設計や施工の実力不足の工務店は淘汰される

ドイツ職人協会が制作した「職人がいない暮らしとは?」というテーマの映像が、皮肉めいていて面白いです。

職人の技術がないと、世界はどんどん廃れていくという、ハイテクな世の中に対するアンチハイテクとしての投げかけです。

住宅業界にも職人の技術は欠かせません。

目次

施工は縁の下の力持ち、設計は影の立役者

どんなひどい設計でも、最終的におさめるのが施工だったりします。営業マンのリップサービスによるケツを拭くのも、施工だったりします。

だから、いい施工部隊を持っている工務店は、ほんと心強いですよね。

また、良い設計は、営業のセールス力が低くても、契約につながりますし、施工をしやすくすることもできますし、コストダウンさせることもできます。

設計はどうしても意匠性に走りがちな分野ですが、営業や施工とも関連しているからこそ、そこをコントロールできるのも設計です。

「設計を制すものは住宅を制す」

設計は、設備や性能が十分になった現代住宅だからこそ、より求められていることだと感じています。さらには、建築家により飽和してきた意匠性以外の部分が求められています。

なかなか評価されない部分ではありますが、良い設計をする人材は貴重です。

「みかん箱、作れますか?」

ある住宅会社の社長は、住宅の仕事に携わる人にこんな質問を投げかけてきます。

「みかん箱、作れますか?」

なんでも、住宅の仕事に携わるのに、自分で物が作れない人が、年々増えているとのこと。(特に営業マンに)

設計や施工の実力不足の工務店は淘汰される
成功のみかん箱

確かに、時代的にも年々、モノをつくるということをしなくなっていますよね。10代20代の若い世代は特に、なのでしょうが、やはり、住宅の仕事に携わるなら、柱の重さを知ってほしいところです。

DIYブームがあってから、言葉も、日曜大工という言葉ではなく、DIYという言葉が浸透してきて、手軽でおしゃれな感覚で自分で作って、楽しみたいという方が少し増えてきましたし、また、子どもにも体験させたい、という方も増えてきています。

最近では、簡易的な教材だと、ホームセンターにも置いてたりします。ちいさな冊子で、自由に持ち帰っていいっていう。

でもですね、ホームセンターのその冊子、あまり使えないらしいです。以前、施主に言われたのが、「肝心なところが載ってない」「参考例が不格好」など・・・ってことで、結局、本を買ったり、ネットで調べたりして、行ったようです。

この辺りの、”手軽におしゃれに自分で作る”というノウハウと、それを、練習も含め、”試すことのできる場所”が足りていないようですね。なので、例えば、工務店と、デザイン系の設計事務所が手を組んで、そういった場を提供するのも面白そうです。

DIYをしたい客層って、ブームが過ぎ去ったとはいえ、一定層はいるので、味方になってもらうと、色々と応援してもらえるので、かなり強力ですよ。

設計や施工の実力不足の工務店は淘汰される

現代の住宅業界は、技術の進化と消費者のニーズの多様化によって、ますます競争が激化しています。この中で、設計や施工の実力が不足している工務店は、淘汰される時代になっています。以下、工務店経営者向けに、この問題にどう取り組むべきかを詳細に考察します。

1. 職人技の重要性の再認識

ハイテク化が進む現代社会で、職人の技術は時に過小評価されがちです。しかし、住宅の設計や施工においては、職人の技術が極めて重要です。細部にわたる精密な作業、素材の特性を理解した施工など、機械では代替できない部分が多々あります。職人の技術は、住宅の品質や耐久性に直結し、顧客満足度の向上にも寄与します。工務店としては、職人技の重要性を再認識し、その技術の継承と発展に努めるべきです。教育プログラムの充実や、経験豊富な職人と若手の連携強化など、具体的な取り組みが求められます。

2. 設計の質の向上

良い設計は、施工をしやすくするだけでなく、コストダウンや顧客満足度の向上にも寄与します。設計の質を向上させるためには、最新の技術やトレンドを取り入れるだけでなく、営業や施工との連携を強化する必要があります。設計のプロセスにおいて、顧客のライフスタイルやニーズを深く理解し、それを具現化する能力が求められます。また、施工現場との連携によって、設計が現実の施工に適応しやすくなるよう工夫することも重要です。設計の質の向上は、工務店全体のブランド力を高め、競争力を強化する効果もあります。

3. 人材育成の重視とマルチタスク化

技術の不足は、人材育成の不足からも生じることが多いです。工務店としては、従業員のスキルアップを図るための教育プログラムや研修を積極的に提供するべきです。さらに、人材難への対策として、マルチタスク化も重要です。一人が、複数のスキルを持つことで、柔軟に対応できる体制を築くことが可能です。これにより、人手不足の際のリスクを減らし、効率的な業務運営を実現できます。マルチタスク化の推進は、人材の能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性を高める効果があります。

4. 顧客とのコミュニケーション強化

DIYブームなどからも見えるように、顧客は自分で作る楽しみや、自分の住まいに対する関与を求めています。工務店としては、顧客とのコミュニケーションを強化し、そのニーズに応えるサービスを提供することも重要です。顧客との対話を深めることで、より個別化されたサービス提供が可能になります。例えば、DIYを好む客層であれば、顧客が自分で施工に参加するプログラムや、DIY教室の開催など、新しいサービスの創出も視野に入れるべきです。

5. 連携と協力の強化

設計事務所や他の専門家との連携を強化することで、より高品質なサービスを提供することが可能です。協力体制を築くことで、各分野の専門家が一丸となって、顧客に満足度の高い住宅を提供できるようになります。この連携は、各分野の最新の知識と技術を共有し、それを組み合わせることで、より高いレベルのサービスを提供する基盤となります。また、異分野との連携によって、新しいビジネスモデルやサービスの創出も期待できます。

まとめ

設計や施工の実力不足は、工務店にとって深刻な問題です。これを克服するためには、職人技の重要性の再認識、設計の質の向上、人材育成の重視とマルチタスク化、顧客とのコミュニケーション強化、連携と協力の強化など、多岐にわたる取り組みが求められます。時代の変化に対応し、顧客のニーズに応えるために、これらの取り組みを積極的に進めることが、工務店の存続と成長にとって不可欠です。今後の成功への道筋として、これらの要素を戦略的に組み合わせ、実践することが求められます。

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