたでなければならない必要性」を見い出せるでしょうか?

他社を寄せ付けない最高の技術をお持ちならまだしも、そうではありませんよね?そもそも、性能、設備、建材などのハード(モノ)に該当する部分は、誰だってやろうと思ったらできることが多いのです。だから、性能、設備、建材などのハード(モノ)は、「あなたでなければならない必要性」にはならないのです。

あなたから買うべき理由(あなたと建てるべき理由)になる武器とは?

『防具』の反対である『武器』については、以前このように書きました。

『武器』とは、体験的な要素であり、精神的な部分です。数字で表せるものではないので、感覚的なことになりますが、心をつかむ満足度につながる部分でもあります。例えば、賃貸では実現できなかったことができたとか、自分たちでもつくってみたとか。

そして、その両方についてまとめると・・・

この『武器と防具』は両方大事で、防具だけ強くても、敵は倒せません。守るだけでは、満足感を与えられないわけですから、相手は満足しないということです。

もちろん、武器だけが強くても、防具が弱ければ、やられます。満足感を与える多彩なことをやっていても、元の技術力が低いとクレームになるということです。図面通りに施工されてなかったり、建物が歪んでたり、雨が漏ったり、暑かったり寒かったり・・・ということですね。

また、武器と防具が強くても、自身のレベルが低いと、強敵は倒せません。つまり、良いものを取り入れても、扱う能力が低いと売れないってことです。

これらを、もっと完結に言えば、『信用』でしょう。

でも、家づくりにおける信用は、大手ハウスメーカーでないかぎり、会社ではなく、「この人の言う事は信用できる」「この人なら任せられる」「この人なら安心できる」とか、人に向けられるものです。

もちろん、性能、設備、建材などに向けられることはありません。「この性能は信用できる」「この設備は信用できる」「この建材は信用できる」なんて、判断できるだけの知識や経験を持ち合わせてない、一般の人から出てくる言葉ではないですよね?

つまり、信用は、あなたから買うべき理由(あなたと建てるべき理由)になってくれるのです。

人と人との信用を築く上において、性能、設備、建材などのハード(モノ)なんて、所詮道具にしか過ぎません。DIYやワークショップも同じことです。向き合う姿勢が不真面目だと、信用なんて築けません。傷つける嘘とかごまかしはもってのほかです。

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