広告代理店や制作会社に依存する工務店が上手くいかなくなる理由

住宅業界にも、マーケティングの重要性が高まる一方で、今、多くの工務店には組織内に、マーケティングのできる人材がいないことが問題になってきています。

「マーケティングができる」とは、簡単に言うと、「売れる仕組みをつくれる」ことです。

しかし、住宅業界の育成をみても、学校では設計・施工といった専門職ばかりですし、営業マンは叩き上げです。マーケティング人材育成の仕組みを持たない工務店が、どうやってマーケティングのスペシャリストを獲得することができるのしょうか?やはり、外部に求めなければならないのでしょうか?

目次

これまでは1つのメディアで十分だった…

これまでのマーケティングは、「広告・販促」という狭い範囲内であったため、工務店内にマーケティングができる人材は必要ありませんでした。その代わり、広告代理店や制作会社がこれを担っていて、工務店の担当者が辞めたり、変わったりしても、代理店側がそのノウハウを引き継いでサポートしていたのです。

これまでの「マーケティング=広告」という時代であれば、この流れでもよかったのです。しかし今は、マーケティングの概念が限りなく広がり、複雑化し、一筋縄ではいかなくなってきています。

新聞折込などのマス広告に費用を投じても、住宅が売れなくなった今、消費者の身近にあるソーシャルメディアと自社ウェブサイトを連携し、広告から誘導した見込み客を、確実に顧客やファンに変えていく仕組みを整えた工務店だけが、施主との絆を勝ち取ることができてきています。

仕組みをつくる3つのメディア

その仕組みをつくる3つのメディアの概念が、「ペイドメディア(paid media)」「オウンドメディア(owned media)」「アーンドメディア(earned media)」の3つからなる「トリプルメディア」と呼ばれるメディアなのです。

広告代理店や制作会社に依存する工務店が上手くいかなくなる理由
出典:横山隆治著「トリプルメディアマーケティング」

このブログでも過去に取り上げています。

1.「関心をつくる」、支払いを必要とする広告の出稿により利用できるメディア。(ペイドメディア)

メリット

  • 影響力が大きく即効性がある。

デメリット

  • 資金がなければ効果がでにくい。一方的なメッセージのため、無視や警戒もある。

例えば、新聞、折込、雑誌、ラジオ、テレビ、交通、屋外、ネット広告など、費用を掛けることで、効果を高めることに繋がりやすいメディア。

2.「理解を促す」、自社が所有し、管理・運営しているメディア。(オウンドメディア)

メリット

  • 自社でコントロールができ、関与度の高い消費者に向けて直接メッセージを発信できる。

デメリット

  • 広告ほどの即効性はない。

例えば、webサイトやメールマガジンだけでなく、会員組織、ショールーム、モデルハウス、従業員なども含んだ、自社で管理・運営できるコントロールが利きやすいメディア。

3.「共感を得る」、企業が生活者からの評判や信用などを得て、ファンを獲得するためのメディア。(アーンドメディア)

メリット

  • 生活者の体感情報や、生活者間のコミュニケーションによって評判が広まりやすい。

デメリット

  • コミュニケーションができる分、悪い話も広まりやすい。

例えば、記事やブログや掲示板、Facebook・Twitterといったソーシャルなどのファンを獲得するためのメディア。


以上の3つになりますが、まず取り組むべきは、2の自社メディアを充実させるべきですね。

1は昔から使われてきているメディアで、広告代理店は得意とする分野かもしれません。ですが、今後これからは2、3も合わせた、この3つのメディアを上手く組み合わせたり、使い分けたりしていくことが求められてきます。

そして、これらの3つのメディアを使いこなすためには、運営に加え、その業界の知識や経験が必要になってきます。だから、外部の広告代理店や制作会社ではなく、組織内にマーケティングができる人材が求められてくるのです。

トリプルメディアの全容は、こちらの本「トリプルメディアマーケティング」から知ることができます。

工務店も、そろそろ組織内にマーケティングができる人材がいないと、広告代理店や制作会社の言われるがままになりますし、ますます時代に置いてかれますよ…

工務店が広告代理店に頼る時代は終わり!?

少々難しい話かもしれませんが、広告代理店に頼る時代は、終わりだと感じています。

自社メディアの話もそうですが、今、チラシの印刷など、デザインなどデータ制作を自分たちでしてしまい、

などのネット印刷を利用すれば、広告代理店や制作会社に頼むより、格安でできるということです。チラシだけでなく、カタログ・冊子なども印刷が可能です。場合によっては、半値で出来る場合もあります。

デザイン(構成)と、マーケティングが出来る人がいれば、広告代理店に頼む必要がなくなります。

実際、集客の上手いところは、広告や販促物など、制作は依頼していたとしても、キモとなる、デザイン(構成)とマーケティングは、自分たちで、しっかり押さえているところが多いですね。

広告代理店や制作会社に依存する工務店が上手くいかなくなる理由

変化するマーケティング環境

かつて、広告代理店や制作会社がマーケティングの大部分を担っていました。それは、マーケティングが主に広告と販促活動に限られていたからです。しかし、インターネットとソーシャルメディアの普及により、マーケティングのフィールドは急速に拡大しています。消費者とのコミュニケーション手段が多様化し、一方的な広告だけではもはや不十分な状況が生まれています。

トリプルメディアの必要性

以前は広告一本で済んでいた時代から、現在では「トリプルメディア」—すなわち、ペイドメディア、オウンドメディア、アーンドメディア—のバランスが求められています。これらを効果的に組み合わせるには、業界特有の知識や経験、さらには戦略的な思考が不可欠です。

組織内のスキル不足

多くの工務店は、設計や施工に特化した専門職が多く、マーケティングの専門家が少ないか、またはいないのが現状です。広告代理店や制作会社に依存すると、自社の特定のニーズや独自性に対応できない場合が多く、長期的な成功が難しくなります。

コストと効果のギャップ

広告代理店や制作会社に依存すると、しばしば高額な費用がかかります。その一方で、その投資に対するリターンは必ずしも保証されていないのが現実です。特に、長期的なブランド価値や顧客ロイヤルティの構築には、内部での戦略とコントロールが不可欠です。

時代遅れになるリスク

外部のエージェンシーに依存し続けることで、自社でのマーケティング能力が育成されないと、新しいマーケティング手法やツールに対応できず、最終的には市場で競争力を失ってしまう可能性があります。


など、無知なまま依存してしまう状況は、経営においてはよろしくありません。

内部教育や人材育成、またはできる人の採用でまかなうのか、それとも基礎知識は自分で身につけ、外部とはあくまでサポートの関係に留め、軸は自社でおこなうのか、工務店経営者の能力や判断に委ねられますが、マーケティング環境が日々複雑化している今日、工務店もその変化に柔軟に対応するスキルと知識が必要なことは否めません。

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