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2004年「住宅業界におけるeビジネスの活用」で指摘されたIT活用は未だ浸透していない。
すごい古い資料を見つけてしまいました・・・
文教大学 情報学部 経営情報学科の幡鎌ゼミ、第1期ゼミ生・齊藤 まさのさんの卒業研究「住宅業界におけるeビジネスの活用」の資料です。なんと2004年のものです。
住宅業界におけるeビジネスの活用
研究のテーマとして、「住宅業界におけるe-ビジネスの活用」をもってきた狙いは、
現在住宅業界で行われているITを使った技術を把握し、今後どの様にITが活用され、顧客に納得いく情報を提供していくことができるかを考えていく。
そして、その背景としては、
今まで一軒の家を建てるときには、常に顧客側が素人で、事業者が玄人であるという明確な区分があった。しかし、インターネットや雑誌から得られる膨大な情報により施主の設備への要望がますます高まっている。そしてますます「設備通」な施主が増殖中である。つまりインターネットの普及により施主側のネット化・プロ化が進んでいるのである。これらネット化した施主に負けないためにはITを活用する事、しかも、それを全員が顧客より高度に使いこなすことが必要となる。
ということです。その研究の大きな項目として、
- 施主のプロ化
- 施主のネット化
- 住宅業界のBtoCユーザー参加型の住宅設計システム
を取り上げられています。
さらに、施主のプロ化・ネット化については、冒頭にこんな風に書かれています。
インターネットや雑誌から得られる膨大な情報により施主の設備への要望がますます高まっている。そしてますます「設備通」な施主が増殖中だ。実際、施主側のネット化・プロ化は、劇的なまでに進んでいる。「我が家の建築日記」的なホームページの急増は、その象徴ともいえる。男性女性を問わず、また、インターネットやパソコンの技術レベルにかかわらず、多くの人々(施主)たちが自らの経験をリアルタイムで発信し始めている。その数およそ700。さらに年々200以上増えておりネット上での一大コミュニティ群となっている。
また、締めの感想が興味深いです。
第二章から第四章で述べてきた様に、今後住宅業界ではIT活用が必然となり、施主とのコミュニケーションを今まで以上に頻繁にとることとなる。住宅会社は、そんな施主からの問いかけ、相談などに迅速丁寧な対応が問われる。施主からの電子メールに何週間も返事がないでは意味がないのだ。つまり、住宅会社は、これらITを活用したシステムを使いこなす事ができる人材育成に力を入れる必要がある。
素人の学生が文献読み漁って指摘できるぐらい違和感がある部分
2004年に住宅に素人の学生が、文献読み漁って指摘している問題点は、2015年になっても言われ続けているわけですよ(笑)素人の学生が文献読み漁って指摘できるぐらい違和感がある部分なんですね。
2015年、ITを活用したシステムを使いこなす事ができる人材がどこにいることやら・・・業界内でIT系が活用されているのは、CADや管理系のソフトの使用とWEBの更新ぐらいですね。
まぁ、そもそも学校でもCADぐらいしか習わないので、IT活用も浸透しないのは無理もないですが・・・教育自体変えていくか、自身が必要と感じて身に付けようとするしかないですね。まずは自分の身近なところからですね。
考察:これからの工務店経営のありかた
2004年に齊藤まさのさんが指摘したように、住宅業界におけるITの活用は未だに十分に浸透していないのが現状です。この状況は一見、問題に見えるかもしれませんが、逆に大きなビジネスチャンスとも言えます。施主(顧客)がインターネットやその他の情報源でますます知識を深めている今、工務店がITを効果的に活用することで、競争力を高め、顧客満足度を向上させることが可能です。この変化を逃さずにキャッチすることが、今後の成功への鍵となります。
顧客対応のスピードと質
施主からの問い合わせや相談に対する迅速かつ丁寧な対応は、今後ますます重要になるでしょう。このためには、CRM(Customer Relationship Management)システムを導入することが有効です。このシステムを使えば、顧客データを一元管理し、それに基づいて効率的な対応を可能にします。さらに、過去の対話履歴や施主の嗜好を瞬時に把握できるため、よりパーソナライズされたサービスが提供できます。
オンラインプラットフォームの活用
「我が家の建築日記」のような施主が自らの経験を発信するプラットフォームが増えています。工務店もこのようなプラットフォームを活用し、施主とのコミュニケーションを深めることが重要です。このプラットフォームを通じて、施主の声を直接聞くことができ、また、自社のサービスや製品を広める絶好の機会ともなります。信頼関係を築くためには、ただ存在するだけでなく、積極的に参加と貢献が必要です。
BtoCユーザー参加型の住宅設計システム
施主の要望が高まる中、BtoCユーザー参加型の住宅設計システムを導入することで、施主自身が設計に参加できるようにすると良いでしょう。これにより、施主の満足度が高まります。さらに、口コミによる新規顧客獲得も期待できます。このシステムを導入することで、施主が自分自身で理想の住まいを設計できる喜びを感じ、その結果として工務店に対する信頼と満足度が高まるでしょう。
人材育成
現状、ITを活用できる人材が不足していることを考慮し、社内教育に力を入れる必要があります。CADだけでなく、CRMシステムやデータ分析など、多角的なITスキルを社員に身につけさせることが重要です。これにより、社員一人一人が多様な業務に対応できるようになり、企業全体としての柔軟性と対応力が高まります。
ITの活用はもはや選択肢ではなく、必須条件となっています。工務店経営者としては、この波に乗り遅れないよう、積極的にITを活用し、施主との良好な関係を築くことが求められます。そして、それを実現するためには、社内の人材育成にも力を入れるべきです。ITの力を借りて、次のステップへと進みましょう。このような積極的な取り組みが、工務店が未来において成功するための重要なステップとなるでしょう。