工務店経営者にしかできない7つの行動

10年経っても変わってない工務店経営者にしかできない行動を、マーケティングも含め、エッセンス版として取り上げています。扱うツールや手法は変わっても、本質は変わっていません。

目次

1.ブランディング

ブランディングにも様々な方法はありますが、鉄板は「高価格商品」をつくることです。(※提案する住宅のことを、あえて「商品」という言葉を使っています。)

多くの工務店は、「高くすると売れないから」という理由で、「高価格商品」をつくりたがりませんが、非常にもったいないです。

高価格帯にするのは、その商品そのものを売るためではありません。通常の価格帯を売りやすくするために設けるということです。高価格帯があることで全体の価値が高まりやすくなるのです。高価格帯でブランドイメージを作り、通常の価格帯の売上を伸ばすのは王道的な方法として昔からあります。

さらに、通常の価格帯の下に、企画住宅などの原価が抑えられた低価格帯を構成すれば、「松・竹・梅」の提案が可能になります。同じコンセプトの中で、「松・竹・梅」の提案ができると、セールスしやすい状況をつくることができます。

こういった商品構成の舵取りは、経営者にしかできません。

2.認知活動

ブランドイメージを作った後は、しっかり認知してもらうことです。

通常だと「広告で」という話になりますが、広告費を掛けない方法ならば、オンラインのツール(SNS等)を使うしかありません。

目的は認知なので、興味を持ってもらうことですが、更新案内などの情報ばかりでは、たいして見向きもされません。できるかぎり、自分の考えを自分の言葉で発信することが必要です。

なので、できるなら会社のアカウントよりも、経営者個人のアカウントで運営した方がいいです。「会社アカウント(スタッフ運用)+経営者個人のアカウント」でもいいです。

なぜなら、コミュニケーションがベースとなるSNSにおいて、企業アカウントではコミュニケーションが取りづらいからです。企業アカウントで上手くいくのは、商品やサービスにファンがいたり、発信している内容が相当魅力的でないと、厳しいです。

例えば、個人のTwitterアカウントと、質問箱を組み合わせ、匿名の質問を受付ける方法は多く見受けられるようになりました。ただしこれも、普段、更新案内などの情報ばかりしているアカウントだと、質問を受付けても反応は得られません。

「自分の考え、自分の言葉で、何を発信したらいいかわからない?」という方は、1と3が乏しい可能性が高いので、見直す必要あります。

3.コンテンツ

認知活動できる経路をつくったら、コンテンツを充実させる必要があります。

ここで言うコンテンツとは、

  • ブランドイメージの言語化(コンセプト)
  • ブランドイメージのビジュアル素材(写真・映像)
  • 家づくりの手順やノウハウ
  • 施工事例やお客様の声

などです。

カタログやWEBサイトなどは、それらのコンテンツを「カタログという形にした」「WEBサイトという形にした」ということにしかすぎないので、コンテンツが魅力的でなければ、カタログやWEBサイトを作ったところで、たいした効果は得られないということです。

4.リマーケティング

魅力的なコンテンツを元に、認知活動をしていったら、「リストを取得する」という仕掛けを設ける必要があります。

例えば、WEBサイト → 資料請求・メルマガ登録・LINE登録。
(SNS → フォロワー)

そして、取得したリストに対して、限定情報や特別な案内などを定期的に送りましょう。資料請求やメルマガ登録なら、メールマガジン。LINE登録ならLINEメッセージ。

案内を送ることはスタッフでも可能ですが、リマーケティングの仕組み自体は、経営者主導で進めないと、始まりません。

5.O2O

「O2O」とは、インターネットなどのオンラインから、店舗などのオフラインへ消費者を呼び込む施策や、オンラインでの情報接触行動によって、オフラインでの購買行動に影響を与えるような施策を指します。

いくらWEB上で伝えられると言っても、やはり実物を体感することは強力な惹きになります。

王道は、完成見学会への誘導でしょう。また、モデルハウスやショールームなどがあれば、「家づくり勉強会」などの、家づくりと直接的なイベント事と絡めて、招待することもできます。ショールームもまだないという場合は、打ち合わせスペースの空間を作り込んで雰囲気を作り込む必要があります。当然、ブランドイメージに沿ったものでないと、効果的にはなりません。

最大は、モデルハウスの建設ですが、財務バランスを考えて判断しなければなりません。ただ、注文住宅において等身大のモデルハウスが魅力的なのは間違いありません。

6.紹介

1と3にも関わることですが、フラット化した情報化時代なので、飲食にしてアパレルにしてもどんな業界も、良いお店を探している人達は、紹介や口コミなども頼りに、自ら必要な商品やサービスを探しだそうとしています。

そういった潜在的な人達に対して、自社だけで届けることは可能でしょうか?潜在であるがゆえにWEBサイトはなかなか見られないでしょうし、一人ひとり相手できるほどの企業体力もないと思います。

また、小規模の工務店にように営業マンを抱えていない場合、社長が営業をすることになりますが、だからといって、社長が啓蒙から一人ひとり対応していたのでは、他のことができなくなるでしょう。

だからこそ、顧客が営業するような紹介システムはつくっておくべきです。

昔からある手法だと、紹介したら謝礼金、見学させてもらえたら謝礼金という方法ですが、これらは数ある中の一つにしかすぎませんし、金銭の発生が必ず良いとも言い切れません。お金目当てではない客層に金銭系の紹介システムを当てはめても上手くはいきません。

つまり、客層や今の時代に合わせた紹介システムが求められます。

7.投資

上記で取り上げた方法は、宣伝広告費は0円でも、販促費や開発費は掛かります。

では、そこに対して、どのくらい投資できるかわかりますでしょうか?決して、「口座のお金全額」でも「決算書(貸借対照表)の現金項目」でもありません。

工務店経営者に結構多いのですが、使える額を知らないままで、ちょっと利益が出たからといって、「パッケージ商品を購入しよう」「FCに加盟しよう」と、感覚で経営判断をしてしまうパターンです。こういった判断を感覚で行っていると、後々痛い目にあいます。だからといって、まったく行動(投資)しないのも、成功にはたどり着けません。

将来への投資は、自由に使っても良いお金の範囲内で行うことが原則です。範囲内で行えば、たとえその投資に失敗したとしても、致命傷にはなりません。

「他で成功しているから、失敗しない」と言われる工務店経営者もいらっしゃいますが、「成功はアート、失敗はサイエンス」と言われるように、「成功」は再現性が低いです。アートのように決まった「一つの答え」は存在していないため、いろいろな条件が複合的に組み合わさったものから生まれます。なので、他者で上手くいったからといって、自社で上手くいくとは限りません。

なので、成功するには、失敗のリスクを最小限に留め、たくさん投資した中の一つが大きく当たるという、「1勝9敗」理論になるわけです。(「1つの大きな勝ちと、9つのかすり傷」という意味)

つまり、自由に使っても良いお金の中で、投資することを配分していき、たくさん投資(行動)するということです。そのためにも、まずは、会社のお金の流れの全体像を把握しましょう。

a.毎月の試算表で確認する。

試算表とは、1か月ごとに作成する貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)のことです。

毎月、試算表を確認することで、

  • 売上が伸びているか?落ちているか?
  • 利益は赤字か?黒字か?
  • 資金繰りの状況はどうか?

などが確認でき、論理的に対策を練ることができます。逆に、試算表を作成していないと、ドンブリ経営になり、感覚で経営判断をしていくようになります。

試算表で確認していないという方は、税理士に頼んでつくってもらいましょう。

※決算書(試算表)が読めないなら、、、

決算書が読めない方は、まずはこの本を読むことをオススメします。売上と粗利益と固定費の関係性がわかりやすく書かれており、経営判断に必要な「会社のお金の流れを把握」する方法を取り上げています。

お金の流れが一目でわかる! 超★ドンブリ経営のすすめ

工務店経営者にしかできない7つの行動

目次
はじめに  ツボを押さえたドンブリになれ!
プロローグ 決算書なんて読めなくていいんです!
第1章 たった1枚の図で、お金の流れのすべてがわかる!
第2章 この3つのモノサシがあれば、利益倍増も夢じゃない!
第3章 10分でできる!あと100万円利益が残る売上目標の立て方
第4章 5%の値上げで利益は何倍?儲けの仕組みがわかる5つのクイズ
第5章 会社の実態は図で考えればよくわかる!
第6章 社長と社員の危機感のズレを埋めて夢に向かって走り出すには?
エピローグ ビジョンの実現に向けて踏み出そう

この本の中では、会社のお金の流れを図式化するという方法を紹介されています。図式化し、単純化することで、会計の細かな部分にとらわれることなく、会社のお金の流れの全体像を把握しやすくなります。

b.工務店経営における、目安の数字を知る。

改善するにも目標値となる目安の数字がなければ難しいものです。参考値として工務店経営の平均を知っておきましょう。下記は木造建築工事業の黒字企業の平均値です。粗利益率の平均値は28%ほどですが、記載していないのは、企業規模によって必要な粗利益率が異なるからです。

そのため必要な粗利額は「粗利益÷固定費」の数字を参考にしてみてください。「年間いくらの固定費を投じて、いくらの粗利益を得るのか?」という投資的な考え方の方が再現性が高いです。

工務店経営者にしかできない7つの行動
損益計算図

c.「利益」を分解し、問題点を探し当てる。

利益が低い場合は、利益の元になるものを分解していき、どこに問題があるか突き詰めていきましょう。

工務店経営者にしかできない7つの行動

テコ入れは上から行ったほうが効果的です。

一番下に集客がありますが、集客のテコ入れを最優先しても、費用が余計に掛かったり、たとえ集客数が増えても必ず受注になるとは限らないため、利益から離れた要素になります。

また、一つのことを大きく改善するのはなかなか骨の折れる事ですので、複数のちょっとしたことから始めた方が効果的です。

+α:受注以外で得られる資金のバランスを整え、集客や受注の負担を減らす。

前項で取り上げたのは「収益の改善」ですが、これだけではまだ不十分です。収益以外にあと3つの資金があります。経営者にしかできない残り3つの資金のバランスを整えることで、よりお金が回る仕組みをつくることができます。

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