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ビッグデータから生まれた企画住宅。工務店は自社の地域に合わせた標準住宅の上に個性ある提案した方が良い理由
ブラッド・ピット主演の『マネーボール』という映画をご存知でしょうか?
150年以上の歴史を誇るアメリカのプロ野球・メジャーリーグの世界に、選手の評価や戦略に、統計によるデータ分析によって生み出された「マネーボール理論」を持ち込み、経営危機に瀕した貧乏球団を常勝集団に生まれ変わらせていく過程を描いた実在の男の話。
貧乏球団が金満球団と互角に戦うために編み出された「苦肉の策」であり、言わば「貧者の野球理論」=マネーボール
このような、野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法を、「セイバーメトリクス」と言うらしいです。日本で言うなら「ID野球」ってところでしょうか。
この映画の影響や、その前年にビッグデータ(事業に役立つ知見を導出するためのデータ)という言葉も生まれたことで、スポーツだけでなく様々な業界が、データの統計や分析から何かを生み出すことを、改めて始めましたよね。
マネーボールの本質
Wikipediaでは、マネーボールの本質として、「低予算でいかに好チームを作り上げるか」が根幹にあるが、重要視する要素に対して、競合も同じことを考えていたら成立しないとも指摘しています。「予算を掛けずに他と違う強み」をどうやって作るか?という部分は、小さな工務店にも言えることです。
マネー・ボールの本質
ただし、マネー・ボールの思想は原書の副題(The Art of Winning An Unfair Game:不公平なゲームに勝つための技術)にある通り、「低予算でいかに好チームを作り上げるか」という発想が根幹にある。例えば、ビーンが出塁率(四球)を重要視したのは、単にそれ自体が理に適っているということ以上に、他チームがそれを軽視していたがためにセレクティブ・ヒッター(選球眼が鋭い打者)を安価で獲得することが出来たからである。仮に他チームも同様に出塁率を重要視している状況であれば、当然セレクティブ・ヒッターを安価で獲得することは叶わずマネー・ボールは成り立たない。すなわち、マネー・ボールとは貧乏球団が金満球団と互角に戦うために編み出された「苦肉の策」であり、言わば「貧者の野球理論」なのである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB
不動産サイトのビッグデータが生んだ「理想の家」
去年2014年辺りから、住宅でも、不動産取引とかスマートハウスとかにビッグデータを活用しています。不動産取引価格の変動がどうとか、電力使用量の最適化による節電効果がどうとか・・・
ただし、ワクワク感はあまり感じません。スポーツでのデータ活用はワクワクするのに、なぜ住宅のこういった活用にワクワクさがないのだろうか(笑)
スウェーデン人にとっての理想の家
スウェーデンでは、ビッグデータを活かし、「スウェーデン人にとっての理想の家」を生み出しています。
「Hemnet Home」(または「the House of Clicks」)は、スウェーデンで最も人気のある不動産サイトHemnet Homeに掲載されている86,000個の物件に対する200万回のクリックをもとに設計された家である。
設計条件のデータには、スウェーデン人口の20パーセント以上が貢献しているという。そのデータを、建築事務所Tham&Videgardの建築家、ボーレ・サムとマーティン・ヴィデガルドが解析した。
ふたりは、一連のデータと哲学に沿って設計を行った。まずはHemnetのユーザーから集めたビッグデータを基に、「スウェーデン人にとっての理想の家」の平均サイズや価格、部屋やバスルームの数、何階建てかを割り出す。
そして「スウェーデンの家はどうあるべきか」についてのふたつの主なコンセプト、「木製の赤いコテージ」と「機能主義的な白い箱」というイメージを組み合わせていったのだ。
不動産サイトのビッグデータが生んだ「理想の家」建築事務所Tham&Videgardの建築家によって、スウェーデン人の「理想の家」が設計された。設計の元となったのは、スウェーデンで最も人気のある不動産サイトから得られたビッグデータだ。
設計条件のデータには、スウェーデン人口の20パーセント以上が貢献しており、クリックをもとに設計されたため、「クリックの家」とも呼ばれているようです。価格が、277万5,000スウェーデン・クローネ(約4,000万円)というのは結構な金額しますが、着眼点は面白いですね。
外観・広さ
統計からは「1.5階建て」といった、理想の家に関する幅広いデータが得られた。サムとヴィデガルドはこれを独自に解釈し、2階の半分をベッドルームに、残りの半分を屋上テラスにして、下には吹き抜けのダイニングをつくった。全体として、非常に日当りのいい家が生まれた。
<中略>
外観は、貨物用コンテナと同じ素材でできているように見えるかもしれないが、実際には木でできていて、波のようなパターンが建物に奥行き感を与えている。外観はスウェーデンの伝統的なコテージと同じ色調になるよう、赤いペンキが塗られている。
不動産サイトのビッグデータが生んだ「理想の家」建築事務所Tham&Videgardの建築家によって、スウェーデン人の「理想の家」が設計された。設計の元となったのは、スウェーデンで最も人気のある不動産サイトから得られたビッグデータだ。
2階建ての「The Hemnet Home」は、スカンジナビアで多く見られる赤く鮮やかなペンキと、防腐剤が塗装された木造の家だ。そこに凹凸をつけ、立体的な質感を与えている。家の総床面積は120㎡だ。これは統計から導き出されたスウェーデン人にとって、ちょうどいい広さだそう。
200万人のニーズと職人技で完成した、夢のような木造住宅「The Hemnet Home」
間取り
1階にはキッチン、ダイニングルーム、リビングがあり、さらにゲストルームとして寝室がひとつある。また、ゲスト用バスルーム、収納などが玄関の近くに設けられている。リビングにある階段を上がると、2階にはベッドルームと部屋があり、浴室、テラスがあります。
キッチン&ダイニング
スウェーデン人57%が望むのはオープンキッチンだった。ところがTham and Videgårdが更に調査すると、人々が求めていたのはソーシャルキッチンだということが判明した。この結果に基づき、人々が集うキッチンとして吹き抜けを取り入れた。1階部分と2階部分それぞれ別々の壁面に設けられた大きな窓からは、外光がさんさんと差し込み、開放感のある明るい空間となった。
キッチンのカウンタートップには、調査で人気だった石が使われている。キッチンのキャビネットの扉には、壁面と同様に清潔感のある白が採用された。この広く明るいキッチンには家族や友人たちが集い、賑やかな食卓になることは間違いなさそうだ。
広いキッチン&ダイニングスペースの隣には、グレーの大きなソファーのあるリビングがある。ちょうど今の流行の色がニュートラル&ナチュラルなこともあり、グレーは人気の色だ。グレー、白、黒、茶、ベージュの中で3/4の得票率を誇ったのがグレーだったそうだ。
200万人のニーズと職人技で完成した、夢のような木造住宅「The Hemnet Home」
リビング
また、54%の人は家にタイル、鉄製、オープンタイプいずれかの暖炉が欲しいという統計結果が出ている。やはり冬が長く寒い地域の住民にとって暖炉は、身も心も温めてくれる欠かせないアイテムのようだ。この家には白い室内に調和する白いタイル張りの暖炉が採用された。
200万人のニーズと職人技で完成した、夢のような木造住宅「The Hemnet Home」
浴室
ふたつのベッドルームの間にあるのがバスルームだ。プライバシーが求められるバスルームには窓がない。その代りに天井部分に丸窓が設けられ、外光が差し込んで明るい。バスルームの床には、耐久性に富んだクリンカータイルが使われている。他の部屋と同じく壁面は真っ白なタイルで清潔感があり、窓がなくても天井から差し込む明かりが白いタイルに反射され部屋も明るい。
200万人のニーズと職人技で完成した、夢のような木造住宅「The Hemnet Home」
ベッドルーム
テラスの脇にはメインベッドルームがある。キングサイズベッドがゆったり入るこの部屋も壁面は白色。これも2/3の人々が希望した色だ。また床には寄木細工が採用されている。これも多くの人たちに選ばれた床材で、ベッドルームの窓からは先ほど紹介したテラスが見える。
200万人のニーズと職人技で完成した、夢のような木造住宅「The Hemnet Home」
テラス
テラスは、プライヴァシーが確保された防風対策のあるスペースであるのと同時に、庭をつくる余裕がない住宅地でも、座って日光浴ができる場所を提供している。
不動産サイトのビッグデータが生んだ「理想の家」建築事務所Tham&Videgardの建築家によって、スウェーデン人の「理想の家」が設計された。設計の元となったのは、スウェーデンで最も人気のある不動産サイトから得られたビッグデータだ。
2階のホールにある白い扉を抜けると広いテラスに出る。テラスは四方が白い壁で囲まれ、大きな窓が一面に設けられている。天井はなく、代わりに青空が見える。プライバシーを守りつつも開放的なテラスは使い勝手がよさそうだ。ここにはテーブルとイスが置かれ、朝食やBBQにもよさそうだ。
200万人のニーズと職人技で完成した、夢のような木造住宅「The Hemnet Home」
このスウェーデンの例を活かすなら、データから各地域の標準的な家を作り出せそうですね。
北海道の家なら、沖縄の家なら、埼玉の家なら、大阪の家ならといった各地域の標準って、多分それなりに設計している人は感覚値でわかっていると思うのですが、そういった家が住まい手のデータの裏付けがあって標準化できると、求められている最適な住宅の目安になりそうです。
さらには、所得とのバランスとか、物の量と収納量とかも反映して、地域で4パターンぐらいの標準住宅ができても面白いと思うんですよね。目安になる標準住宅ができると、家づくり全体の底上げになりそうな気もします。
年間でもかなりの棟数が建ってきてるんですから、データとしては十分な量ありますよ。問題は分析をどうするかですが・・・
工務店は自社の地域に合わせた標準住宅の上に個性ある提案した方が良い理由
地域ごとの特色や文化、気候、生活スタイルは、住宅の設計や機能に大きな影響を与えます。工務店が自社の地域に特化した標準住宅を提供することは、多くのメリットがあります。以下に、その理由と詳細を深堀りして説明します。
顧客の期待を超える提案が可能に
地域に根ざした標準住宅を持つことで、顧客の基本的な要望をすぐに把握することができます。これをベースに、さらに独自の提案を加えることができるのです。例えば、地域の気候や風土に合わせたエネルギー効率の良い設計や、地域の伝統的な素材を活用したデザインなど、顧客がまだ意識していないような提案が可能となります。これにより、顧客の期待を超える家づくりが可能となり、満足度を高めることができます。
効率的な業務運営
地域特有のニーズや問題点を事前に知っているため、設計や施工のプロセスがスムーズに進行します。また、地域の特性を活かした標準設計を持っていることで、設計の時間を短縮できる可能性もあります。これにより、工務店はコスト削減や納期の短縮など、業務の効率化を実現することができます。
地域の信頼を獲得
地域に密着したサービスを提供することで、地域住民からの信頼を得やすくなります。これは、口コミやリピートのお客様を増やすための大きな要因となります。地域のイベントへの参加や、地域の伝統や文化を尊重した住宅提案などを行うことで、地域との絆を深めることができます。
競合との差別化
地域に特化した独自の提案を持つことで、他の工務店との差別化が図れます。これにより、顧客が自社を選ぶ理由を明確にすることができます。また、地域の特性やニーズを深く理解していることをアピールすることで、競合他社との差を明確に打ち出すことができます。
持続可能なビジネスモデルの構築
地域の変化やトレンドを常にキャッチして、それに応じた住宅を提供することで、長期的なビジネスの持続性を高めることができます。例えば、地域の人口動態やライフスタイルの変化に応じて、住宅の設計や機能をアップデートすることで、常に新しい価値を提供することができます。
結論として、工務店が自社の地域に合わせた標準住宅を持ち、それをベースに独自の提案を加えることは、顧客満足度の向上、業務の効率化、そしてビジネスの持続性を高めるための鍵となります。地域に根ざしたサービスを提供することで、工務店はその地域での存在価値を高め、長期的な成功を追求することができるのです。